美味懐古 №3 [雑木林の四季]
オー・シザーブル
加茂茂也
前説・世の中の移り変わりに消えていった店がある。1950年代から1970年にかけ東京にあった店。今も憶えてい る店。そんな店を心の内に訪ねてみた。
この店の名前は、「六本木」をフランス語でいうとこうなるとか。
六本木交差点から青山の方へ向かい初めての横丁を左へ曲がると裏手に店が見つかる。
扉を開くとテーブル席17卓のこぢんまりした店だ。常連客に評判が良いせいでいつも混んでいる。
ぎっしりと詰め合わせて坐る客の雰囲気が醸し出す独特の気配がある。幾組もの話し声が弾んでいる。
マダムが混み合った客の間をすり抜けるようにして注文をとる。マダムの勧める献立に応じる客も少なくない。
メニュー
野菜の煮込み・ジュレー添え
フォアグラノソテー・オニオンソース
リー・ド・ヴォーとフォアグラのポアロー包みサラダ添え
エスカルゴのラビオリ・コンソメソース
コチの詰め物アンチョビソース
マダイノポアレー・ノイリ風味
カモの薄切り赤ワインソース
仔牛ノフィレ肉トリュフ風味
マルキーズショコラ
バナナのスフレグラストカラメルのアイスクリーム
私はここで味わった料理を記憶している。
出される料理は流行しているヌーベル・キジィーヌと言った最新の傾向ではない。ごく普通のこれまで通りのものだ。しかし創り上げるには手がかかっていると思われる。
カモの胸肉の塩漬けを岩塩で包み、それを外してパプリカとかイエンヌを酢で溶いたものを塗布し風干しにする。それを薄切りにして提供するのだ。さりげない一品。それが旨いのだ。
仔羊の肩肉のスパイシーな煮込みを玄米と煮込み。スパイシーさが麦や玄米とよく合う。
グリンピースの冷製スープは、グリンピースの香りがふわっと香って美味しいです。
季節の食材キノコ。茸を主役にした、芳醇な香りが威力発揮したスープ。茸のフリッカッセのようにきのこのみじん切りもいっぱい。
この店は一人で行くと味気ない。男でも良い、女でも良い。語り合う、共に食べる 楽しい人と行くべきだ。
2024-10-30 08:36
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