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コーセーだから №14 [雑木林の四季]

雪肌精の売り場カウンターに和テイストを導入

                                 (株)コーセーOB    北原 保

 2020年に開かれるオリンピック東京大会の公式エンブレムがようやく決まった。野老朝雄さんという人がデザインした作品で、組市松紋という手法を使った作品だそうです。彼は3種類の四角形を45枚組み合わせ、紺色一色でオリンピックとパラリンピックに対して「多様性と調和」のメッセージを込めてデザインしたと語っています。
 間もなくリオデジャネイロでのオリンピックが開幕しますが、その4年後が東京です。しかし、東京オリンピックは決まった途端に様々な問題が出てきています。
 エンブレムに関しての問題はまだ記憶に新しいところですが、その前はメインの会場となる新国立競技場が設計段階でつまづいてしまいました。一度は世界的に活躍する建築家の案に決まったのですが、建築費が予算をはるかに超えるものになってしまうことが明らかになってきて、日本中を巻き込んで賛否の論議がなされ、結果はデザインをコンペ段階からやり直すことになってしまいました。
 2度目のデザインコンペの結果、新たに採用された新国立競技場のデザインは隈研吾さんの作品でした。
 隈さんは日本の建築によく使われる木材などの自然素材を活かしたものや、縦格子などの和のデザインを活かした作品で知られています。根津美術館やサントリー美術館などが代表作だそうですが、最近は活躍の場を海外に広げ、世界的にも注目されています。また隈さんは、建築だけでなく家具や食器などのデザイン手がけています。

 さて、以前にコーセーの雪肌精をご紹介した折にも少し触れましたが、実は新国立競技場のデザインに決定した隈研吾さんに、コーセーは雪肌精シリーズの売り場コーナーのデザインをお願いしていました。デザインの依頼は、新国立競技場の話が出るずっと以前から進められていましたが、ようやく今年の4月から国内のデパートの売り場に導入され始めました。
 売り場(コーナー)のデザインを建築家に依頼することはあまり例がないことだと思いますが、コーセーの小林一俊社長が以前から隈研吾さんと知り合いだったこと、そして誕生日がお互いに同じだったことなどから、お話がトントン拍子に進んだそうです。
 そして、もちろん隈さんが和のイメージに強い建築デザイナーであったことも、大きな要因になったようです。
 ご存じのように雪肌精は青い(瑠璃色)ボトルに漢字の商品名が印象的なデザインが特徴です。発売の時に、商品の内容成分和漢植物エキスを活用していることもあって、このようなデザインになったのですが、コーセーにとっては初のチャレンジでした。
 しかし、瑠璃色は1948年に発売したヒット商品、スキンパールというクリームの瓶に使用した色であり、実績のある色でした。この中身が微妙に透けて見える色は、やはり多くの人の心に訴えかける力があるようで、1988年にフランスのVOGUEというファッション雑誌にコーセーが紹介された時に、フランスの編集者が代表商品として躊躇なく選んだのがこの雪肌精でした。
 しかも、雪肌精の人気は日本国内にとどまらず今や世界的に広がりつつあります。中国や韓国だけにとどまらず、東南アジアの各国からアメリカ、欧米の市場でも高い人気を誇っているのは、その効能効果や使用感に加えて特長あるデザインも大きな役割を果たしていると考えています。
 また、日本国内でも、当初は化粧品専門店中心に販売されていましたが、その後の商環境の激変によって大型量販店やドラッグストアでの販売がメインになってきました。百貨店や化粧品専門店、大型量販店、ドラッグストでは売り方そのものが異なりますし、消費者の買い方も大きく違います。最近では大型電気店、ホームセンターなど様々な業態の店でも同じ化粧品を扱うようになってきました。
 こんな状況の下で、日本における雪肌精の売れ行きも、ドラッグストアや量販店が主となってきています。しかし、雪肌精は化粧水としての知名度が非常に高いことから、化粧品専門店での売れ行きも依然として好調に推移しています。
 コーセーとしても雪肌精グループを育成するために、専門性の高い化粧品店でも売りやすい「雪肌精シュープレム」というラインを発売するなど、ブランドの販売チャネル対応力を高める施策をとっています。
 そして、今年度からは新たに百貨店での販売をスタートさせることになりました。しかも、現在、雪肌精は日本以外では8つの国と地域で販売されていますが、他のブランドとともに百貨店のコーセーのコーナーで販売されることが普通になっています。
 今回の日本における百貨店への導入に合わせて、新しいコーナーを開発することになったのですが、海外でも共通で使える「雪肌精グローバルカウンター」を目指しました。その結果、デザイナーとして白羽の矢を立てたのが隈研吾さんでした。
 幸いにも快くお引き受けいただくことができ、写真のような白木をベースとしたカウンターが完成しました。白木を使用することは、百貨店のカウンターとしてはかなり珍しいと思いますが、和紙風の素材も活用して内側から光をあてるなど、和を感じながらも格調と優しさを同時に感じることのできるカウンターに仕上がっています。
 今年度中に日本の10の百貨店に導入される予定になっているということなので、機会があったらぜひ見て欲しいと思っています。

14隈研吾氏デザインの雪肌精グローバルカウンター.jpg

               隈研吾氏デザインの雪肌精グローバルカウンター


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