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私の中の一期一会 №45 [雑木林の四季]

          ホントになるかも知れない・・西武ライオンズの球団身売りばなし
                  ~人気低迷のプロ野球は観客減少問題を真剣に考えよ~

                          アナウンサー&キャスター  藤田和宏

 2013年のプロ野球は29日、セ・パ両リ-グで同時に開幕した。注目の二刀流ル-キ-、日本ハムの大谷翔平(18)が西武戦に8番ライトで先発出場し4打数2安打1打点と期待通り(期待以上かも)の活躍でデビュ-を飾った。翌日の新聞はスポ-ツ紙は勿論、一般紙まで1面で大谷の活躍を大きな記事にしていた。
 しかし日本プロ野球の未来を考えると、「こいつは春から縁起がいい・・」なんて喜んでばかりいられない状況にあるような気がしてならない。何故なら、開幕直前の26日に読んだ新聞記事が気になるからである。
 西武ライオンズを傘下に持つ“西武ホールディングス”が筆頭株主のアメリカの投資ファンド“サ-ベラス”から「プロ野球・西武ライオンズの球団売却も選択肢にせよ」と迫られているという記事であった。その後西武側は「球団は売りません、検討したこともありません」と否定しているが、投資ファンドが仕掛けてきたTOB(株式の公開買い付け)に絡む話だから厄介なことになる可能性があるではないか。
 西武ホ-ルディングスの後藤高志社長は「プロ野球は、WBCを見ても日本のプロスポ-ツの中で公共性が高く、多くのファンに支えられている。球団は2年連続黒字になる見通しで日本一を目指す」とファンを含めて企業価値の向上に努めていくと表明した。
 後藤社長がいくら大声で訴えても、プロ野球の人気低迷が叫ばれて久しいという現実が確かに存在する。NPB(日本プロ野球機構)の加藤コミッショナ-は「西武ライオンズはプロ野球という文化公共財の一翼を担うもの。安定して維持されるべきだと思う」とコメントしているが、2年前に阪急阪神の株主総会でタイガ-スの不振が話題になったことを忘れてはいけない。どの球団も親会社の傘下にある以上、親会社の事情次第では球団売却問題が出るのを避けることが出来ない宿命を背負っているのである。
 昨年5月に発表されたデ-タによると、プロ野球の観客動員数は前年に比べ1試合平均で、セントラル・リ-グが2.4%,パシフィック・リーグは6.3%減少したと報告されている。いつもスタンドに空席が目立つようなら、「球団の将来性、採算性、経営戦略」を求めるサ-ベラスの言い分は当然だとも言えるのである。
 NBPなどによると、セ・リ-グ全体の一試合平均は09年の29,380人をピークに3年連続で減少している。パ・リーグでも10年の22,762人から2年連続で平均入場者数が減っている。
 セ・リ-グの阪神は、2011年シ-ズンの一試合平均が40,256人で2位巨人の37,736人を上回っていた。しかし昨年の和田阪神が借金20の5位という不振が響いて順位が逆転した。去年日本一の巨人は平均40,333人で1位、阪神は37,886人であった。
 パ・リ-グはソフトバンクがトップで、昨12年シ-ズンは前年の31,860人から33,933人に増えているが全体順位で巨人、阪神に及ばず3位であった。一方日本ハムはリ-グ優勝したのに27,644人から25,813人へと減少したのである。噂の西武は前年に22,106人で球界6位だったが、昨年は21,195人と減少したのにリ-グでは3位であった。オリックス、ヤクルト、ロッテ、楽天、DeNAは一試合平均2万人に届かない寂さで全体の足を引っ張る形になっている。
 今年の開幕日、29日の主催6球場で入場者数はどうだったのか気になって新聞を見てみた。
 東京ド-ム(巨人・広島)44,980人、ナゴヤド-ム(中日・DeNA)33,824人、神宮(ヤクルト・阪神)28,169人、西武ド-ム(西武・日本ハム)26,750人、ヤフオクド-ム(ソフトバンク・楽天)38,561人、QVCマリン(ロッテ・オリックス)22,721人であった。全体で約195,000人、1球場平均は32,500人だから悪くないなと思った。しかし翌日は土曜日にも拘わらず軒並みマイナスになった。増えたのはナゴヤド-ムだけで+427人と微増、東京ド-ムは巨人が勝ったのに707人の減少である。パ・リ-グは西武-2,165人、ヤフオク-2,332人、QVCが最も悲惨で2,870人も減ってしまった。神宮とQVCは寒さが出足を鈍らせたかも知れないが、天候に関係のないド-ムなのにソフトバンクの2,300減は気になる数字だ。
 プロ野球の観客動員数減少傾向は今年も歯止めがかからないまま続くのだろうかと危惧している。
 「人気チームの低迷」でファンにそっぽを向かれるのが原因という見方がある。しかし中日は勝ち続け、毎年のように優勝争をしたのに観客動員の伸びを欠いて問題視されたこともあった。不振の阪神が観客を減らすのは当然としても、日ハムのように「優勝しても減った」と言われると困るに違いない。
 要するに、プロ野球の観客動員数は頭打ちで、一部の人気チームを強くすれば解決する問題ではないことが分かる。NPBがもっとしっかりすることが求められる。両リ-グ-が一丸となってコミッショナ-を先頭に「野球ビジネス」を収益の上がるものにしていかなければならないのだ。ナベツネの支配下は時代遅れなのである。経営戦略の努力を怠っているとサッカ-に追い越され、球団売却を繰り返す事態になるであろう。長嶋には申し訳ないが「巨人は永久に不滅」なんていう安全神話はあり得ないのだ。
 日本にはプロ野球が12チ-ム、サッカ-がJ1とJ2で40チ-ム、バスケットボ-ルは21チ-ムで合計すると73チ-ムがプロチ-ムとして存在している。ところが、この3競技が一つもない地域があって、それは青森、福島、石川、福井、三重、和歌山、奈良、山口、高知、鹿児島の各県だという。
 この10年で日本のプロスポ-ツは大いに発展したことは事実だが、首都圏と大阪周辺にプロチ-ムが集中し過ぎていることは大きな問題なのだ。プロ野球も12球団のうち7球団(巨人、ヤクルト、DeNA、西武、ロッテ、阪神、オリックス)がそれに当たり、サッカ-などと観客を分け合うのも限界にきていると言えそうである。プロ野球もフランチャイズの分散を考えなくてはならない時代になってきたことはハッキリしている。
 こうした状況の中で、東北楽天は一試合平均で16,358人とパ・リ-グでは一番少ない数字だが、座席稼働率は70%と高い数字を残していて、宮城県での人気が定着しつつあることを示している。東北楽天イ-グルスが仙台を本拠地に選んだことは正しい選択であったと言えよう。
 人気低迷の打開には「ドラフト制度改革」が絶対必要で、一日も早く手を打つべきである。
 今のドラフトが巨人寄りの制度になっていることは誰でも知っている。優勝しても1位指名に参加できるのはドラフトの意味をなさない。政治家が党利党略で選挙制度を自党有利にするのと同じで公正さに欠けている。去年5位の阪神が「藤浪晋太郎を引き当てたのはこの制度のお陰じゃないか」と言う人もいるだろうが、それは別問題だ。現行ドラフトはプロ野球全体の弊害であり不幸である。メジャ-で万年最下位だったタンパベイ・レイズがワ-ルドシリ-ズに駒を進めるチ-ムになれたのは、完全ウエ-バ-制ドラフトでロンゴリアやアプトンなどを1巡指名出来たからである。極端に弱いチ-ムを無くし、試合の質を高めることを一番大事にすれば、戦力均衡で力の差がないカ―ドが増える。どちらが勝つか分からない試合を「ナマで見よう」と両チ-ムのファンは球場に足を運ぶに違いない。目の前で試合を見る臨場感には「テレビでは味わえない面白さ」があるからだ。
 ボクシングをリングサイドで見せると、大抵の人は大ファンになる。迫力の凄さに驚きながら「面白さ」を発見するからである。映画だってDVDでは映画館の大スクリ-ンの迫力には敵わない。野球の迫力も同じで、球場に足を運ばなければ投手戦の迫力、打撃戦の迫力を体感できないのである。
 「人気選手のメジャ-流出」は確かに問題かも知れない。ダルビッシュがいなくなった。ヒットメ-カ-の青木もいない。球児もメジャ-にいってしまった。大谷だっていずれメジャ-だろう。イチロ-、黒田、松坂、岩隈を見たくても見られない。センバツで投げている済美(愛媛)の安楽智大だってメジャ-へ行くと言い出すかも知れない。考えればキリがない。日本ハムは大谷を説得したが、選手のメジャ―指向に歯止め対策がNPBにあるかと言うと何もないのが問題なのだ。
何もしないコミッショナ-の怠慢を一向に批判しないメディアにも大きな責任があるのだが・・。
 飛ばない統一球の導入で「投高打抵」になったことがホ-ムランを減らし面白くないという人がいる。1-0の試合より6-5のシ-ソ-ゲ-ムのほうがが面白いという考えのようだが、それは違うと言いたい。
 今は昔だが、江夏が1-0でONのいる巨人を完封した試合を実況した時「こんな試合は滅多に見られない。お金を払ってでももう一回見たい」と思ったことがある。息をのむ迫力が伝わると試合に痺れる感覚を体験できるのだ。そんな江夏から打ったらホ-ムランなら面白いけれど、ヘボ投手から10本打ったって呆れるだけで面白くはない、私ならそう思う。
 「野球好きが減ったことが観客減少の最大の原因ですよ。今は日本で活躍してメジャ-に行く流れになっている。統一球で成績が残せない?ホ-ムランにならない?ファンが離れる?そんなの内弁慶で巨人ファンのための野球じゃないですか。面白くないなあ」という意見がネットに出ていた。 
  プロ野球自身が「野球の面白さ」を示せなくなっているのが一番の問題なのかも知れない。


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笠井康宏

藤田さん、おはようございます。私は昔、地元の西武ライオンズ球場によく観戦に行きました。創設されたのが、昭和53年でした。初めは弱かったです。ライオンズの選手がホームランを打つと大きな「花火」を打ち上げ、ライオンズが勝利すると此処でもまた「花火」を打ち上げました。当時、花火一回100万円と聞きました。私の兄は「1番金のある球団だから大丈夫」と言ってましたが、余りにも羽振りが良すぎると思いました。花火で無くても「ファンファーレ」で十分だと思いました。広島市民球場、ナゴヤ球場、甲子園球場、大阪球場、藤井寺球場で「ホームランファンファーレ」がありました。残っているのは甲子園球場だけです。西武球団は演出に「金を掛けすぎ」ました。他球団にいえることですが、狭い球場を壊して、ホームランが出づらく球場を広くしたのも「つまらない」原因だと私は思います。非力でも足の早い選手だけが生き残り、足が遅い長打の打てる選手の出番が無くなりました。プロ野球が個性の無い、面白く無いものになりました。しかし、西武球団はあぐらをかきすぎましたね。
by 笠井康宏 (2013-04-01 06:12) 

笠井康宏

藤田さん、こんばんは。子供達が遊んでいるのを近所、仕事中に見掛けますが、大抵サッカーボールで遊んでいます。私の時代は草野球でした。最近、草野球をやっている子供を全く見掛けません。野球離れはナベツネの責任は重いですね。「公平じゃないな」と子供達は敏感に感じ取っているのかも知れません。話は変わりますが、インターネットを覗くと「西武の堤の方がナベツネより酷い」と書いてありました。私から言わせれば、2人とも似たり寄ったりの「いやな金持ち」ですよ。
by 笠井康宏 (2013-04-04 00:00) 

笠井康宏

藤田さん、こんばんは。今から30年程前、川崎球場の外野席で観客が「流し素麺」をやっていたシーンを思い出します。あの頃は西武を除くパ・リーグ、セ・リーグなら巨人戦以外の広島は閑古鳥が泣いていました。「よく球団経営が成り立つな」と不思議でした。藤田さんのおっしゃる通り、パ・リーグの方が経営努力をしています。私は正直、ロッテが千葉に移転するのは更に失敗すると思っていました。私の周りでロッテファンがたった1人だけでしたので、不人気球団が地域に密着するとは到底、考えられませんでした。「流し素麺」の頃に比べれば良いのですが、観客の減少とは更に対策が必要ですね。各球団のフロントは頭が痛いのではないでしょうか。
by 笠井康宏 (2013-04-04 22:24) 

笠井康宏

藤田さん、こんばんは。お体は大丈夫でしょうか?17日が仕事休みなので、何としても本日中にお見舞いに伺いたかったのですが、目次のところにコメントを送信、杉崎さんはご存知無いということです。(しかも、完全にお会いする機会を作ることを忘れています。)何とかならないものかと思う次第でございます。一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
by 笠井康宏 (2013-04-17 00:22) 

笠井康宏

藤田さん、おはようございます。日本ハムの不振は張本さんが指摘されていた通り、大谷の起用法が悪循環を招いています。他の選手の不安(レギュラーが固定出来ない)になります。チームを犠牲にしての「二刀流」なのか、それとも「一本」に絞るのかハッキリさせないと日本ハムの上位浮上はありませんね。有田修三さんは「投手の方が良い。素晴らしいボールを投げる。」と絶賛していました。
by 笠井康宏 (2013-05-21 04:05) 

笠井康宏

藤田さん、こんばんは。西武の株主総会でとりあえず、サーベラスの言い分が否決されましたね。西武自体の尻に火が着いたと私は見ています。球団の存続は近い内に出来なくなるような気がします。黄色信号で無く、赤信号が点滅していますね。
by 笠井康宏 (2013-06-26 20:21) 

笠井康宏

藤田さん、こんばんは。私が子供の頃、所沢市は別名「西武市」と言ってました。所沢周辺の市のバス、電車、タクシーの殆どが「西武」で支配されています。就職も「西武系企業」に入れば安心と同級生の何人かは「西武系企業」に就職しました。彼らは「一生、食いっぱぐれは無い」と思いましたが、此処に来て暗雲が立ち込めて来ました。大企業とは言え「それ程給料が高くない」との噂を聞きました。彼らには申し訳無いのですが、安く遣われているのだと思います。ピンハネを如何にもやりそうな企業体質に見えます。天罰なのか悪党「堤義明」が逮捕されてから、何だか危なくなって来ましたね。私の恩師「沼田義明」とは人間性で雲泥の差があります。これから西武の動向から目が離せません。
by 笠井康宏 (2013-06-27 22:14) 

笠井康宏

藤田さん、こんばんは。所沢といえば「ライオンズ」と「ダイオキシン汚染」で有名ですが、今から17、8年程前、久米宏さんの「ニュースステーション」で「ダイオキシン汚染」を大きく取り上げました。それまで洗濯物、クルマ、バイク、ベランダの床に「灰」が積もりました。空気は一日中、きな臭い感じがしていました。産業廃棄物の焼却場が所沢インターの側に沢山ありまして、バイクで脇を走ると煙と灰と匂いで気持ち悪くなりました。所沢産のほうれん草が「ダイオキシン汚染されている」と「ニュースステーション」で「大袈裟な数値」で放送しました。ほうれん草農家の方は「風評被害」と訴えましたが、お蔭で殆どの産廃業者の撤退、若しくは浄化装置の取り付けに繋がり、私にとって「ニュースステーション」で取り上げて貰って「久米さまさま」と感謝した思い出があります。それから間もなく、市の焼却場もダイオキシンを出さない焼却炉に変えました。報道の最中に丁度、私宛てに市からアンケートが来たときにここぞとばかりに、当時の市長、職員に「人の税金でメシを食ってるんだから、ダイオキシンの対策をしろ!この税金泥棒が!」とボロクソに書いた記憶があります。それからダイオキシン課が出来ました。私も一役買うことが出来たかなと満足しています。
by 笠井康宏 (2013-07-13 23:01) 

笠井康宏

藤田さん、こんにちは。所沢のダイオキシン汚染の問題で、当時の市長と産廃業者との癒着は噂になっていました。しかもそれから数日後、何処の誰が入れたのかわかりませんが、実家のポストにそれを裏付ける「信憑性のある」チラシが入っていました。まあ、当時の所沢市に言えることは産廃業者との癒着が、今の政界とスポーツ界が癒着して腐敗していることが全く同じ構図だということです。
by 笠井康宏 (2013-07-18 16:14) 

笠井康宏

藤田さん、こんばんは。先日、立川市のアパートから行方不明になった建設会社社長が西武球場の近くの資材置場に遺体が埋められていたのが今日の午後、発見されました。嫌な事件が多過ぎますね。
by 笠井康宏 (2013-09-26 17:52) 

笠井康宏

藤田さん、こんばんは。今シーズンの日本ハム低迷の一番の原因は大谷の「二刀流」が明らかです。チームの勝利よりも大谷の話題作りを優先させたのは大失敗だと思います。「投げ込み不足のボール。これから影響が出る」と佐々木主浩さんは指摘されていました。メジャーリーグ挑戦どころか、このまま終わってしまう恐れがあります。「二兎追うもの一兎も獲ず」では、大谷が可哀相だと思います。進むべき方向を栗山監督が導いてあげるべきだと思います。素人目から見ても、方向が間違えています。
by 笠井康宏 (2013-09-27 19:41) 

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