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連句漫語№1 [文芸美術の森]

連句漫語(壱)                      

                                                                                     「猿若句会」会亭   中村信

 皆さんが連句を全く知らないという前提で話を始めます。最初は五月蠅くらいに注が入りますが、しばらくは我慢して(ただし、連句を知っている方は読み飛ばして)ください。ある連句人曰く「究極の趣味」と言う連句が、いかに面白いものであるか伝えるとなると、なかなか荷が重いものがあります。
 先日の句会で久しぶりに私の句     

         少年は密かに飼えり赤い蜘蛛 呆信

が、友多加座歌仙(①)巻之四拾六の発句に選ばれ、早速巻きはじめました。連句を巻くとは、発句(後世、これが独立して俳句となったもので、連句の最初の句。したがって長句=五七五。いずれ詳述)に始まり、脇(次の句、今度は短句=七七)を付け、順に長句・短句・長句……と付けて句を詠み続け、決められた長さ(歌仙でしたら、36句)まで詠み、一巻を完成させることをいいます。どんな脇が付いたか楽しみです。連句の特色は、前句を承けて詠むわけですが、前の前の句(打越)に付かないことに注意をはらいます。付けと転じが繰り返されることによって、主題や筋が予定されることなく完成されるという世界でも稀な詩の形式です。また、個人でなく複数人で作詩されるという点でも、世界に例をみない詩の形式です。
 連句には式目というかなり多岐・詳細なルールがあり、これが連句は難しいと言われ敬遠される由縁です。しかし、式目は知った上で、これにこだわらず自由な発想で付けていこうというのも、もう一つのルールですので、これから連句を始めようとしている方はご安心ください。
 友多加座では、ほぼ半年ごとに句会を開き、発句を決め歌仙(②)を文音(③)で巻いています。つまりは、だいたい半年で歌仙が巻き終わるということで、いつのまにか23年たつということでもあります。
 かえって連句の難しさを強調したことになったかもしれませんが、紙数が尽きました。友多加座連句の最新巻や猿若句会通信などが、私のホームページ[http://www5.ocn.ne.jp/^d-gerr/index,html]に掲載してありますので、興味ある方は覗いてみてください。
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注解」① 連句を巻くグループは、よく○○座と座をなのります。連句は複数の人によって行うのが基本で、座の文芸と呼ばれる由縁でもあります。その仲間は連衆(れんじゅう)と呼ばれます。友多加座の命名は後述します。
② 36句で完成するが歌仙。他に三ツ物、短歌行、半歌仙、百韻。最近では胡蝶、ソネットなどと新しい形式も試されています。さらにネット上のKUSARIなどは八万句を超えて未だに未完です。ちょっと眉唾ですが西鶴が一晩で千句(韻)独吟をしたとの記録もあります。
③ 文音(ぶんいん)とは、次に詠む人をあらかじめ決めておき、郵送(電話、FAX)で次々に詠むことを言います。集まって順々に詠んでいく方式を「膝送り、順付」、捌き手が居り次の句に相応しい句を認めたら次の句を求ていく方式が「付勝、出勝ち、乱吟」で、ベテランが集まる座で一般的に巻かれている方法です。約2時間位で巻き終えるようです。


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