四季つれづれ №50 [ことだま五七五]
亥の子
俳人・「古志」同人 松本 梓
菰巻いて松の大小おのがじし
山茶花の咲きながらかつ散りながら
綿虫のあるとしもなき翅使ふ
警官が去つて人散る日短
連結器きしる二輌車山眠る
十一月の亥の日は“いのこ”で、この冬はじめて炬燵が出され火を入れる日である。各々の家では仕立て直した炬燵蒲団を掛け、亥の子餅を搗いて供えた。小学五、六年生の男の子は町内の小学生を集め“いのこ突き”に出かける。丸い石に縄を巻き六つの引手をつけたもの(これは町内の年寄が作ってくれた。)を引っ張って一軒毎に「いのこを突かせてください」と声をかけて歩く。許しが出るとその家の玄関先に丸い石を据え、六人が引手をもってひっぱって上下させ、地面を叩く。その時数え歌を歌い調子をそろえて地面を打つ。
いのこ、いのこ、いのこ餅搗いて祝わんものを、
おえべっさんという人は、石に俵を踏んまえて、
二でにっこり笑わんしょ、三で酒を造らんしょ、四つ世の中良いように、
五つ・・・(失念)、六つ無病息災に、七つ何事ないように、八つ屋敷を建て広げ、
九つ米倉建て並べ、十でとうとう納めた はーんじょ(繁盛)せい、
はーんじょせい、もひとつおまけに繁盛せい
俵をふんまえているのは大黒さんで、それがどうして恵比寿さんになったのか。もっとも恵比寿さんの方が商売繁盛の神様だから入れ替わったのかも知れない。(私のうろ覚えであるから心もとないけれど)いのこ突きが終ると、家の人が何がしかのお小遣いとお菓子やみかんをお礼にくれた。それをついて来た小さい子供たちに持たせる。こうして小さい子供にも一役かかわらせた。
いつもはいたずら坊主であるが、今日は皆神妙にお辞儀をして、いのこの丸石を引っ張りながら次の家へ移っていった。
僕が子供の頃、子供達が3~4人でチームを組んで、亥の子もちを突いて回りました。外で祝おか、内で祝おか、から始まって色々なお囃子をしました。おもしろいエッチなものが多いです。
by 黒田 保司 (2014-02-25 10:07)
僕は熊本の天草の御所浦の大浦の生まれです。子供の頃亥の子餅つきに他所の家を回りました。外で祝おうか、内で祝おうか、から始まって、よいとんな、よいとんなと頑張っていました。まだまだ色んな事を囃していました、楽しい思い出です。
by 黒田 保司 (2018-08-15 18:34)