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私の中の一期一会 №171 [雑木林の四季]

    気温40度超え、気象庁は「命に関わる危険な暑さ」として注意を呼び掛けた
    ~台風12号は東から西へ、「今迄の経験が通用しない可能性がある]と気象庁~

              アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 今年の夏も例年通りの酷暑が続いている。梅雨明けが例年より早く、猛暑日が何日も続いているから、熱中症への注意が毎日のようにテレビから流れてくる。
 それにしても‟今年の暑さは異常だな”と感じた人は私ばかりではないだろう。
 今月23日、埼玉県熊谷市で日中の最高気温が摂氏41.1度に達し、観測史上の国内最高記録を更新したというニュースを耳にした時、私は「異常気象」という言葉を思い浮べていた。
 2013年8月12日に高知県四万十市西土佐江川崎で記録した摂氏41.0度が、これまでの国内最高だったから、5年ぶりの記録更新だったことになる。
 23日は、東京青梅市で40.8度、岐阜県多治見市で40.7度、山梨県甲府で40.3度と、40度を超えた地域が多かった。この日は全国で3564人が熱中症で救急搬送されている。日本列島はまさに灼熱地獄の様相であった。
 2018年7月23日は、4カ所で国内最高記録を更新していたことになる。
  事態を重くみたのだろう。気象庁の竹川予報官はこの日の夕方緊急記者会見を開いて、連日の猛暑を「命に関わる危険な暑さで、一つの‟災害”と認識している」と説明して、改めて熱中症など健康管理への充分な注意を国民に呼び掛けた。
 この日NHKの首都圏ニュースは「各地で命に関わる危険な暑さになっていて、連日、熱中症とみられる症状で病院に搬送される人が相次ぎ、死亡する人も出ています」などと繰り返し報じた。
 地震や津波、大雨ばかりが自然の脅威ではない、異常気象も間違いなく自然の脅威であり、「災害」と考えて欲しいという訳である。
 課外授業に参加した愛知県の小学1年生の男の子が17日、熱中症で死亡したというニュースは痛々しかった。厳しい暑さの中を屋外授業のため公園へ行き、学校に戻ったあと男の子は意識を失ったという。すぐ病院に搬送されたが死亡が確認された。死因は熱中症であった。
  熊谷市で41・1度が記録された日、三重県松阪市の住宅で80代の女性が倒れているのが見つかって救急搬送されたが、病院で死亡した。家族の話では冷房を使っていなかったという。死因はやはり熱中症だった。
 みずほ情報総研が平成26年に調査したデータによると、高齢者は節約を意識する人が多く、うちわや扇風機で暑さをしのぐ傾向が強いという。
 節約意識を持つ人を年代別にみると,20代は18%、30代~50代は30%、60代35%、70代以上は39%となっている。年齢の高い世代ほど節約意識が強いのが分かる。
 テレビのニュースでは高齢者が熱中症になり易いからと、高齢者に向けては頻繁に注意を呼び掛けることが多いが、子どもを持つ親にも注意を呼び掛けるようになってきた。
 専門家によれば、子どものほうが大人よりも熱中症にかかりやすいということだ。
 子ども、特に乳幼児は汗をかく機能が未発達のため、大人に比べ体温調整が上手くできない。
 背も低いから地面からの照り返しをもろに受けてしまう。身体に熱が溜まって体調を崩すのだ。
 夢中で遊んでいるから体調の変化にも気づかないのだろう。身体に熱がこもって体調が悪化しても、おかしいと訴えることも上手に出来ない。周りの大人が気付かなければ熱中症になってしまうのだ。
 消防庁は24日に今月16日から22日までの一週間に熱中症で救急搬送された人数を発表している。
 それを見ると、全国で2万2647人を病院に運んでいた。だがこれは速報値で、4月30日から熱中症による救急搬送を初めているので、24日までに消防庁が把握している累計人数は4万3813人になるというから驚きだ。
 熱中症による死亡者は24日迄に65人、3週間以上入院が必要だった人は685人に上っている。
 24日から1週間経過した今日31日、この数字は増えている筈である。
 我々は「命に関わる危険な暑さ」という表現が、決して大袈裟ではないと認識すべきだと私は思った。
 7月21日から24日まで行われる予定だった京都祇園祭の花笠巡行が猛暑続きのため中止になった。
 花笠巡行には毎年300人近い子ども、お年寄り、着物姿の女性など多くの参加者がいるという。
 今年は子供の親たちから「参加を遠慮したい」という申し入れがあったそうだ。
 主催の祇園祭花笠連合は「安全性を考え中止を決めました」と話していた。参加者ばかりでなく沿道の観衆にも命の危険がある訳だから賢明な決断だったのではないだろうか。
 高校野球京都大会では23日、猛暑対策として3時間ほどの昼休みを導入して話題になった。
 一日4試合の予定を第2試合のあと、第3試合の開始を2時間半ほど遅らせたのである。
 このため第4試合は午後7時半開始のナイターになった。試合終了は夜10時半過ぎになったが、「いい判断だった」と称賛の声が多かったという。
 球児たちは暑さに慣れているだろうが、スタンドで応援する生徒たちにとっては地獄になる。「立ってるだけで身体がおかしくなる。野球どころじゃない」と考えるほうが正常なのである。
 高齢者や子どもばかりが熱中症になるとは限らない。若くても熱中症になる危険は同じなのだから・・
 8月5日に開幕する夏の甲子園大会、今年は100回の記念大会だが、高野連がこの25日に異例の熱中症対策を発表した。
 1)選手と先導役は高野連が配布する水入りのペットボトルをポケットに入れて開会式に臨む。
 2)プレー時間が長くなったら試合を中断、水分補給のための休憩を入れる。
 3)理学療法士がベンチで選手の水分補給を確認する・・・というもの。
 これを知った教育評論家の尾木ママは「水をたくさん飲もうとか、延長になったら休憩をとろうなんて、そんなアホなんじゃなくて、思い切ってドームにするとかの安全対策を真剣に考えるべきだ」と批判したという。高野連に柔軟性があるとは思えないが、委員会を立ち上げて真剣に検討せよと批判した。
 とにかく今年の暑さは異常だ。命に関わる危険な暑さなのだから・・「災害」だということを考えるべきだと私は思っている。
 28日から月末にかけて本州に接近してきた台風12号は、一言で言えば「ヘンな台風」に思えた。
 北上してきた台風が日本列島に近づいてから、太平洋側に沿って次第に進路を変え西に向かって進んだからだ。
 気象庁は「これまでの経験が通用しな可能性がある」と発表して、厳重警戒の呼び掛けている。
 南海上で発生した台風は反時計回りに回転しながら西へ進んで中国大陸方面に向かう。次に偏西風にのって北上しながら日本近海に進んでくるケースが一番多い。
 調べてみると、東から西へ移動する台風は初めてではないのだ。
 06年7月25日、台風7号が関東に向かって北上してきたのに、突然、鹿児島の東海上方向に進路を変えた。以後西寄りに進み周防灘を通過した。確かに東から西に向かっていたのである。
 台風は気圧配置によって進路が変わるので、必ず西から東へ進むと決まっている訳ではないのだ。
 台風12号は九州地方で南に向きを変え、屋久島付近でさらに一回転して東シナ海方面へ向かうようだ。
 予報によれば、東シナ海は海面温度が高いので、台風はで再び息を吹き返し再発達するという。
 やはり「ヘンな台風だな」と私は思う。
 明日から8月、猛暑はまだまだ続くという。気持ちが萎えるが耐えるしかない。
 

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笠井康宏

藤田さん、おはようございます。連日の猛暑で、これからどうなってしまうのか、毎年40度を超えてしまうのか不安になります。2年後の東京オリンピックが大変なことになりそうですね。
by 笠井康宏 (2018-08-14 05:38) 

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