四季つれづれ №30 [ことだま五七五]
紅玉
俳人・「古志」同人 松本 梓
菰巻いて松に丹田生まれけり
鬼の子の地とのあはひを計りゐる 鬼の子・・・蓑虫
芯ぶれてこらへ性なし木の実独楽
今日は今日の明日はあしたの落葉掃く
家よりも落葉溜りの好きな猫
往きに見て帰りなかりし落葉焚
手伝ふといふ邪魔が入り日短
店頭にりんごの紅玉が出ると早速三つ四つ買い求める。紅玉はあまり品が多くなく、期間も短いのでジャムを作るのにその時期はのがせない。重いので二、三度買いに出る。子供や孫たちも大人になると甘いものを好まなくなり、専ら自宅用に自己流で作っている。ものを刻むのが苦手になってきたが、何、多少の不ぞろいはかまわない。実が透き通るまで煮て、ここで甘味を控え目に加え煮つめてゆく。途中、レーズンを散らし、シナモンの粉を振り入れ、レモン汁で酸味をおぎないつつ焦がさぬよう気をつけて仕上げる。
壜に四つ、五つ作って冷蔵庫に入れておくと長く楽しめる。これらをきれいな包み紙とリボンで飾り、誕生日やクリスマスや、また頂きもののお返しに差し上げるとよろこばれる。ジャム作りはとぎれなく毎年続き、旬になれば苺、いちじく、りんご、柚子、オレンジママレードなど楽しんで作っている。ものを作って貯蔵してあるのは心身ともに充実して満たされる。自家用がいつの間にかプレゼントしすぎて足りなくなる、それはそれでたのしい。
柚子煮つむ透明はよろこびに似て 細見綾子
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