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往きは良い良い、帰りは……物語 №11 [文芸美術の森]

その11 『梅干』『蜥蜴』『虹』『立夏』
    加えて《イベント句会》や《ハハハの歯》展のことなど

                               コピーライタ-  多比羅 孝(俳句・こふみ会同人)

≪平成26年4月28日≫
こふみ会から案内状(FAX)が届きました。筆づかいは活達な矢多氏独特のものです。
最初の1行に『花々に 酔ひて案内状 遅れけり』とあります。ご覧ください。

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案内状

                                                                                                                                                                     でも、おっとっとお。上記兼題の『梅干』は、おそらく、季語としては『梅干(うめほ)す』『梅漬(うめつ)ける』『梅筵(うめむしろ)』のことですよね。
いわゆる《梅干(うめぼし)》、おにぎりに入っているアレのことではありませんよね。
何故って、普通に言う《梅干(うめぼし)》は、一年をとおして、いつでもある食べ物。特定の季節を指しません。
《米(こめ)》と同様に、その語一語(単独)では季語になり得ないわけ。気をつけなくちゃ。
しかし、近頃、自宅で梅を干す人なんて、僅かなのでしょうね。
実感が無いから、ついつい《梅干(うめぼし)ばあさん》のアノ出来上がった梅になってしまう。
それに、『梅筵』なんて言われたら、一層、わけが分からなくなってしまう……。そんな人が多いのではないかしら。
当日(5月14日)我がこふみ会の皆さんはどんなふうに受け取って、どんな句を作ってお持ちになるか……。案内状を読んで、ちょっとしたスリルを感じました。

もうひとつの兼題は『蜥蜴(とかげ)』。
私はこの漢字に惹かれました。太古・中生代の大とかげ。恐竜の親戚みたいなオモカゲを感じます。
でも、どうして《とかげ》に、この漢字が当てられたのか? 無性に知りたくなり、調べてみますと、漢和辞典『漢字源』(学習研究社)で、すっきりしました。分かりましたよ。《蜥蜴(せきえき)》と読んで……。
『析(せき)には《ばらばらに、きれる》という意味があり《手足が切れても生きている虫》《蜥》ですって。
また『易(えき)』には《うすい。たいら。》の意味があり《からだがうすく平らな虫》《蜴》とのこと。
更に解説には……《蜥》と《蜴》とをあわせて、とかげの特色をよくあらわす……と出ています。了解です!! 有難うございました。『漢字源』先生!!

ですから、と、ここで孝多が意気を挙げます 。
今回は、とかげの形状や(尻尾を切って逃げるといった)生態に基づく俳句は作らないぞお~。良かれ悪しかれ、そうした発想とは別のものを創るぞお~。うまく出来るかどうか分からないけど、挑戦するんだあ~。

さて当日≪平成26年5月14日≫
皆さんのお顔が揃った時点で(句会の前に)風歌さんから1枚のプリントが配られ、その説明がありました。下記のとおりです。

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     イベント句会を考えましょう!

 毎年恒例となっています「イベント」句会ですが、今年もその内容を考える時期がやってまいりました。
 ここ数年は「屋形船句会」と称して行われてきました隅田川屋形船での句会ですが、今年もこれまで同様のスタイルで行うか? 新企画を考えるか? ぜひ皆さんのご意見をお聞かせください。
 以下、思いつく「イベント句会」を記してみました。参考にしてください。

●やっぱり「屋形船句会」。時間は2時間半の特別仕立て(昨年同様)にして、日時を第二水曜日→土曜日に設定して、ゲストさんが参加し易いようにする。

●気候の良い時期に、「都内公園の吟行」。
新宿御苑や日比谷公園、上野公園、井の頭公園など・・・
アクセスの良い公園を散策して吟行。
公園内もしくは至近のお店で会食と句会を行う。

●「日帰りバスツアー句会」
貸し切りサロンバスで郊外へ! 車中と到着地で句作。昼食を兼ねて句会を行う。
この場合は、日時を第二水曜日→土曜日に変更して、ゲストさんも参加し易い日時に設定する。
旅館やホテルなどの日帰り足湯と懐石のパックツアーなどを利用する。

●「ままごとや句会」
孝多さん昵懇の、奥多摩・澤乃井小澤酒造(ままごとや)で句会を行う。
新宿発(仮)貸し切りバスで奥多摩へ、酒造見物や周辺散策など吟行スタイルで会食を交えて句会を行う。

これ以外にもすてきなアイディアがありましたら、事務局までお寄せください。
なお、来月のこふみ会でお話し合いをしたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。
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そして次回(7月例会)はイベントについて相談するため、会場・志満金への集合を30分早めて頂けないかとの要請があり、OK、OK、パチパチパチ!

次いで、もう1枚、下記のようなプリントが配られ、説明がありました。

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   6月4日(水)の「虫歯の日」から7月10日(水)まで、
                       歯医者さんで川柳の個展を行います。

歯医者さんならではの、川柳ならではの、どんなニンマリなシカケがあるのか??
ぜひ遊びにいらしてくださいね!!
      〇水野タケシ川柳展「ハハハの歯。」お披露“歯”会
             6月4日(水)19時半~20時半)
      場所:デンタルオフィス代々木上原(03-5452-4618 駅から2分です)
代々木上原駅南口を出て、線路を右手にしてまっすぐ。
蕎麦屋「志なの」(カツオだしの香りの誘惑に負けないで!)の手前を左折。
すぐに右折して井の頭通りにつきあたる手前の左側、1階が美容院の建物の2階です。
         歯科治療目的でなくてもお運びください。
※ただし診察室の掲示作品はご覧いただけませんので、ご了承ください。また、歯科医院による個展ということで、祝花や差し入れはご遠慮くださいね。どうぞ手ぶらでお越しくださいませ。

なお、お披露歯会の後、居酒屋に移って、フツーの飲み会をいたします。
会場を予約する関係上、ご参加希望の方は6月1日までに、メール
mizuno-t719@jcom.home.ne.jp か、ファクス042-633-0738まで知らせくださいませ。

          (案内地図省略)
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パチパチパチッと、これも拍手で迎えられました。しかし、上記の文面にもあるとおり《どんなニンマリなシカケがあるのか??》オタノシミ!という次第で、この個展の内容や背景にあるもの等につきましては、今は、ナイショ。

お持たせしました。いよいよ、句会。本番です。
席題は『虹』と『立夏』。半紙に書かれて高い所へ張り出されました。
声があがります。「おお、おお、《立夏》ねえ。四月も二十四節気だったよ。何だっけ?」「う~ん、そう!この前は《清明》だった。」「難しいねえ。」そして、ゴク、ゴク、ゴク。チビチビチビ。早速、酒とおしゃべりの始まりです。

《虹》については、誰かがきっと、何故、虫偏(むしへん)なのか、語り出すかと思いましたが、それは、無かったようでした。

やがて、締め切り時間。
孝多は次ぎの四句を出しました。
◆『忘れ得ぬ 姉(あね)さんかぶりや 梅を干す』
これについては、やはり、そうでしたか。蓋を開けてみると、風歌さんの一句『母犬の 視線や静か 梅を干す』これだけが、いわゆる正規の季語使用。あとの人の句はみんな、アノ、一年中、食べられるウメボシがテーマでした。

◆『人間(ひと)に生まれ 蜥蜴に生まれて この世かな』
有難うございました。この句で桂堂氏から「天」を頂きました。ところで、私はこの句の中で(ひと)というルビをふりました。 前の句では「姉(あね)さん」とルビ。
一方、桂堂氏もよくルビを使う人です。どんな場合に使われるか、ルビにはどんな意味を込めるか、など、ルビについていろいろ語り合ってみたいと考えました。あるいはルビを不快に思う人もあるかも知れませんし。

◆『遠近法 超(こ)えて立ちけり 立夏の富士』
これもそうです。『超(こ)』として投句しました。選んでくださった淡火さんたちに、いつか、改めて、ご意見を承るべき、いや、選んでくださったとか、くださらなかったとかのことを超えて、ルビに関するお考えを伺うべきと考えました。

◆『また渡り そこねて消えし 虹の橋』
何故、虫偏なのか。それはムカシの人が、大空を駆け登る大蛇と見たから。てなことを基にして5・7・5にしようか、と、一旦は思ったのでした。しかし、やめました。もっと心情的な、人間っぽい表現にしようと考えたからです。でも、失敗ですね。第一、「渡り」と言い、また重ねて「橋」と言い、まったく説明的で、省略が効いていません。「虹」が「橋」であることも常套的です。
と、こう書いて、あっ、いけなかったかな? 選んでくださった方には失礼に当たる……。でも、いつかも、このページに書いたように《こうすればもっと良くなるのに》という、あたたかい視点で選んでくださったもの、と解釈すれば、幾分かは心が安らぎます。

さあて、さてさて、本日の成績発表で~す。(得点や順位などは会報係から後日送って頂いた資料によります。)
本日のトータルの天は~~タケシさ~ん。45点。パチパチパチッ。
              『てのひらを 俎にする 立夏かな』が圧倒的!
    〃      地は~~淡火さ~ん。26点。パチパチパチッ。
        〃      人は~~風歌さ~ん。24点。パチパチパチッ。
        〃   次点は~矢多さんと孝多さ~ん。共に21点。パチパチパチッ。
        〃      花は~鬼禿さんの4輪で~す。パチパチパチッ。

◆淡火さんも、前に比べたらずっと顔色(かおいろ)が良く、ああ、良かった、良かったぁ。それに、今回は堂々の「地」。おめでとう!

次いで、二次会。そこでは、もっぱら《早く出て来い、谷村ひろば氏よ》のラブコール。そして、6月14日に予定されている≪五七句会≫のこと。この会に、孝多も参加させて頂きます。
ああ、6月は嬉しく忙しいなあ。タケシ氏の、≪ハハハの歯≫展もあるし、あちこちでビール祭も開かれるし、澤乃井の「起承転結」にもお呼ばれしているし……。
いろいろ、愉快なことがいっぱいだ! ブラボー! と、帰りも良い良い、の上機嫌なのでした。上記の「起承転結」については、また後日、ゆっくりお話し致します。
                                                        (第11話・完)

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                         返信レター その1・ひろば氏より

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                    その2・更歩氏より  尻尾の模様が「出」の字になっています。

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    その3・風歌さんより
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その4・タケシ氏より

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こふみ会・第533回(今回)にて詠まれた全44句をメールでお届けします。ご希望の方は下記までお申し込みください。
       chinokigi@kg7.so-net.ne.jp


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タケシ

孝多先生、いつも楽しく拝読させていただいています!!

次回のお題「風評」「W杯」ムズカシイ!!
「梅干」「蜥蜴」がナツカシイです!!

澤乃井ファンの私としては「起承転結」というものが、
いたく気になります(笑)。
by タケシ (2014-06-01 08:03) 

風歌

読み終えて…
いつもながらの満腹感(*^_^*)
蜥蜴という漢字の由縁がよく分かりました。季題については、いつも感覚的に捉えていましたが…しっかり調べると、さらに面白くなりますね。
それにしても…ひろばさ〜ん(^O^)/待ってるけんねぇ
by 風歌 (2014-06-07 11:19) 

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