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こふみ会へGO七GO №135 [ことだま五七五]

こふみ句会へGO七GO  №135
「秋涼」「秋の田」「秋蝶」「苦瓜」 

                       俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和6年9月の句会≫の案内状が送られました。

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こふみ句会の皆さま
今月の幹事のすかんぽと蕃茄です。

大変お待たせいたしました。
秋風とともに9月のご案内……と言いたいところですが、
猛がつく残暑の中、句会のご案内をさせていただきます。

【兼題】(各兼題一句、計4句投句してください)
●新涼・涼新た・秋涼し
●秋の田・稔り田・稲田
●秋蝶・秋の蝶
●茘枝(れいし)・苦瓜・ゴーヤー

【スケジュール】
9月19日(木)24:00投句締切(すかんぽと蕃茄に送付お願いします)
9月24日(火)24:00選句締切(すかんぽと蕃茄に送付お願いします)

【トピック】
今月から新しいお仲間が参加されます。
サン・アドの若きコピーライターさんです。
以下、ご本人からのごあいさつです。

はじめまして、髙久(たかひさ)麻里と申します。
大友さんからお誘いをいただき、9月よりこふみ会に参加させていただきます。
同僚のコピーライターから佐藤文香さんの『俳句を遊べ!』をおすすめされ、
「面白そう!」と思ったことがきっかけで俳句をはじめました。
月にいくつかの句会に参加しつつ、8年ほど俳句を続けています。
今までずっと無所属でしたが、最近は結社にも興味が出てきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

麻里さんの若々しい感性に、バージョンアップした英愛さんも加わり、
一段とにぎやかな9月の句会になりそうです。
皆さま、負けてはいられませんぞ!ご健吟を。

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案内に応じて以下の句があつまりました。18名72句。

【新涼】
01 新涼の銀座知人の版画展(一遅)
02 葉書書くインクの青や秋涼し(虚視)               
03 新涼や夕べ拾いし仔犬の目(鬼禿)
04 涼新た大地にしみる雨の朝(彌生)
05 新涼を嗅ぎとる今朝の遊歩道(玲滴)
06 涼新た半袖のままかはおろうか(兎子)
07 秋涼し葉擦れの音の乾きたる(なつめ)
08 新涼や血液検査の針痛し(矢太)
09 秋涼し妻の残り香ディオリッシモ(紅螺)
10 新涼と書いて貼れども涼は来ず(尚哉)
11 聞きに寄る水琴窟や涼新た(八傘)
12 新涼やサイフォンの音なつかしく(下戸)
13 新涼のグラスにそそぐ水の音(すかんぽ)
14 皮膚一枚脱ひだる心地涼新た(華松)
15 昼下がり忘れ帽子や秋涼し(蕃茄)
16 麻服の脱ぎ捨てられて秋涼し(茘子)
17 新涼や水はコップのかたちして(高久麻里)
18 新涼や指先迷う言の葉に(英愛)

【秋の田】
19 秋の田や電気自動車音もなし(英愛)
20 秋の田にふんばつてゐる長毛種(高久麻里)
21 稔り田と云へども色のまちまちに(すかんぽ)
22 秋の田や刈る鎌の手も早まりて(蕃茄)
23 頸椎が折れんばかりの稲田かな(華松)
24 人も鳥も笑い弾ける稔りの田(茘子)
25 コンバイン小豆に見える稲田かな(下戸)
26 垂れるさま絵の具重ねた稲田の絵(八傘)
27 稔る田をカメラ片手に進み行き(尚哉)
28 昏れてゆく稲田の風に笛太鼓(紅螺)
29 稲田に立つ案山子は聞くや神の声(矢太)
30 辻風にあおりあおられ稲田かな(なつめ)
31 からっぽのタナで待ちます稲田のギフト(兎子)
32 風走り棚田あざやかに色づきぬ(玲滴)
33 稔り田やまこと瑞穂の国なりき(彌生)
34 秋の田や日本武尊と黒い富士(鬼禿)
35 秋の田の一点の俺コンバイン(虚視)
36 秋の田や金髪が半分もう坊主(一遅)

秋蝶】
37 ひと夏の恋も終わりか秋の蝶(なつめ)
38 死にもせずただ生きており秋の蝶(鬼禿)
39 拉致家族には仄暗し秋の蝶(八傘)
40 同調圧振り捨て生きろ秋の蝶(尚哉)
41 秋蝶よ逃げよ列車の迫り来る(すかんぽ)
42 日の暮れになお生きいそぐか秋の蝶(玲滴)
43 浮かばない水辺を秋の蝶まはる(高久麻里)
44 苔の上むくろとなりて秋の蝶(虚視)
45 低木をそっと飛び越え秋の蝶(華松)
46 秋蝶や手紙となりて誰の手に(英愛)
47 秋蝶の休み休みゆく二頭連れ(一遅)
48 かの戦パンデミックも知らず秋蝶(彌生)
49 来世にも添い翔べ秋の蝶二つ(蕃茄)
50 秋の蝶追うて辿れば父の墓(茘子)
51 秋の蝶浅き夢見じ酔ひもせず(矢太)
52 歌舞伎町だまらせて飛ぶ秋の蝶(下戸)
53 屋上のはしで会いましょ秋の蝶(兎子)
54 風のまま伊良湖岬の秋の蝶(紅螺)

【苦瓜】
55 齢重ねゴーヤの苦味滋味と知る(玲滴)
56 年長けて苦瓜苦いほどうまい(紅螺)
57 親友は苦瓜ほどに嫌なやつ(下戸)
58 苦瓜の一つ残りて夏惜しむ(茘子)
59 苦瓜や思い出したくなきことばかり(矢太)
60 穫り忘れ苦瓜真っ黄 熟しに熟す(兎子)
61 ゴーヤ切る隣の声に手を休め(英愛)
62 苦瓜や今年も手出しできなくて(華松)
63 赤青黄信号機のごとゴーヤ熟れ(蕃茄)
64 苦瓜のワタをスーと匙でとる(一遅)
65 本音とは斯くなるものよ朽ち茘枝(鬼禿)
66 豆腐の角とれてゴーヤーチャンプルー(高久麻里)
67 熟れ熟れて苦瓜種より血を流す(虚視)
68 ゴーヤーの苦し旨しと笑みにけり(すかんぽ)
69 少し泣いて苦瓜ほじる爪痛し(尚哉)
70 室外機にもよく耐えしゴーヤ獲る(八傘)
71 苦瓜を割れば名残りの夏の香や(なつめ)
72  ゴーヤおそろし熟れて真っ赤な種を吐く(彌生)

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【天句鑑賞】  ※順不同

虚視選
新涼や水はコップのかたちして    (高久麻里)
一読、この句が頭から離れませんでした。
形のない水はコップに注がれれば、コップの形になって確かなものとして存在する。
新涼という形のない冷気は、どの様な形となって存在するのだろう。
いつの間にか寂寥感と共に夏という季節が終わり、秋の冷気が密やかに忍び寄る、
何処か不安に満ちた孤独感が見事に表現されています。

矢太選
秋蝶よ逃げよ列車の迫り来る     (すかんぽ)
景が鮮やかに浮かびつつ、心象風景を見事に成している。俳句の真骨頂である。

八傘選
秋蝶よ逃げよ列車の迫り来る     (すかんぽ)
決まったレールの上を巨大な決まりらしきものがくる、
はい、逃げてはみましょう。
力乏しき秋蝶には空なる作業とは思いますが、
それがレールの上にいる者の定め。へっ。

下戸選
葉書書くインクの青や秋涼し     (虚視)
「インクの青」と「秋涼し」の言葉のつながりが美しい。
気持ちのいい涼感が伝わってきました。

鬼禿選
拉致家族には仄暗し秋の蝶     (八傘)
泥水と馬鹿議員と虐殺戦闘の時代に 唯一の賢句。
ただ「お先真っ暗」を「仄暗し」と・・か。

弥生選
秋涼し妻の残り香ディオリッシモ   (紅螺)
一読 ディオリッシモの香りが広がりました。
甘過ぎず濃厚すぎず、爽やかな鈴蘭の香りは初秋にピッタリ。

茘子選
葉書書くインクの青や秋涼し    (虚視)
日常を優しい目で見つめている。
美しい文字で書かれたハガキが眼に浮かぶ、そんな素敵な句です。

紅螺選
低木をそっと飛び越え秋の蝶    (華松) 
夏を謳歌した蝶は静かに季節の終わりを
迎えようとしている優雅に、粛々と…

華松選
秋蝶の休み休みゆく二頭連れ    (一遅)
人も蝶も炎暑にくたびれ果てました。
休み休みゆくとの表現に、とても惹かれました。

なつめ選
新涼や夕べ拾いし仔犬の目      (鬼禿)
少し肌寒くなったと感じる秋風と、
懇願するかのような仔犬の瞳に物悲しさが重なります。
思わず愛犬を抱きしめたくなりました。

一遅選
稔り田やまこと瑞穂の国なりき    (弥生)
てらいの無い、明快で端正な立場の句。心地よさを感じました。

尚哉選
秋蝶や手紙となりて誰の手に     (英愛)
ひたすら綺麗な句です。死と転生のドラマ。
ギリシャ神話をほうふつとさせますね。

兎子選
苦瓜や思い出したくなきことばかり  (矢太)
「苦瓜」という言葉から、スッと素直に感じ取られる気分を
表現していると思いました。てらいなく、かまえなく。

玲滴選
葉書書くインクの青や秋涼し     (虚視) 
便りをするのは季節をとわないのに、一瞬インクの色に秋を感じた
遠い日の記憶がよみがえりました。
あのころはボールペンではなく万年筆だった・・・。

高久麻里選
秋涼し葉擦れの音の乾きたる     (なつめ)
夏から秋へと季節が移り変わったことを、音で知覚させる描きぶりが
巧みだと思いました。涼しさを感じる風と、
からっと晴れた天気に秋らしさを感じます。

英愛選
浮かばない水辺を秋の蝶まはる    (高久麻里) 
秋の蝶が水辺を舞う様子を、「浮かばない」という
意外性のある表現で描いた秀逸な一句。
季語の効果的な使用と独創的な視点が、
読者の想像力を刺激し、深い余韻を残します。
水面に映らない蝶の姿が、秋の儚さを象徴的に表現しています。

蕃茄選
本音とは斯くなるものよ朽ち茘枝   (鬼禿)
真っ赤な種を「本音」と詠んだ表現力に恐れ入りました。
あの鮮やかな赤には本音が詰まっていたんですね。

すかんぽ選
親友は苦瓜ほどに嫌なやつ      (下戸)
「親友」と言いつつ「嫌なやつ」と言い切る俳諧味。
しかも「ほど」として苦瓜の立ち位置を絶妙に表している。

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【今月の天地人】

【天】高久麻里・虚視・すかんぽさん37点

【天句】新涼や水はコップのかたちして(高久麻里) 30点
【地句】葉葉書書くインクの青や秋涼し(虚視)   23点
【人句】秋蝶よ逃げよ列車の迫り来る (すかんぽ)  19点
【人句】親友は苦瓜ほどに嫌なやつ (下戸)     19点

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【幹事よりひと言】

選句を集計している間に、待ちに待った秋が到来し、
秋を感じながら皆さまの句を鑑賞する楽しみを得られました。
高久さん、初参加で総合天・天句獲得おめでとうございます。
虚視さん・すかんぽさんと「37-37-37」と並んだのを見たときは
大谷翔平の特大ホームランのような衝撃でした。
総合天と天句の「50−50」も狙えるのではないでしょうか。(蕃茄)

いやはや、びっくりです。総合天が3人並んでしまいました。
高久さん、総合天おめでとうございます。前評判通りの実力を発揮されました。
今回は天句をはじめ選がかなり割れ、楽しい点盛りになりました。
みなさま、円滑なご協力ありがとうございました。(すかんぽ)


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