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こふみ句会へGO七GO(こふみ会・句会ものがたり改め) №120 [ことだま五七五]

こふみ会へGO七GO(こふみ会・句会ものがたり改め)№120
「雷」「万緑」「蟻」「心太」 
                         俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和5年6月の句会≫の案内状が送られました。

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こふみ句会の皆さま

6月に入りいきなり大雨との予報で穏やかではありませんが、気持ちだけは爽やかに参りたいと思います。
今月の幹事を務めさせていただきます、なつめです。

6月の兼題は、先月の孝多さん追悼句会で天をお取りになった矢太さんにお願い致しました。
ありがとうございます。

①雷
②万緑
③蟻
④心太

●投句は6月11〜13日の間にお送りください。
●送り先はお手数ですが、幹事なつめのスマホと自宅の両方にお送りください。
●選句締切は6月20日(火)〜22日(木)

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【当日寄せられた全作品】は下記のとおり。15名60句

◆雷
逡巡を断てとばかりに雷一閃  (弥生)
みどり児は雷鳴連れて生まれけり(華松)
雷に艸かんむりで「蕾」とは(鬼禿)
遠雷や他人行儀な義母といる(下戸) 
雷が廃墟を一瞬絶景に(紅螺)
遠雷や腕(かいな)に眠る吾子の息(なつめ)
一閃の雷光をんなの肩白く(一遅)
雷鳴や男の意気地むくむくと (すかんぽ) 
遠雷は遠き昔の恋の傷(茘子)
雷は地球の恥部へ堕ちてゆく(矢太)
旅立つ日祝砲であれ雷よ(兎子)
雷が行っても続く酒の徳(孑孑)
遠来や友またひとり旅立ちて(虚視)
雷走る宙(そら)の血管気を通ず(尚哉)
雷が怖くて飛び込む蚊帳の中(玲滴)

◆万緑
万緑の底黒き沼静まれり(虚視)
北国で迷い込むなら万緑の山(兎子)
万緑や先づは絵の具の黒を塗る(すかんぽ)
万緑の座付き役者か小椋鳥(孑孑)
万緑を飲み込むあくび午後三時(なつめ)
山みっつ集めてこねればこれ万緑(尚哉)
万緑やパセリにはたっぷりマヨネーズ(矢太)
振り向けば万緑のなか退院す(鬼禿)
万緑にのみこまれたし風騒ぐ(玲滴)
万緑に両手をあげて溶けてみる(一遅)
万緑のトンネル抜けて叔母の家(下戸)
万緑を切り裂いて行く白き鷺(茘子)
万緑をぎゅうぎゅう詰めて送りたし(華松)
万緑や肺の底までみどり色 (弥生)
万緑の熱帯雨林の戦禍跡(紅螺)

◆蟻
森に眠ていつしか蟻に曳かれゆく(すかんぽ)
地の下の蟻の世界を想へばたのし(弥生)
働き蟻の中にもなまけものはいる(玲滴)
蔓の先行こか戻ろか思案蟻(茘子)
蟻よけて歩む黄衣の僧二人(紅螺)
整然と蟻の行列平屋かな(華松)
らしからぬ単独行の蟻何処へ  (孑孑)
花朽ちて蟻の葬列しめやかに  (一遅)
蟻軽き生命とはかくも儚き  (虚視)
母逝きし蟻の隊列乱れもなく  (兎子)
蟻の道誰がモーセかキリストか  (尚哉)
蟻一匹万有引力と格闘す  (矢太)
おい蟻よ挨拶もなく横切るか  (なつめ)
ふっと合ってまた別道をゆく蟻二匹  (鬼禿)
働かず日がな一日蟻を観る (下戸)

◆心太
染付けの靑清々し心太ン(紅螺)
黙々と啜る女房の心太(なつめ)
心太のどに銀河の光り行く(茘子)
はぐれ雲ぽっかりひとつ心太  (虚視)
心太ツンと鼻腔が昭和です(一遅)
あの日みた夢の酸っぱさ心太(鬼禿)
心太長い道草をしたもんだ(矢太)
心太の看板も剥げ海の町(弥生)
あの人は話半分ところてん(すかんぽ)
天突きや一生一芸それでよし  (下戸)
心太申し訳なくそっと出し(華松)
のどをこすつるりがいいね心太(玲滴)
内またの下駄のおさな子トコロテン(孑孑)
映えはない好きを貫き心太(兎子)
心太指先までも酢に染まる(尚哉)

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【天句の鑑賞】
「天」に選んだ句とそれに関する鑑賞短文を簡潔に書くというこふみ句会の約束事。

●遠雷や他人行儀な義母といる (下戸)
鑑賞短文=向田邦子ワールドのようなドラマ感、遠雷が実に効果的です。(一遅)
鑑賞短文=義母との微妙な距離感が、季語と相まってドラマを見ているようです。(すかんぽ)
鑑賞短文=…雷はこっちまで来るのだろうか?気まずい沈黙… ドラマのプロローグのような、緊迫感の句で(尚哉)
鑑賞短文=張り詰めた空間の息遣いまで聞こえてきそうです。(なつめ)

●森に眠ていつしか蟻に曳かれゆく(すかんぽ)
鑑賞短文=一冊の童話のようなストーリーのある俳句。とてもカッコいいと思いました。(下戸)
鑑賞短文=一読して、スウィフトのガリバーを想起させる童話的な句かと思いましたが、読むうちに[死]の暗示もあり、怖い句でもあると思うに至りました。(弥生)

●みどり児は雷鳴連れて生まれけり(華松)
鑑賞短文=派手に誕生した赤ちゃんは、これからの人生、どんな苦難も一蹴する強さを生まれながらに持ち合わせた事でしょう。(紅螺)
鑑賞短文=句の発するエネルギーにうたれました。(虚視)

●一閃の雷光をんなの肩白く(一遅)
鑑賞短文=なんと、なまめかしい・・・!(玲滴)

●雷は地球の恥部へ堕ちてゆく(矢太)
鑑賞短文=墜ちていくのは雷でしょうか。作者でしょうか。(華松)

●万緑をぎゅうぎゅう詰めて送りたし(華松)
鑑賞短文=小生は「瓶詰にして」と読んでいたのですが、御句にうなだれました。(孑孑)

●整然と蟻の行列平屋かな(華松)
鑑賞短文=穏やかないい句です。私は1人アリと遊ぶ疎開先での少年の頃をよび戻してくれました。「平屋」1語も詠む方と読む側との差異が微妙・面白い(鬼禿)

●花朽ちて蟻の葬列しめやかに(一遅)
鑑賞短文=散る花を静かに悼む蟻の姿。亡くなった方へのしんとした思いを感じます。(兎子)

●蟻の道誰がモーセかキリストか
鑑賞短文=女王がいるんだもの。王か神がいるに違いないね。(矢太)

●片思いオデコに切手はる五月 (下戸)
鑑賞短文=「追悼句会」の空気を一蹴した孝多のようなほがらかな句 (矢太)        

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≪今月の天地人≫

天=すかんぽさん 49点
  代表句=森に眠ていつしか蟻に曳かれゆく
地=下戸さん 46点
    代表句=遠雷や他人行儀な義母といる 
人=一遅さん 32点
   代表句=一閃の雷光をんなの肩白く

≪今月の天地人句≫

天=森に眠ていつしか蟻に曳かれゆく(すかんぽ)  35点
地=遠雷や他人行儀な義母といる (下戸)  33点
人=振り向けば万緑のなか退院す(鬼禿)  15点

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≪幹事より、ひと言≫

久しぶりの幹事役で、PC操作に手こずり
お手元に届かない方にはご迷惑をおかけしました。
皆様の句をいち早く拝見し、こういう表現の仕方があるのかと
何度も感服致しました。
                (令和5年6月末日)



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