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言葉あそび入門№8 [文芸美術の森]

言葉あそび入門
その8.《脱線的ふるさと自慢》も良いものです。

                                  コピーライター  多比羅 孝
                                         
 年賀状、何通もらえるかな、などとあつかましく前回書きましたら、ありがとうございます。ペンネームの皆さんから次ぎ次ぎといただきました。厚くお礼申しあげます。

 ご丁寧に「喪中につき」というお葉書をくださった方もおいでです。忝ないことでございました。

 さて、年末年始の新聞などによりますと、スキーは今や(極く一部の地域を除いては)凋落のレジャーなのだそうですね。かっては若者の必須科目だったというのに。                    
   さすれば前回引いた「父さん温泉 ぼくスキー」も文化遺産的な時代モノなのかも知れません。やっぱりねぇ、時は移るということですか。(レジャーという言葉も一時のようには、そう沢山は使われない様子。)

  廣瀬淡窓の詩の中の「同袍(コロモヘン)」は「同胞(ニクヅキ)」となっている本もあることに、あとから気付きました。しかしコロモヘンですよね。ブログに記したとおりで正しいですよね。この辺のこと、くわしい方に教えて頂けたら幸甚です。

 さらに、前回のブログ上で私は、私がおぼえているまま「前門の狼、後門の虎」と書きました。でもこれはゲンミツにいうと「前門の虎、後門の狼」らしいですね。順序が逆。

  『前門拒虎 後門進狼(前門に虎を拒み《あるいは(ふせいで)》後門に狼を進む』というのがもともとですって。

 しかし、と言い訳みたいですけど頼山陽(1780~1832)は自作の詩の中で「前狼後虎」と書いたそうですね。いくらか、ほっとしています。小学館の『新選漢和辞典』にも「前狼後虎」と書いても良いと出ていました。いい辞書ですね!エライ!

  さてさて、ここからが本番です。お寄せ頂いた作品《ふるさとを自慢する対句》を、今回も到着順にご紹介しましょう。

◆その1.by 水野タケシさん
    『東に新宿。
     西に箱根。(相模原市)』
   ◇大都会に近く、大自然にも遠くない。
  いいとこ相模原! カルチャー&ネイチャー、両またぎ。   

◆その2.by 志満子さん
    『ミナトが似合うナイスガイ。
   シュウマイにおう中華街。(ヨコハマ)』
   ◇「似合う」と「におう」。「ナイスガイ」と「中華街」。語調も整えてあります。美女・志満子さんがお住まいの町には美男も多いのですね。

◆その3.by たっつあんさん
    『古い民家で
       新そばを食べる。(長野県)』
   ◇地元の古い民家で名物の新そば。いいですねえ。観光客は皆さんご満悦。そう!新そばの季節だけじゃなくて、というのでしたら次ぎのように加えることもできます。対句のカタチもしっかりします。
     『古い民家で食べるは新そば。
    新雪(しんせつ)見ながら飲むは古酒。(長野県)』

◆その4.by 一番のりおさん
  『タイガースを観てガオーと吠えまくり、
   吉本を聴いてワハハと吹きまくる。(大阪でっせ)』 
    ◇脱線脱線。でもこれが大阪パワーでっせ。日本中の元気発生地。自慢でっせ。

◆その5.by 赤羽デスクワークさん
    『焼酎飲むなら親不孝。
     美人射止めて親孝行。(博多)』
    ◇ちょっとちょっと、ここにも脱線パターン。「親不孝」とか「博多美人」とかという銘柄があるのかも知れませんけど、普通に聞いたらオダヤカならぬご発言。でも、
    『焼酎飲んで、それだけだったら親不孝。
   美人射止めて、幸せになったら親孝行。(博多)』
      ・・・なんてしたら、もうボク、帰る!でしょうね。

◆その6.by 寿限無さん
    『シニアにぎわう地蔵通り。
     ジュニア行きかう竹下通り。(東京都)』
    ◇豊島区巣鴨の「とげ抜き地蔵さま」の界隈はお年寄りの、特におばあちゃんの原宿ですね。いい着眼! 平明で、語呂も良くて、結構な対句になりました。
     「シニア・ジュニア」「にぎわう・行きかう」「地蔵通り・竹下通り」。OKです。

◆その7.by ダチ瓶さん
   『みどりが薫る井の頭公園。
   よりどり買えるショッピング。(吉祥寺)』
    ◇「みどり」と「よりどり」の組み合わせには感心してしまいました。「薫る」と「買える」も仲々です。ですから吉祥寺の街の雰囲気も、すんなりと伝わって来ます。絵文字(顔文字?)や《あケおめっ★デス》もこの人らしい。はい、明けましておめでとう!と私もニコニコしながらご挨拶申しあげます。

◆その8.by 楢崎茂彌さん
    『暮れにボロ市
       明けてもボロ市(東京・世田谷)』
◆その9.by 楢崎茂彌さん
  『寺に直弼
   神社に松陰(東京・世田谷)』
◆その10.by 楢崎茂彌さん
    『行きは玉電
     帰りはトロリー(東京・世田谷)』
◆その11.by 楢崎茂彌さん
    『畑に肥だめ
     道路に馬糞(東京・世田谷)』
    ◇4作品、有難うございました。いずれもご当人にとって思い出尽きない世田谷のこと。作者ご自身の解説によって若い読者にも良く理解できたことでしょうと思います。昭和8年生まれの私は殊に、トロリーバスに心ゆさぶられました。はっとしました。忘れてましたから。そして思い出しましたから。直弼・松陰については流石、歴史の先生。「寺に・神社に」の対もいい。

◆その12.by つまんでご卵(らん)さん
     『春浅し よそ見してたら ドブ深し』
◆その13.by つまんでご卵(らん)さん
     『春の山 足は短し 道長し』
    ◇2作。対句による俳句。添え書きによりますと「春浅し」が高校時代、「春の山」が大学時代のものとか。2作とも軽妙・飄逸。良い学生生活を送られたのですね。 それにしても、楢崎茂彌さんのご友人とのこと。ご縁です。お二人さま、これからもこのブログをどうぞご贔屓に。毎回のご参加をお待ちして居ります。
    ◇しかしまあ、何という巡り合わせでしょう。つまんでご卵(らん)さんの対句の作品を頂いたのが1月10日。その翌日には私は読売新聞の長谷川櫂氏のコラム「四季」で、安東次男氏の「対句の俳句」を読むことになるのです。つまんでご卵(らん)さんの句が呼び水になったみたい!
   
  ◇その作品は『少女らに成年われにローザの忌』というもの。
    ◇卓越した対照系対句・アンティセシスです。「少女ら」と「われ」。「成年」と「ローザの忌」。(「成年」は「成人式」と受け取っても良いでしょう。ローザ・ルクセンブルクは革命に一生を捧げたドイツの人。その人の忌。)
    ◇感動的です。対句の威力は計り知れません。

◆その14.by 杉山竜さん
     『富士はみごとな白化粧。
    イチゴは赤くあざやかに。(静岡県)』
     ◇静岡のイチゴ。おいしそう! 富士山みたいなイチゴかな? 赤富士かな? 「白と赤で色が対比になるようにしてみました。」と書きそえてありましたが、成功しましたね! 言葉づかいも、みんなきれい! 締め切り間際、いい作品を見せて頂きました。
     ◇と、ここまで書いたところで、念のためと思って覗いてみましたら、入っていました。追加分です。次ぎのとおりです。ウエルカム。

 ◆その15.by つまんでご卵(らん)さん
      『北に伽耶国・百済国
       南に伊都国・吉野ヶ里(福岡県糸島市)』
 ◆その16.by つまんでご卵(らん)さん
      『あちら原発・玄海町
       こちら糸島エコの町(福岡県糸島市)』
      ◇再度、2作。「北に・南に」は歴史と地理の雄大さを謳い、「あちら・こちら」は現実を見つめる目を示すもの。
      ◇いずれの作からも、作者が如何にふるさとを愛して居られるか、よく分かります。
        対句の背景に関する解説も周到なものでした。力作!

 では、いつものようにここで次回の予告です。次回は「尻取り」をやりましょう。といっても例の《スズメ→メダカ→カミナリ→リンゴ→ゴリラ→ランドセル・・・》といった普通のものではなくて、少々凝ったオトナの言葉あそびです。

 日本に古くから伝わる「尻取り」には何種類かあります。どれをどのようにご紹介しようか、と今、ちょっと考え中です。

 ご一緒に楽しみたいと思います。どうぞよろしく。お元気に。


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志満子

アラ、美女なんて、うふふ、ありがとうございます。

多比羅先生、みなさま、あけましておめでとうございます。

今年は火遊びより言葉あそびに精進してまいります。
by 志満子 (2010-01-16 09:42) 

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