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雑記帳2020-1-15 [代表・玲子の雑記帳]

2020-1-15
◆横浜野菜は色とりどり、横浜の地産地消の取り組みを学びました。

横浜市は「活力ある都市農業を未来へ」を目標に、横浜都市農業推進プランに2本の柱をたてています。
①持続できる都市農業を推進する。
②市民が身近に農を感じる場をつくる。

この柱の下で実施される施策は特徴ある横浜独自のものです。
①のために、農業専有地区を設けて地区の特性に応じた農業振興策を策定、まとまりのある農地の保全をめざしていること、
②のために、市民や企業とも連携して地産地消を展開すること。
さらに市では、緑豊かなまちを次世代に残すために、みどりアップ計画と称して様々な取り組みをする中で、みどり税を設けています。全国でも珍しい、年間1人900円のみどり税は、農地の保全や身近な緑化の維持管理に使われています。
こうした施策の下で、横浜市の農地も農家の数もこの50年で3分の1以下に減ってはいますが、現在も農地面積3000haは神奈川県で一番をほこっているのです。

横浜市には「西洋野菜は横浜港からやってきた」という伝統と誇りがあります。
そこで市は「横浜農場」や「横浜野菜」という言葉を掲げて横浜ブランドをうちだしています。
「横浜農場」は、生産者も市民も、企業も、農地も生産活動も、全部ひっくるめた農業全体を一つの農場に見立てた言葉です。「横浜農場」のロゴマークを掲げた畑で生産される野菜はすべて「横浜野菜」と呼ばれます。そして、「横浜野菜」はカラフルでおしゃれな野菜が多いのです。観光客むけには「横浜野菜」を使うレストランを積極的に紹介しています。

最初に訪ねたのは松本こずえさんの畑です。約1haの畑で、50種類100品目以上の、色や形の珍しいマイナー野菜を栽培しています。松本さんの地区はコメよりも野菜にむいているのだそうです。
松本家は代々農家ですが、農業が趣味というこずえさんは、お父さんとは畑も別に、独自の農業をしていますす。農業専有地区のグリーンベルトは防災の意味もある一方で、住宅地と違って、周辺から文句が出ないので助かっていると言います。

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松本こずえさん
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こずえさんの畑(狸は出ないが鼠や鳥の害は出る)

野菜は直売所で売る他、畑の目の前にあるJA横浜へ毎日出荷。店舗は倉庫を使った小型店で、農家にとって出荷しやすいのが利点です。

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JA横浜の「直売所メルカート
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こずえさんの人参も

こずえさんは女性農業者組織「農娘会(のうむすかい)」の初代会長を務めました。
農家の奥さんたちには農協女性部があるものの、農家の娘さんたちにはグループがなかった、「農娘会」は農業をやりたい娘さんたちに声をかけてこずえさんが作った組織です。
自由参加ですが、力を合わせるといろいろな事業ができるのが魅力、最初は5~6名で始めたのが今では12名が参加しています。
女性農業者は食料自給率の向上にはつながらないが、食べる楽しさ、農業の楽しさを伝えることはできる、次の世代につなぐことができるというのがこずえさんの持論です。

こずえさんが野菜を買ってくれる対象として期待しているのが料理好きの奥さんたちとレストランのオーナーシェフです。その、地元の野菜を使うレストランの一つ、「野菜レストラン斎藤」でお昼をいただきました。
こずえさんと斎藤さんの出会いは、たまたま店頭で野菜を買ってくれたこと。そのとき、自分の店の特色を出せるものとして、市場にない野菜をリクエストされたそうです。大きいのもも小さいのも、中にはB級のものも、一緒に収穫すればあとはシェフの斎藤さんが工夫してくれます。
プレートにはソースや付け合わせにも様々な野菜が使われていました。

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目も鮮やかな四種類のカブを使ったサラダ 鶏そぼろ添えの前菜
ランチスープ のコピー.jpg
 シイタケのポタージュ 自家製のクルトンとクリームを添えて
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メイン(魚)の付け合わせにはゆがいた白菜・きゃべつの他、ソテーーした人参・ほうれん草・長ネギ、玄米のおじや風も、酸味のきいた海苔のソースで    
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デザートはキウイとリンゴとレモンの三点盛

斎藤家も400年続いた農家でした。
10年のサラリーマン生活で体をこわし、飛び込んだのがこの世界、農家の作った野菜をどう美味しく食べてもらうかが自分の仕事だといいます。すっかりはまったシェフ稼業は、今では先祖が仕向けたのではとさえ思うそうです。
レストトランは食べ手と生産者に会えるのが魅力。農家の気持ちをうけとめ、客の反応を農家に伝えることで、消費者と農家をつなぐのです。これこそ本当の地産地消だと斎藤さんは考えています。

昼食後、「野菜レストラン斎藤」に野菜を届けているもう1軒の農家、苅部博之さんの畑へ向かいました。
苅部さんは保土ヶ谷区の農家の3代目。150か所に散在する2haの畑で100種類の野菜や果実をつくっています。20年前に畑のそばに直売所を建てました。

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畑で説明する苅部さん
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苅部さんの直売所「フレスコ」

苅部さんは「身土不二」の考え方から、在来種を大切にしています。その地に住む人はその地の旬のものを食べるのが一番、在来種はその土壌にあったものだからです。
その苅部さんの自慢の野菜の一つが「かるべ大根」です。在来種の大根を世界に一つしかないという意味をこめた「かるべ大根」のブランド名は「うかるべ大根」と名付けました。摺って柑橘をたらすとピンクになるのが特徴で、桜咲くイメージにつながるの命名の理由です。
栽培もさることながら、販売を一工夫して差別化するなんてなかなかの事業家です。
いろんな色ができる在来種の人参も「かるべ人参」のシールを貼って売られていました。

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苅部さん自慢のうかるべ大根
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苅部さんの三色人参

事業家の苅部さんは6次化にも意欲的です。生の野菜としてはB級品でも、ジュースにすればOK、それもすべてを自分でつくるのではなく、委託生産という方法をとっています。
製品の種類ごとに違う製造ラインが必要という今の制度では、小さな事業主が自前の工場で何種類もの製品を作ることは難しい。製品ごとに委託すれば小ロットでもできるという利点があります。福祉作業所に委託した苅部さんのトマトジュースはおいしいと評判です。この方法なら、ワインでも肉まんでも何だってできる、これって女性にむいていませんか。

生産者にとって、褒められたり感想を言われるのは大切なことです。
直売所を作ったのも、おいしさを伝えたいと同時に、客の声が聴けるからです。
また、地元の人に愛されるために畑見学や収穫体験も欠かせません。
八面六臂の活躍をする苅部さんにとって、助っ人はどうしても必要です。苅部さんは従業員とよんでいます。お金を払ってくれて独立もしない従業員!? そんな従業員なんているのでしょうか。
どの自治体にも年数万円を出して体験農園を申し込む人がいるように、世の中にはお金をはらってでも農業をやりたい人はいる。苅部さんの農場には、農作業を一緒にやりたいと年1万円をはらって応募してきた従業員が15人もいるそうです。

帰りのバスの中で聞こえてきた、仲良くなった女性農業者の会話です。
「会社に勤めていたころ、営業も秘書も、いろんなことやったけど、農業はそれを全部備えてる」
「こんな素晴らしい職業はないよね」
「お互い、元気で末長くやりましょうね。」

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