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美味懐古 №5 [雑木林の四季]

クイーン・アリス

             加茂史也

  前説・世の中の移り変わりに消えていった店がある。1950年代から1970年にかけ東京   
  にあった店。今も憶えている店。そんな店を心の内に訪ねてみた。

六本木の交差点から青山へ向かう坂道を降りて中程、西麻布にクイーン・アリスの店がある。オーナーシェフ石鍋裕が構築した白色で統一した洒落た洋館だ。ヨーロピアンスタイルの室内は、豪華なインテリアで魅了する。部屋が明るい。

石鍋さんは1948年の横浜生まれ。19歳で料理人の道を選び、東京の何軒かの店で修行。
28歳でフランスへ渡り、名店マキシム・ド・パリ、ヴィヴァロア、ムーラン・ドゥ・ムージャンで働いて帰国。六本木“ビストロ・ロテュース”のシェフを6年問勤めて1982年にこのクイーン・アリスを創設した。

多くの女性雑誌に取り上げられているからだろう。着飾った若い女性が席を占めて賑やかな話し声。
白衣の石鍋さんがテーブルをめぐってにこやかに声をかける。それに応える客の歓声が潮騒のようだ。

 メニュー
  桃のカクテルミント風味と揚げ春巻きのカレー風味
  ホタテ貝のコート・ダジュール風
  フォア・グラのソテー、茄子添え
  ヴィシソワーズ
  軽い自家製のスモークド・サーモン
  山ブドウのグラニテ
  牛ヒレ肉網焼き
  鴨のステーキ・黒ごま風味
  骨付き仔羊のバジリコ風味
  仔牛の舌のアリス風網焼き

私は
  ホタテ貝のコート・ダジュール風
  ヴィシソワーズ
   骨付き仔羊のバジリコ風味
を注文した。なぜか皿の上の飾り付けが洒落ている。細やかな味の仕上がりだ。量も適当にあって人気を呼んでいる理由を納得。

  「いったい、美味しさとはなになのでしょう。
  汽車に乗っているあなたが、同じ速度で走る汽車を車窓に眺める時、まるで自分の汽車は動いていないかのように思うのと同様に、美味しさも相対的なものだと言えましょう。
  美味しさが単に皿の上だけにとどまらず、皿が登場する背景をも含んでしまうこと、これは、レストランのサーヴィス、雰囲気、料理の旨さ、というギード・ミシュランの三大定義ではひとまとめにできない、美味しさの魔術です」
      -『石鍋裕のすペシャリテ』- 
                             -                            
1980年代にレストランチェーン「クイーン・アリス」を各地で経営していたが、現在は横浜ベイホテルの東急内の店舗のみで営業している。。


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