修誠の人・小山敬三 №45

初夏の東山手（長崎）

       　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小諸市立小山敬三美術館館長　　小林秀夫

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1962　F50油彩画  64才

この作品は１９７５年に開催された「小山敬三画業６０年展」（日本橋三越）では「初夏の東山手」と題されていたが、その後いくつかの画集では「初夏の長崎南山手（長崎）」の題名で紹介されてきた。
額の裏蓋をはずしてキャンバスの裏を見ると、画伯の筆で「初夏の東山手」と記されていた。
長崎は坂の街で、南山手も東山手も坂とともにある。画伯のふるさと小諸も浅間山麓にある坂の街だ。坂とともにある長崎の風景は、ふるさとにつながる光景だったのかもしれない。
この作品とほぼ同じ構図の水彩画が、美術館にある。スケッチをもとに小品を描いたうえで本画に取り組んだものと思われる。
第五回現代日本美術展出品作品

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【小山敬三画伯略歴】
1897（明治30年）長野県小諸町（現在の小諸市）で醸造業（現在「信州味噌―山吹味噌―」）を営む23世小山久左衛門正友の三男として生まれた。上田中学校卒業後慶応大学予科に入学したものの、芸術家への思い絶ちがたく、反対する父を説得して川端学校に入学した。その後、父と親交があった島崎藤村の勧めもあって、８年間フランスに留学した。
フランスでは、アカデミー・コラロッシュでシャルルゲランに師事して、絵画の基礎を固めた。留学中サロン・ドートンヌに入選、のちには会員・審査員にもなった。また、フランス人マリー ルイズと結婚。
帰国後は茅ヶ崎にアトリエを建て、そこで多くの名作を描いた。1936年二科会を退会し安井曾太郎らと一水会を創立した。その後日展などで作品を発表。日展評議員、理事を歴任した。1960年には日本芸術院会員、1970年文化功労者。1971年小諸市名誉市民となった。1975年には小山敬三美術館を建設し、作品と共に小諸市に寄贈。同年、文化勲章受章、1976年には茅ヶ崎市名誉市民となった。1987年89歳で死去。
　代表作は「浅間山」「白鷺城」の連作。グランドプリンスホテル新高輪には画伯が85歳の時に描いた「紅浅間」（縦４メートル横１２メートル）がある。

【小山敬三美術館】〒384-0804　長野県小諸市丁221

 

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by aerolioralign (2020-06-23 11:40)