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浜田山通信 №258 [雑木林の四季]

大暖冬

            ジャーナリスト  野村須美

 年明けてからも東京は暖かい日が続き、体調の芳しくない私にはありがたいことだ。大暖冬というらしい。地球の裏側のオーストラリアではいま大暑夏で、もう4か月も森林火災が続き、東北六県と四国を合わせた面積が焼失した。コアラヤワラビー、カンガルーなどの逃げ回る姿や隣国のニュージーランドの空までオレンジ色に染まった様子をTVで見せられるとぞっとする。このオレンジ色の空は遠く離れたチリ上空にも拡がっているという。オーストラリアの最大都市シドニーの最高温度は48.9度、とてもじゃないが人間の住める暑さではない。気象異常はダイボールモード現象の変化でインド洋の海面温度が上昇、積乱雲が発生して落雷があったため森林火災が発生したと解説しているが、要するに海面温度の上昇こそ地球温暖化の現われなのだ。
 新年早々アメリカファーストの大統領がイランのソレマイニ革命防衛司令官を無人ドローンで暗殺し、すわ報復戦争と世界中がドキッとしたが、イラン最高指導者もいまの文明生活を戦争によって失うことはできず、形だけの報復でケリがついた。実際、戦争ごっこなどしている情勢ではないのだ。戦争は間違って何の関係もないウクライナの旅客機を撃ち落とし、あげくの果ては絶対的最高指導者に対する反対デモまで行われる。世界の独裁的権力者に対する反抗は香港、台湾、ロシアなどでも実現している。自由を謳歌するアメリカだって強力な反トランプ勢力がある。そして何度もいうように地球温暖化である。
 わがグレタ・トウーンベリさんはまったく絶妙な時に世界のヒロインになった。彼女をCOP(国連機構変動枠組み条約締結国会議)に招いて演説させたグテーレス国連事務総長のお手柄でもある。彼は「私たちは本当に現実から目をそらし、地球が燃えている間も時間を無為に過ごした世代として記憶された」と述べた。国連は行動力を持たないといわれてきた。常任理事国の一国でも反対すればどんな有効な政策でも実行できない。実際アメリカはパリ協定そのものからすでに脱退しているし、日本は温暖化対策に消極的な国として2回も“化石賞”をもらっている。海外の研究機関が発表しているパリ協定の目標によると「決定的に不十分」はアメリカ、ロシア、サウジ、ウクライナ、トルコ、ベトナム。日本は中国、韓国、ドイツ、インドネシアなどとともに「きわめて不十分」。目標は産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えているのだが、見本になる国はゼロ。「1.5度に整合」がモロッコ、ガンビア、「2度に整合」がインド、コスタリカ、ケニア、ブータン、エチオピア、フィリピン。総じて発展途上国のほうがよい。
 ツイッターなどにはグレタさんへの誹謗中傷、からかいがあふれているらしい。人間はどうしようもないところがある。唯一幸いなことは出生数がどんどん落ちていることだ。神の摂理ということなのかもしれない。

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