山羊の歌 №7 [文芸美術の森]
臨 終
詩人 中原中也
詩人 中原中也
秋空は鈍色(にびいろ)にして
黒馬の漣のひかり
水涸(か)れて落つる百合花
あー こころうつろなるかな
神もなくしるべもなくて
窓近く婦(をみな)の逝きぬ
白き空盲(めし)ひてありて
白き風冷たくありぬ
窓際に髪を洗へば
その腕の優しくありぬ
朝の日は澪(こぼ)れてありぬ
水の音したたりてゐぬ
町々はさやぎてありぬ
子等の声もつれてありぬ
しかはあれ この魂はいかにとなるか?
うすらぎて 空となるか?
2024-12-29 08:41
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