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台湾・高雄の緑陰で №31 [雑木林の四季]

台湾は自ら「台湾」と名乗るべし

   在台湾・コラムニスト  何 聡明

中国大陸の国共内戦で完敗し、1949年に台湾へ逃亡して来た中国国民党政府は中華民国を名乗って台湾統治を続けたが、1971年に連合国常務理事国より除名され、代わりに1949年に成立した中国共産党独裁の「中華人民共和国」が連合国の常務理事国となった。

1996年中国国民党の李登輝氏が台湾で総統選挙に当選し、台湾の民主化が実現した。2000年には本土民進党の陳水扁氏が総統に当選して政権の移転が平和的に行われた。だが、台湾は現在に至るも中華民国憲法を遵守する政府で運営されており、国名、国旗、国歌、年号、国花、国璽は全て「中華民国」を象徴している。それゆえ現在世界には2つの中国が存在するのを嫌った中華人民共和国政府は中華民国が存在する台湾は中国の一部であるとする「一中国原則」を主張;一方、1979年に中華民国と断交して中華人民共和国を承認した米国は「台湾関係法」を立法して今日迄台湾人民との関係を維持しており、「一中国原則」とは異なる「一中政策」を主張している。その政策には台湾は中国の一部ではないと明言していない所謂曖昧政策が隠されている。多くの台湾問題研究者は米国の;「一中政策」は台湾が中国の一部であるか否かについて明かにすれば、中国の強硬な反発を招くので、曖昧にしているのだと言うが、私は米国政府は台湾人が台湾憲法を制定して、正々堂々「台湾」を名乗ることを待望しているのだと思っている。

今年、台湾訪問時に終始「台湾」と呼んでくれたのは米国の厚生大臣と国会議員、チェコの国会議長、スロバキア国会議員、リトワニヤ国会議員、フランス国会議員の他、東京オリンピックでは日本の友人達が台湾選手は台湾の名前で出場せよと声援、NHKの女性アナも中華台北隊を「台湾です」と修正。数日前日本の安倍晋三元首相は日、米、台緊密連携の必要性を強調された。

2016年に再度政権を失った中国国民党は既に反日、反米、親中派に変身し、台湾の存在を蔑ろにしながら中国共産党政府に擦り寄る言行を続けているのだが、私は若し民進党政府が自ら国名を改める努力をせずただ米国政府の対台湾曖昧政策の解除を待っているのであれば、全面執政を誇る与党が「台湾正名」でも他力本願では余りにも怠けであると厳しく叱責したい。

去る12月18日に野党中国国民党と環境保護団体は民進党政府を相手に米国産の豚肉の輸入、数年前に凍結された第4原発の再建設、天然ガス発電施設予定地の変更、国民投票と大型選挙を同日に実施する等4つのテーマで住民投票を行った。投票率は41.08%だけであったが、4テーマとも民進党政府支持者の完勝に終わった。台湾がCPTPP參入のため急がねばならないことは目下禁止中の福島第一原発事故関連の日本食品輸入の解禁である。

世界各国が武漢肺炎で多事多難であった2021年はやがて終焉を迎える。来る新年は如何様な年になるかは予測し難いが、多事多難でない年になって欲しいと願う。


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