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蟷螂の斧 №1 [ことだま五七五]

新年(正月)

                             俳人・猿若句会会亭  中村呆信

                                                                                                        
      元朝のあら目出度やな猿若舞

   初空や凧もほろ酔いぎみなるか

   初富士に迷走してゆく飛行雲

   歌留多とりあさき夢みしゑひもせで

   初詣行かぬと決めて半世紀

   雀など歯牙にもかけず初鴉

   眠たげに出窓に飾らる福寿草

[呆時記]
私の句集『蟷螂の斧』より、季節を追って俳句を紹介する企画をいただきました。この句集の特徴のひとつに十七季から、順に時候・天象・地理・生活・行事・動物・植物で各一句ずつ詠んでいることに着目していだけたのでしょう。十七季とは、例えば、冬ならば三冬(冬全般)・初冬・仲冬・晩冬と分類して、それぞれ四季があるから十六季、これに新年を加えたものです。実は歳時記のひとつに『連句・俳句季語辞典「十七季」』(三省堂)がありまして、私たちは連句用にたいへん重宝しており、これを援用したものです。
この[呆時記]では、句の紹介がてら季語にまつわるミニエッセイ的なものを書きたいと思っています。初回なのでやや説明的になりましたが、次にその片々を少しだけ書いてお茶を濁させてもらいます。
[元朝のあら目出度やな猿若舞] 俳句的には甘く採点しても20~30点の句でしょう。巻頭にもってきたのは新年*時候だったからにすぎません。「元朝」を兼題的に扱い、私が会亭をつとめる猿若句会関連の「舞」を詠みこんでみただけのものです。申し訳ありません。また、次の[初空……]の句は「初空」が新年*天象の季語ですが、実は「凧」は三春*生活の季語です。しかし凧揚げが近年、新年の風物として定着していますので、そう読みかえてもらえる許容範囲だろうと甘えました。なお、贅言ですが「元朝」「初空」に続き「初富士」「歌留多」「初詣」「初鴉」「福寿草」が季語です。


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