こふみ会へGO七GO №136 [ことだま五七五]
こふみ句会へGO七GO №136
「松茸」「千秋楽」夜学」「秋の雲」
俳句・こふみ会
幹事さんから、≪令和6年10月の句会≫の案内状が送られました。
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こふみ句会の皆さま
10月幹事の下戸です
やっとのこと過ごしやすい気候になりました。
いよいよ俳句の季節です。
10月のこふみ句会のご案内をさせていただきます。
【兼題】(各兼題一句、計4句投句してください)
●松茸・茸
●千秋楽・楽日・楽
●夜学
●秋の雲 鰯雲、鯖雲、鱗雲
【スケジュール】
10月17日(木)24:00投句締切(下戸に送付お願いします)
10月22日(火)24:00選句締切(下戸に送付お願いします)
今回も、兼題は弥生さんにお手伝いいただきました。
過去の兼題とかぶらないように心がけているつもりですが…。
さて、メンバーも増えてにぎやかな10月のこふみ句会。
皆さまのご健吟を、楽しみにしています。
【トピックス】
今月より兎子さんの紹介で、丁子さんが仲間煎りしました。総勢19名。
にぎやかになrますね。
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案内に応じて以下の句があつまりました。19名76句。
【松茸・茸】
01 久しぶり松茸の香スリリング(茘子)
02 松茸も大き過ぎては持て余し(華松)
03 松茸を裂きて移り香指先に(虚視)
04 松茸を焼いて一日終えにけり(尚哉)
05 松茸や箸のときめき老いし指(英愛)
06 いいじゃない松茸風味混ぜ御飯(八傘)
07 酒呑まぬ身に松茸の香(か)しみじみと(玲滴)
08 松茸の礼は輪バラに包まれて(審茄)
09 松茸や山里おもう通勤バス(兎子)
10 松茸や十秒かけて吸い込めり(なつめ)
11 松茸やかつて少年期のありしこと(矢太)
12 銀座なり地味な茸ほど毒がある(下戸)
13 松茸のどこがうまいと姪が問い(丁子)
14 しゆわつちと大き松茸引き抜けり(すかんぽ)
15 きのこきのこ誰か足りなくなつてをり(高久麻里)
16 茸雲? オッペンハイマーの愁傷(鬼禿)
17 松茸を志野の土瓶で手酌酒(紅螺)
18 その昔松茸という珍味あり(一遅)
19 一夜茸(ひとよだけ)一夜にかけし命かな(彌生)
【千秋楽・楽日・楽】
20 千秋楽テレビ桟敷の晩ごはん(一遅)
21 五分の星明日は楽日であとがない(紅螺)
22 千秋楽負け越し力士足重く(尚哉)
23 羽織もの一枚増えて楽日かな(丁子)
24 The End は 千の楽とや千秋楽(矢太)
25 楽日来て次の楽日に向かうかな(華松)
26 ひび割れて千秋楽の土俵かな(すかんぽ)
27 千秋楽スマホに迫る幕の端(英愛)
28 小さき劇場(こや)短き出会い明日は楽(虚視)
29 奥席に楽日五街道ひとり飲る(八傘)
30 楽の彼殺人者の顔は脱ぎ(兎子)
31 升席にシャネルただよう楽日かな(下戸)
32 昨日より今日より明日の楽日かな(なつめ)
33 楽日に進退かける土俵ぎわ(玲滴)
34 このオレもチョンと木が入りゃ千秋楽(鬼禿)
35 楽の夜は井原西鶴闇深し(茘子)
36 憂きことを抱え楽日の喧噪に居る(彌生)
37 星さえも朧げになり千秋楽(審茄)
38 千秋楽の呼吸に浅き深きかな(高久麻里)
【夜学】
39 立て看と夜学早稲田に在りし日よ(彌生)
40 夜学にて好きなひとつを見つけたり(華松)
41 すれちがう皆無口なり夜学生(なつめ)
42 現場から夜学へ直行 外来生(鬼禿)
43 夜学子のネクタイは風神楽坂(審茄)
44 夜学へと眠気払いし珈琲香(英愛)
45 夜学終えふうと虚空に息消えて(虚視)
46 遅刻して作業着のままの夜学生(紅螺)
47 校門を踏み出すまでの夜学生(すかんぽ)
48 IT系 化粧直して夜学かな(下戸)
49 酒持ちておっとり刀の夜学かな(尚哉)
50 それからの夜学に風の抜けるかな(高久麻里)
51 夜学の灯路傍の石を慈しむ(茘子)
52 ネトフリで地面師を知る夜学かな(兎子)
53 幾万の夜学の灯あり大東京(一遅)
54 午後の陽の机にぬくし夜学かな(丁子)
55 アフガンの建設目指すN校生(八傘)
56 牛乳とパンの給食夜学かな(玲滴)
57 夜学出を自慢に生きた叔父逝きぬ(矢太)
【秋の雲 鰯雲、鯖雲、鱗雲】
58 いわし雲隣を訪う救急車(兎子)
59 鱗雲仰ぎ8号ガゥヴォオ(八傘)
60 明日からまた仕事カァ鰯雲(丁子)
61 トルコへと孫の機離陸うろこ雲(彌生)
62 透き通る寂寥(さびしみ)は不意鰯雲(虚視)
63 分断の壁の上にも鰯雲(紅螺)
64 秋の雲とほく鳥の名くりかへす(高久麻里)
65 お散歩の園児の声や鰯雲(玲滴)
66 鰯雲を飛行機雲が二等分(矢太)
67 うろこ雲甲府盆地を湖にして(すかんぽ)
68 入道を追い立ててゆく鰯雲(茘子)
69 鰯雲頭と尾鰭はどこに消え(華松)
70 ドヤ街を金閣に染めて秋の雲(下戸)
71 鰯雲指でなぞれば空の詩(英愛)
72 てのうらの皺増えにけり秋の雲(なつめ)
73 踏切を待つ間もうれし秋の雲(一遅)
74 鰯雲テトリスのよな街静か(尚哉)
75 悪友を見舞いし宵の鰯雲(審茄)
76 鰯雲 ロス ガザ ヒロシマ うちの空(鬼禿)
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【天句の鑑賞】
虚視選
明日からまた仕事カァ鰯雲 (丁子)
ゴロンと大の字になっているのでしょう。
カァでばーっと目の前に鰯雲が広がりました。
矢太選
きのこきのこ誰か足りなくなつてをり (高久麻里)
森のどこまで奥深くまで踏み込んだのか。森があの子を飲み込んだのだよ。
八傘選
酒持ちておっとり刀の夜学かな (尚哉)
まさにボクがこれ。
Wの二文。同人誌合評会の夕べは一口飲ったのを提げて持ち寄りました。
下戸選
このオレもチョンと木が入りゃ千秋楽 (鬼禿)
ポジティブに自分をさらけだすパワーに圧倒されました。
一瞥して焼き付いて、ぐるぐる回ったあと、天に決めました。
鬼禿選
すれちがう皆無口なり夜学生 (なつめ)
「夜学」私には死語に近い兼題でしたが、実に着眼が素晴らしい。
内にスマホ以外では孤独な今時の若者を表しています。地句と並んで
夜学生への応援歌ですね。
彌生選
夜学の灯路傍の石を慈しむ (茘子)
通りかかった道に夜学の灯りがもれて路傍の石を照らしている。
夜学生と路傍の石を同じように慈しむ優しく深い想いを感じました。
茘子選
ドヤ街を金閣に染めて秋の雲 (下戸)
金閣の表現が大胆!一瞬で情景が浮かびます。
紅螺選
夜学出を自慢に生きた叔父逝きぬ (矢太)
夜学で学んで 立身出世の人生を終えられた男性の矜持が偲ばれます
華松選
羽織もの一枚増えて楽日かな (丁子)
僅かニ週間で真夏から秋になる気温差を羽織もので表現されました。
感服しました。
なつめ選
酒持ちておっとり刀の夜学かな (尚哉)
仕事の後の一杯は格別です。ついつい飲み過ぎたのでしょう。
遅刻しながらも机に向かう心構えは立派です。
周りはたまったものではありませんが…。
一遅選
分断の壁の上にも鰯雲 (紅螺)
世界情勢も社会も、さまざまな分断の時代。
それでも四季は訪れる。憂いの名句です。
尚哉選
羽織もの一枚増えて楽日かな (丁子)
・・・・相撲にしろ芝居にしろ、興行のあいだにも、確実に季節はすすみますね。
ほんとうにそうだな、と肯かせる秀句だと思います。
兎子選
透き通る寂寥(さびしみ)は不意鰯雲 (虚視)
寂寥をさびしみと読むことで、寂しさの深みが増すように感じます。
空高く流れる鰯雲が、その寂寥を優しく見守っている。
玲滴選
透き通る寂寥(さびしみ)は不意鰯雲 (虚視)
若いころ、秋になると、わけもなく寂しかった。暮らしに追われ夢中で生きた間にいつかわすれてしまっていたこの感覚をとりもどした気持ちになりました。
高久麻里選
すれちがう皆無口なり夜学生 (なつめ)
全日制と比べて、夜学の人間関係はおそらくドライなものだろう。
クラスメイトの素性を聞くこともなければ、聞かれることもない。
そんなよそよそしい距離感を、うまく捉えている句だと思った。
英愛選
分断の壁の上にも鰯雲 (紅螺)
「分断の壁の上にも鰯雲」は、人間社会の対立と自然の普遍性を対比させた秀逸な一句です。社会問題を示唆しつつ、その上に広がる鰯雲の描写が、問題の矮小さと自然の大きさを感じさせます。壁を超えて空を共有する人類の姿を想起させ、深い余韻を残します。
蕃茄選
幾万の夜学の灯あり大東京 (一遅)
兼題の「夜学」を夜学生と見るか、夜の勉強と見るかで迷った自分の小ささを恥じ入りました。
子どものころに見た、煌々と光る夜間中学の窓が思い出されます。
すかんぽ選
羽織もの一枚増えて楽日かな (丁子)
千秋楽までの15日間、その間の季節の移ろいをさりげなく詠むことにより
数々の熱戦があったことを見事に想起させてくれています。
丁子線
鰯雲 ロス ガザ ヒロシマ うちの空 (鬼禿)
遥かな気持ちになりました。なんとスケールの大きい。秋の空にぴったりです。「ロス」はドジャースですよね?打球音が聞こえてきました。自分でつくりたかった句です。
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【今月の天地人】】
【天】丁子さん 42点
【地】紅螺さん 41点
【人】すかんぽさん 35点
【十月の高得点句】
【天句】分断の壁の上にも鰯雲(紅螺)31点
【地句】羽織もの一枚増えて楽日かな(丁子)29点
【人句】ひび割れて千秋楽の土俵かな(すかんぽ) 22点
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【幹事よりひと言】
丁子さん、初参加で総合天、おめでとうございます。
地は紅螺さん、人にはすかんぽさんが入りました。
今回は、味わい深い句がたくさん投句され、
盛り上がり(私ひとり興奮していたのですが)、
点が割れました。とりわけ千秋楽の季語で詠まれた
句には、うならされっぱなしでした。
皆さま選句一覧をじっくりとお楽しみください。
今回も、円滑なご協力ありがとうございました。下戸
*丁子さんの拝命は、当初「丁字」で連絡がありましたが、
ご本人の希望により「丁子」に改められました。
以後、丁子さんでよろしくお願いします。
2024-10-30 08:43
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