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雑記帳2023-10-15 [代表・玲子の雑記帳]

雑記帳2023-10-15
◆銅板造形作家、赤川政由さんからラインでコンサートの案内が送られてきました。

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骨折してから6週間、ちょうど私の膝の固定装置をはずしたばかり。歩行器も杖も使わず、自分の足でそろそろと歩きはじめたときのことでした。

会場はいつものスタジオラララ。崖線の上に建つ小さなスタジオです。
ここで、9月末からさとうそのこさんの人形展がひらかれていました。
10月9日は最終日ゆえ、そのクロ-ジングコンサートだったのです。

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木立の中の坂道を下っていくとラララの看板が見える。

人形作家として知られるさとうそのこさんは赤川さんの亡くなった奥さんです。
お二人は旧米軍ハウスをアトリエにして活動していました。戦後、米軍基地のあった時代に全国に建てられたものの、今では数少なくなった「ハウス」が立川にはまだ残っていて、取材させてもらったこともありました。ハウスの2DKの間取りは戦後の日本の団地の間取りのモデルになったといわれています。当時の日本人にとって、DKは新鮮でした。小学校の音楽の教科書にも登場する、独特のそのこ人形はハウスで生まれました。

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会場はそのこさんと一緒に世界を旅した人形たちのイラストが壁一面にかざられていました。中に、吹奏楽器を奏でる子どもたちもいます。これは東日本大震災のおりにサントリーホールで催された大震災高校吹奏楽大会に因んで、出場した高校生をモデルにしたものです。ラララの主、しおみえりこさんは、復興の最中に演奏の場を失ったピアノを被災地の記憶を伝える震災ピアノとしてひきとったり、被災した着物の端切れを使ったパッチワークを世界中に広げる活動をしたり、被災地の復興を様々な形で応援してきましたが、そのこさんも被災地に心をよせていたのですね。

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コンサートの第一部は、歌うピアニスト、吉村安見子さんの弾き語りでした。
「そのこさんに聞いてもらいたい曲を選んだ」と言って演奏されたのは、バッハのアリアに並んで、フランスの詩人、プレベールの「朝の食事」、林光の「ペーペーの草刈り」、木島始の「草の葉」など、など・・・最後に演奏された曲の詞が心に残りました・

      あらゆる若葉には香りがある
      あらゆる目の光には矢印がある
      あらゆる子どもの魂には翼がある
      あらゆる営みで わたしたちは結ばれている

第二部のハイライトはそのこさんの夫である赤川ボンズさんの朗読です。
「魚のいない水族館」やシベリウスの「白樺」の演奏のあと、赤川さんが登場しました。朗読する本のタイトルは「大きなクスノキ」。御園孝さんの文にそのこさんが絵を付けました。二人の合作による絵本は何冊も出版され、そのうち2冊は『知の木々舎』でも紹介しました。

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出番を待つ赤川さん
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朗読する赤川さん 隣はしおみえりこさん

本は、校庭を広げるために切られることになったクスの大木を何とか助けたいと奔走する子どもたちの物語です。子どもたちの願いがこどものころクスノキと遊んだ周りの大人たちを動かして、クスノキは無事に移植に成功します。

これは決して架空のお話ではありません。渋谷区の小学校で本当にあったできごとです。立川でも、同じように道路拡張の為に切られる運命だった3本のプラタナスを赤川さんたちが子どもたちと一緒に守ったことがありました。以前雑記帳で紹介したプラタナスは戦前、アメリカから友好の印として立川基地に贈られ、戦後、基地がなくなった後もずっと立川を見守ってきた樹でした。それを知るこの日の観客の中には、朗読を立川のプラタスと重ねて聞いた人もいたことでしょう。年老いたそのプラタナスは今、防護柵に守られて、若者の集うイケヤのそばに立っています。

アンコールの声に赤川さんは「妻が亡くなって4年たつのに、日に日に僕の中では彼女の存在は大きくなる」と応えていました。

会場に、「大きなクスノキ」の文を書いた御園孝さんの姿がありました。本のモデルになったのは御園さんのお孫さんの通う学校だったそうです。
「樹木の移植ってお金かかるんじゃないですか? 大きな木なら費用も大きい。ここはクラウドファンディングの出番ですね。」
「そうなんですよ。渋谷の場合、1500万円の募金をつのったんです。そうしたら2000万円以上あつまったそうですよ。」

御園さんは、『知の木々舎』にも紹介したミツバチ保護活動家です。本業の造園業のかたわら、自らの畑で自然農法を実践したり、世界中にミツバチを訪ねたり、ブータンの王宮で田植えをしたり、世界を股に、活動はマルチです。このほど嵐山に広大な農地を取得、念願の養蜂家になったということでした。

帰りみち、モノレールの駅でいっしょになった女性から声をかけられました。
「いいコンサートでしたね。(ご夫妻が)羨ましいですね。」
「ええ、ほんとうに。」

ラララは30人も入れば一杯になる小さなスタジオです。
1か月半ぶりに家から出た私の最初の訪ね先になりました。

◆「食とくらしと環境を考える会」の12月の講座のメニューが決まりました。

冬に美味しい大根を使った「薄切り豚肉のみぞれ煮」と「お正月のサラダ」を紹介します。汁ものには「ブロッコリーとエビの薄葛スープ」を用意しました。試作なので写真だけ。レシピは次回に。

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