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浜田山通信 №280 [雑木林の四季]

『脱成長』と『人新生の「資本論」』

           ジャーナリスト  野村勝美

 コロナ、コロナで年を越した。おかげで暮も正月もない。昨年の半分はアメリカのトランプさんが大活躍して大いに私たちを楽しませてくれた。まだ大統領らしいが、年があけたらいやおうなくバイデン新大統領になる。人間のやることは、どこか滑稽なところがあるが、自然のやることは抵抗するのが難しい。新型コロナは変異種が発生してヨーロッパで猛威をふるっており、やがて極東にもやってくる。そうなると経済もなんとかしなきゃとGoToキャンペーンをはってすぐ中断せざるえなかったガースー氏も日本の主要都市をロックダウンせざるをえなくなる。
 私はもともと卒寿をとっくに越して、脚も痛み、散歩や買い物にも不自由しているから、毎日TVのニュース番組を見るのが仕事(?)だ。トランプさんの時は、コロナとWって時間がつぶれたが、ガースー氏のやることなすこと腹立たしいので、あの御仁が出てくるとチャンネルをかえる。第一ガースーって何のこと? 私はスマホとかSNSの類は一切無縁なので、どうせガースーもそのあたりから始まり、自ら宣伝に役立つと思って言いだしたものだろう。それにしても意味がわからない。言葉には意味があるはずだが、ガースーは単なる記号でしかない。中身がない人にはいい表記かもしれない。
 一国の宰相には申し訳ないが、私はスカ総理と呼んでいる。辞書を引くと【俗】肩すかしを食わされる意。あてがはずれること、とある。新年早々にスカ話もいいかげんにして昨年読んだ2冊の本を推奨して新年の挨拶にします。
 一冊目はいまや論壇の超売れっ子になった斎藤幸平さんの『資本論』。初版が昨年9月22日に出て、たちまち6万部を越えた。昨年はその前にスエーデンの15歳の少女グレタ・トゥーンベリさんが「資本主義が経済成長を優先する限り気候変動を解決できない」と主張、一人で学校ストライキを行った。世界中で若者がグレタに同調、支持した。斎藤さんの本は同じころ店頭に出た。まだ33歳の斎藤さんは一躍論壇の売れっ子になった。白井 聡、坂本龍一、水野和夫、松岡正剛らそうそうたるメンバーが「気候変動、コロナ禍・・・文明崩壊の危機を解決する唯一の方法は脱成長経済だ」と主張する斎藤さんを支持した。基本にはマルクスがあるが、「資本論」のとらえ方がこれまでとまるで違う。マルクスは最後の段階で何年もかけて脱成長コミュニズムという到達点に達した。これで気候変動や格差問題も解決される。
 もう一冊は、セルジュ・ラトゥーシュの『脱成長』だ。この本は昨年出たばかり。われわれはなぜ消費社会から抜け出さなければならないのか、持続可能な開発というスローガンが経済成長という名の宗教を守るためのスローガンにすぎないこともわかりやすく教えてくれる。著者はまだ80歳。「老いはどうにもならない」と訳者に言ってきたそうだが、「まだまだ頑張ってもらわなきゃあ」とひと回り上の小生は言いたい。2著は新書版。読みやすい。

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