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続・対話随想 №25 [核無き世界をめざして]

   続対話随想25 関千枝子から中山士朗さま

                      エッセイスト  関 千枝子

 怒ること、驚くようなことばかり起きて、いろいろ忙しくもあり、なかなか筆が取れずにいました。
 腹が立つこと第一。画期的な「核兵器禁止条約」ができたのに、批准など全く考えない日本政府です。もともと、日本は核兵器廃絶条約に乗り気でなく、そのため、岸田前外相は「ヒロシマナガサキに来てくれ」とオバマを招いたり、私から見ればまことに姑息な行動をとっていたのですが、条約の採択会議にも出席もせず、世界の国々に対して恥ずかしいと思っていました。安倍首相は、広島、長崎の式典の挨拶でも条約に一言も触れず、批准する意思はないと言い、長崎の被爆者は、あなたはどこの国の総理ですか、と怒りを表明しました。アメリカの核の傘にいる(抑止力の壁)国の悲しき性(さが)かもしれませんが、なんとも情けないです。政府支持の低下に閣僚を入れ替えましたが、「人気取り」の目玉商品の河野外相も、核兵器禁止条約を「アプローチが違う」とか、ひどい態度です。河野外相のお父さんの洋平氏は今の政府のやり方にかなりはっきり反対していますから、ちょっと期待する人もいたようですが、太郎氏は岸田外相と全く同じです。今の自民党では、安倍氏に批判などできるはずもない。閣僚になったら違うことなど言えるはずもない。河野太郎氏など、昔あれほど言っていた原発のことなども一言も言いませんね。結局,トクをしたのは安倍氏でしょう。人気が少し持ち直したそうですから。
 そんなときに、北朝鮮のミサイル、水爆実験騒ぎ。北朝鮮の.やり方は感心しませんが、日本の対応も異常で、新幹線を止めたり、全テレビが一斉に緊急の画面に変わり避難の呼びかけとか、どうも過剰すぎると思いました。そこへ石破氏などが、非核3原則の見直しを言ったりして、本当に怖いと思いました。石破氏は.そのあとは発言していないようですが、テレビの番組で、右翼の評論家?が同様の見解を語っているのを見て本当に怖いと思いました。被団協は核兵器廃絶の署名をまだとり続けていますが、こんなことをするより、日本政府の核兵器廃止条約を批准せよという署名を集めたらどうですか、と被団協に提案してみたのですが‥‥。

 ここまで書いて一休みしていたら、その間目まぐるしく政治の世界変わりまして、降ってわいたよう解散。小池百合子都知事の「希望」が選挙に出ると「小池人気」を頼みに、民進が「希望」に入るという騒ぎ、そんな馬鹿なと思っていましたが、民進の議員たちは「了承」のようで、いったい、一度は政権をとった党が事実上解散でいいの?とあきれ果てていましたら、図に乗った小池氏、「厳しく選別する」と言います。その選別の基準は、改憲と安保関連法を認めるかどうか、ということですから、とうとう彼女本性が出たな、と思いました。さすがに、民進のなかでも「リベラル派」は、「希望」に入らない人々で、新しい党を作りました。私は、「こと」がよく見えてきた、と思っています。一度は政権もとった最大野党が、事実上解党となるのは悲しい話ですが、二大政党論の中自民党でないということで、寄せ集め、根本のところ(憲法に対する態度)などでちがいのある人々が集まって作った政党、こうなるのも無理はなかったように思えます。このところの政界の大騒ぎ、選挙前の大バタバタということで、マスコミも大騒ぎですが、二大政党論のことを言う人いませんね。私は、二大政党、日本では絶対だめだと思っているのですが。
 この事態になったのは、自民党員でありながら自民党都連のたてた候補に逆らい、勝手に立候補し、予想を上回る大差で当選、その後の都議選でも「チルドレン」を圧勝させた小池人気です。「改革」とか、しがらみのない政治とか言った言葉に皆、酔ってしまう。野党、市民連合と言ったところが束になっても成功しなかった知事選挙で、小池さんが、自民党候補を破ったのは、多くの人々を驚かせ、熱狂させました。とにかく彼女は、選挙上手。それで、小泉元総理は、郵政選挙のとき、引っ張り出させて、落下傘候補第一号、期待通り選挙に勝ち、女性初の防衛大臣になったり「活躍」。彼女は女性総理第一号を夢見たと思います。しかし、彼女は安倍氏の”直系”ではなさそうだし、自民党都連とも相性はよくなかったようです。しかし、私など、小池さんの、政治というか政党遍歴、また、その保守的な考え方を知っている者には、「小池人気」が不思議でなりませんでした。
 とにかく、この国の人々、「改革」と言った言葉にすぐ惑わされるようです。安倍さんも、小池さんも「改革」と言います。皆、「改革」大好きです。「しがらみのない」もそうです。
 小泉さんが人々を昂揚させた言葉。改革、規制緩和、あるいは小さな政府。だけど、郵政民営化で、人々の暮らしよくなったの?といいたくなりますが。でもみなそんなことは忘れてしまい、また、熱狂する。このこともう詳しく書くスペースもありませんが、とにかく、この現象、怖いです。それは戦争の始まりのころ、満洲ブームとか、爆弾3勇士への「感激」、何か、そんなことを連想させるのです。
 そんなことを思っていたら、安倍さんは、北朝鮮問題と少子化とをあげ「国難」なんて言い出しました。満州事変の後、世界から孤立化し国際連盟から抜けた日本で「国難」が大いに使われたことをいやでも思い出さずにはいられません。

 とにかく、今度の選挙、大変な事になりそうです。選挙騒ぎの起こる前、秋、来年の国会で安倍氏が憲法改悪、特に9条の改悪の妙な案を出して来そうだというので、改憲反対憲法を守る全国署名を3千万集めようという運動が起こりました。3千万署名なんて大変な事ですが、これをやらなければ危ない、憲法は本当に崖っぷち、今年から来年が山と思います。私は、安保関連法案反対で女性だけの訴訟に入っていますが、その人々と一〇月八日、有楽町のマリオン前広場でリレートークとこの3千万署名の署名集めをしました。スピーカーが何人集まるか心配していましたが三〇数人集まり、若い方々もおり(私たち世代より若いという意味ですが)安心しました。しかし、三時間半もしゃべったのに、チラシを受け取る人が少なく署名をした人も一〇〇人ちょっとで、私はショックでした。銀座に遊びに行く人々で、憲法のことにも政治にも無関心な人が多いのかもしれないけど。それにしても。
 それから、核兵器禁止の方、ノーベル平和賞を「アイ キャン」が受賞しました。禁止条約採択に貢献した世界の市民団体です。ヒバクシャの方のなかには、被団協がもらうと期待していた方もあったようです。しかし、私、被団協でなくアイキャンがもらったのは、少し「皮肉」があったように思えてなりません。ヒバクシャたちはその長い闘いを褒められました。しかし、ヒバクシャたちの国の政府は、条約採決の会議に参加もせず、今も批准をするどころか、実に冷たい態度です。世界は、この政府の態度をどうにもできない「ヒバクシャ」たちに、もっとしっかりしろと,暗に言っているように思えます。私は、今度は、政府に批准せよという署名運動をすべきではないかと思います。北朝鮮の核が言われる今、「抑止の壁」でなく、核兵器の禁止、廃絶しか、道はないと。このままでは、「非核三原則」の見直しを声高に言う人が出てきそうですから。







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