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猿若句会秀句選 №88 [ことだま五七五]

猿若句会特選句集  88 (2018年8月18日)

                      猿若句会会亭  中村 信

季寄せ手に巡る花野の小半刻   丸本 武
煌めきは星の鼓動や星月夜     児玉竹子
湾に入る船笛高く星月夜       大橋一火
もう少しそぞろ歩きを星月夜     花柳小春
八月やいくさ果てたる星月夜     中村克久
灯台に流れ落ちたる天の川     佐竹茂市郎

◆猿若句会八月例会の特選句集です。例によって一句だけの短評から始めます。
[短評]  ただし、上掲の特選句集には入っていない句です。 [風軽し星のまばらな星月夜]。ご覧のように特選六句中、「星月夜」の句が四句も入っています。いつも言うように「星月夜」(三秋・天象)が兼題だったからです。星月夜という単語を始めて聞いた方や俳句にあまり興味ない方は「満天の星に月光が重なり明るい夜空」のことだと想像するでしょう。実は私もそうで、その意で一・二句作句した覚えがあります。現在では「満天の星の輝くさまを、月の光りのように明るく感じとった表現」だと、誰もが知っていると思っていました。しかし、今句回の句会に出句六十句中、十八句の「星月夜」の句があり、誤った解釈の句が一句だけありました。それが例句です。本人曰く、「今日の星月夜はあまり輝いていないな」と一瞬思い、これを表現したかったとのこと。実は星はまばらで輝きが少なく、明るく感じとれない場合は星月夜とは言えないわけです。上掲の感想はまず「今日の夜空は……」とならなければならないわけです。意外な落とし穴でした。単語の使い方には気をつけなければならない一例です。特にその単語が季語であり、季語として使った場合はすぐに指摘されます。思わず気を抜いて使ってしまうと、指摘されて文字化までされてしまうとたまりません。あえて作者は伏せておきます。こんな陥穽もあります。推敲は何度重ねても無駄はありません、心がけてください。あまりの暑さに私も気力が薄れています。今回はこんな贅言をあえて書いて、お茶を濁らせて不本意ながら斟酌して終わります。
◇最後にクイズです。すでにお気付きかもしれませんが、今回のこの文章に一か所用語・用法の間違ったところがあります。どこでしょう?
◆句会での特選以外の秀作・佳作については中村信のホームページ《あ》[ http://saruwakakukai.web.fc2.com]をご覧ください。(ただし、該当欄が一時的に更新不能のため、同「掲示板」投稿欄にて代替しています)

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