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連句漫語№8 [文芸美術の森]

連句漫語(八)[付、(連句実践篇)猿若座巻之参]
煽てに載って木に登ります

                                猿若句会会亭  中村 信

 昨年末、このブログの代表(横幕玲子さん)と後見人(鈴木茂夫さん)とお会いしお話をする機会がありました。その際、友多加座連句をリアルタイムで掲載出来ないだろうかとのお誘いをうけました。一つは文音で回しているためブログの締め切りごとに誰の所に有るかを確かめ取り寄せなければならないこと、もう一つは友多加座が縛りを薄くして自由にやっていることから時に仲間内でしか分からないような付けが出てくることから相応しくないとの事由でお断りしました。
 好評だと言うのが嘘か誠かはともかく「○○も煽てりゃ木に登る」の例えです。自分の非力さは顧みず、連句実践篇として捌き、同時進行の連句を掲せることにしました。連句の面白を伝えたいというのがこの漫語を始めた主旨であったし、連句の面白さは実際にやってみなければ分からないというのが私の持論であったことにも起因しています。
 かつて怖い物知らずで捌いた[猿若座連句]の巻之参を始めます。形式は時間的制約も考慮して半歌仙(18句)にしましょう。まずは発句です。そのために句会を開くのは無理ですから、投句を募る方法も勿論あります。それよりは、連句には脇起しという便利な方法があるのです。先人の名句を発句にして始める方法です。恐れ多くも松尾芭蕉の発句に、私が脇を付けて、第三から始めましょう。

     古畑や薺摘行く男ども     翁
       七日爪切り姦し厨     呆信
 七種粥のために男どもが古畑に薺を摘みに行ったという翁(注①)の句を発句にいただきました。季語は「薺」です。脇は発句と同季、出来たら同時・同場所が原則です。次に<七種粥をゆでた湯に指を浸し爪を切ると邪気を祓う>との故事から、台所では女どもが「七日爪」(が季語)を切りながら姦しくお喋りをしていると付けてみました。
 
◆そこで、第三を考えてみてください。考えるだけでなく、今回からは考えついたら投句をしてください。締め切りは今月末(厳守)です。原則的には、末尾にあるコメント欄への投句ですが、私のHPでもメールでも、パソコンが苦手の人はハガキでも構いません。こんな欄に自分の名前が載るの憚るという方は匿名でも構いませんが、お名前はお忘れなく。ハンドルネームもかまいませんが、この際ですから俳号(注②)を考えてみるのも粋なものです。連句にはその方が似合っています。
 留意点もあげておきます。[第三ですから長句(5・7・5=17音)です。][第三以降は平句と言い、切れ字は使いません。][第三は起承転結の転になります。前句を受けながらも発句・脇の境地から大きく転じることで、一巻の変化・展開を始めます。][季は無季(雑)にしましょう。][表六句は神祇・釈教・恋・無常・地名・人名は避けてください。]

◆ここからがいつもの漫語です。
 前回書きました時雨忌連句張行に参座した後の懇親会(酒席)での感想です。連句をする人の大半は俳句から入っていると以前に書きましたが、大きな誤解だったことです。相当のベテランの方が俳句界のことあまり知らなかったり、カルチャースクールで俳句のことは全く知らずに連句を最初から教わっただけで参席していた方もいました。かえって先入観や偏った知識は無いほうが良いようです。知識から入ると、どうしても連句は難しいものとなってしまうようです。皆さんも尻込みなさらずに自信をもって自由に付けてみてください。今年はチャレンジの年だとか、誰かが言っていました。

「注解」①俳句の世界では、あまり「翁」とは表記しないようですが、連句の世界では芭蕉翁を略して「翁」と良く表記します。
②俳句専用の雅号を俳号と言います。ちなみに与謝蕪村の「蕪村」は俳号であり、画号は「長庚」です。蛇足ですが、私は呆信の俳号を高校生時代から使っており、当時は粋につけていたつもりでしたが、少し呆け始めた昨今は洒落にもならないようです。


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高橋 均

次の句を詠んで見ました。

かくなるは地の果てまでも何処までも   均
by 高橋 均 (2010-01-27 10:32) 

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