SSブログ

私の中の一期一会 №261 [雑木林の四季]

    沈没した観光船「KAZU1」が引き上げられ、事故原因の究明へ
  ~「エンジン止まって使えない。前のほうから沈んでいく・・」と悲痛な声~

     アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 知床遊覧船の沈没事故では14人が亡くなり、まだ12人の行方が分からない。
オホーツクの海底深く沈んでいた観光船「KAZU1」が、沈没してから1か月以上経った27日未明にようやく作業船に引き上げられた。

 海上保安庁は、引き上げた船体を業務上過失致死の疑いで押収して沈没原因の究明を本格化させている。
 運行会社「知床遊覧船」の桂田精一社長も立ち会わせ、船体の損傷状態や船内の計器類、備品の状況などを確認した。
 28日には海上保安庁の特殊救難隊員が機関室や倉庫などにも立ち入って捜索した結果、タブレット端末やリュックサックなどの遺留品が見つかったが行方不明者は確認できなかった。
 その後、航空機や船舶により国後島方面まで捜索範囲を広げて捜索したが、行方不明者は見つかっていない。
 観光船「KAZU 1」は元々瀬戸内海で運行されていた船だったという。
 知床遊覧船で船のメカニックをしていた人によると、2005年に知床に来てから改造が行われた。
 元々はエンジン2基を搭載した船だった。
 スクリューシャフトも2本あったから、1つのエンジンがトラブルになっても片方が生きていれば何とかなる。
 ところがエンジン取り払って1つにしてしまった。
 「KAZU 1」はエンジンが1つなくなって船底に空洞が出来た。
 仕切りもないから水が入ってきたらお手上げだ.一気に機関部迄いっちゃうからエンジンが止まってしまうとのこと。
 漁船のように仕切りあれば1つ穴が開いても全部には水が行かないで済む。
 横浜国大の村井教授は、「隔壁があっても一番下に穴が開いたらおしまいだ。最初から水がどんどん入ってきてしまう」と指摘した。
 「KAZU 1」は、海水がどんどん入ってエンジンが止まったと想像できる。
 船体を調べれば、どこから、どのように水が入ってきたかが分かるだろうと専門家は述べている。
 事故のあった4月23日は未明から斜里町ウトロ漁港には強風注意報が出ていた。
 午前10時前に波浪注意報が発令され、午後に運行する予定の観光船はすべて運航中止になった。
 「KAZU 1」の船長も別の会社の人から「今日は海に出ないほうがいいよ」と忠告されていたという。
 それでも観光船は出航したのである。
 午前10時のウトロ港沖合の波は波高2~3センチだった。
 11時を過ぎた頃には波が高くなり始めて、午後2時頃には3メートルを超えるまでになっていたという。
 13時過ぎ、別の会社の人に「KAZU 1」の船長から「大変なことになった」と悲痛な連絡が入って騒ぎになった。
 「エンジンが止まって使えない、前のほうから沈んでいく」という絶望的な船長の声が続く・・
 この声を最後に船長との連絡は途絶えた
 観光船は「KAZU 1」は沈没してしまった。
 子供2人を含む乗客24人と乗員2人の26人の遭難事故となった。
 海が荒れることは分かっていたのに何故出航したのか。
 出航した責任はすべて船長にあるとのことだが、知床遊覧船の桂田精一社長は出航を中止するよう船長に言わなかったのだろうか。
 海上保安庁は業務上過失致死の疑いで桂田社長を調べることにしている。
 桂田社長は、一言でいえば「杜撰な経営者」と言うことが出来る。
 事故後に開いた記者会見では、いくつか実態と違う発言が出てきていた。
 観光船の運行管理者は「KAZU1」の船長だと説明したが、“運行管理者は桂田社長”と届けられている。
 何だか責任逃れのようみられても仕方がない。
 従業員によれば桂田社長は船の事は何も知らないらしい。
 船舶業には3年の実務経験が必要だそうだが、社長の運航歴ゼロではないかという。
 当日の出航中止基準となる波の高さについても1メートルと会見で説明していたが、乗客の家族に配布した文書には0.5メートルと書いていた。基準を正確に把握していない実態が露呈した。
 観光船は緊急事態を他の運営会社に連絡してきたように自社の無線は使えないままで、携帯などで代用していたみたいだ。
 こうしてみると、今回の沈没事故は人災に見える。
 出航するかしないかは船長の判断で船長が全責任を負うことになるらしいが、「他社がやめてもあそこは行くよ」という同業者の声もあった。
 少しでも船を出して・・という儲け優先の犠牲になった人たちが気の毒に思える。
 網走港で陸揚げされた「KAZU1の船体を6月1日に希望する家族に公開することになった。
 家族は悲しみを新たにするばかりだろう。
 行方不明者の捜索は29~31日、24時間体制で行われているが海は荒れているので、地元の漁船や観光船は出航出来ない日が続いている。
 30日は現場周辺の海域で海上自衛隊が知床半島沿岸や北方領土の国後島周辺まで範囲を広げて行方不明者の捜索を続けた。
 「何も発見できなかった」と肩を落とす捜索関係者も多い。
 12人は見つかるのだろうか?・・・


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。