玉川上水の詞花№1 [アーカイブ]
うつぎ エッセイスト 中込敦子
♪卯の花の匂う垣根に♪…と唱歌(佐々木信綱:作詞)で歌われ、夏の訪れを告げるウツギのたわわな花房が5月下旬に上水堤で見られる。むせるほどの香りではないが、花のたわわさにむせ返るよう。 陰暦の卯月(4月)に咲く花ということで、卯の花の別名が付けられたそうだが、“うのはな”といえば豆腐の絞り粕のおからも頭に浮かぶ。白くモコモコしたおからが卯の花に喩えられたようでる。ウツギの和名は空木と書いて、枝茎の中心部が空洞なことから、うつろな木を意味している。 新田開発時代には畑の反ごとにウツギを植えて、境界の目印にしたと言われ、その名残りで上水堤にもウツギが多いのではないだろうか。 5月下旬に咲く花は多数に枝分かれした側枝の先端部に、円錐花序を多くつける。純白のモスリンのような花冠は径1センチぐらい、黄色の花芯を覗かせ密をふんだんに出しているので、蜂や小さな昆虫が群がって生物の営みを観察できる。 土地の人の話しでは堤にはマルバウツギやコゴメウツギもあるとのこと。 (もぐら通信)
2009-05-28 23:34
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