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2024-8-15雑記帳 [代表・玲子の雑記帳]

2024-8-15
◆山梨県は環境先進県です。山がちで急峻な川が多い、日本有数の日照時間が長いといった利点を生かして、自然エネルギーへの取組は他県に先駆けていました。私の所属する「多摩コンシューマーズネットワーク」で小水力発電を町全体でとり組んでいる都留市へ見学に行ったのはもう10年近く前です。大きな河川ではなくとも電力をうみだせる、その電力を生かした植物工場を見学しましたが、今はどこにでもある植物工場も、当時はまだ珍しかったころのことでした。今回、持続可能な次世代エネルギーとして注目されているグリーン水素PR施設「きらっと」を見学しました。

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きらっとは甲府市の南部、米倉山にあります。
2012年に「ゆめソーラー館やまなし」として開館し、2024年リニューアルして「きらっと」になりました。

バブルの頃、山梨県は工場誘致のためここに広大な用地を造成しましたが、バブル崩壊とともに、放置されることになりました。
社会は徐々に地球温暖化への関心が高まり、再エネルギーの必要性が認識されるようになっていた時でした。

山梨県はもともと地形的な有利性を生かして水力発電が盛んな土地です。また、日本でも有数の、日照時間が長い県でもあります。そうしたことが、自然エネルギーには適した場所でもあったのです。が、有利な地域制は実は天候の影響を受けやすいという弱点でもありました。そこで、不安定な自然エネルギー安定したエネルギーになる水素を作ろうと、巨大な実験施設が誕生しました。それが米倉山次世代エネルギー研究開発ビレッジNesrado(ネスラド)です。

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Nesradoは、山梨県米倉山電力貯蔵技術研究サイトの太陽光発電、水素、ユーティリティなどの様々な研究機関・企業が連携して次世代エネルギーシステムの研究開発をサポートする山梨県営の入居型研究棟です。きらっとはこの新エネルギー開発の様々な手法や実証実験などをわかりやすく来訪者に説明するための施設なのです。

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地球温暖化や次世代エネルギーの現状と将来予想等を紹介する大型ビジョンや壁面パネルコーナー、双方向・対話的に学習できるタッチパネルなどを展示して環境学習の場となっています。そして、県内外に次世代エネルギーの情報発信を行うとともに、将来の次世代エネルギーシステムの推進を担う人材育成のきっかけを創出することを目的としています。
 
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Nesradoでは、再生可能電力を用いて水を電気分解して水素を作り。誕生した水素はグリーン水素と呼ばれ、このグリーン水素を安全に貯蔵する施設も同時にそなえています。

グリーン水素を水素吸蔵合金タンクで安全に貯蔵するシステムは、P2Gやまなしモデルとして、燃料電池、水電解装置、電解層の安全確保や輸送なに複数の企業が関わり、世界の主力電源化をめざしています。 
P2Gで作られたグリーン水素は22年から東京ビッグサイトの電源として使用されています。P2Gとは「Power to Gas(パワーツーガス)」のことで、余剰電力を気体燃料に変換(気体変換)して貯蔵・利用する方法です。

近年、地球温暖化防止や化石燃料の高騰などの観点から、太陽光・風力・地熱など自然エネルギーを利用する再生可能エネルギーの普及・拡大が進んでいます。
しかし、再生可能エネルギーのうち太陽光発電や風力発電などは、気象条件によって発電量が大きく変動するため、発電量が電力需要を上回るときは余剰電力を貯蔵する必要があります。

従来の余剰電力貯蔵には、揚水式水力発電、蓄電池、フライホイールなどが利用されてきましたが、それぞれ、立地の制約、大容量化・コスト低減に課題、短時間供給に限定という欠点があります。P2Gは、これらに代わる新たな貯蔵方法として期待されているのです。

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山梨県北杜市にはサントリー白州醸造所がありますが、ここに隣接する県有地に、現在P2Gの水素製造工場を建設中です。このプロジェクトにもサントリー、東京電力、東レ、日立などが参入しています。サントリーは天然水の殺菌用燃料として、将来はウィスキー醸造所のボイラー燃料として利用することでCO2の年間1万6千トンの削減をめざしています。 

朝日新聞には、8月9日の「水素社会」を取り上げた記事がありましたが、「脱炭素の力に 走り始めた国内」と題して、米倉山が紹介されていました。水素を作るための電化移送や貯蔵するための設備が並ぶNesradoが、東レやドコモなどの企業の実験場としても使われていることが紹介されていました。

こうした研究と企業を結ぶ役割をしているのが山梨県企業局です。
電気、温泉、地域振興を行っており、電気事業には次世代エネルギーシステム開発も含まれていて、「きらっと」も企業局が管轄しています。こんな部署は山梨県だけかと思っていたら、そうではありませんでした。 
各県にも水道事業や観光事業などの収益事業を実施するための部署が存在していて、東京都には公営企業局があり、交通、水道、下水道を管轄しています。

きらっとを案内してくれた職員の話では、再生エネルギーを利用して水素を作る上で、最大の難点はコストがかかるということです。企業にとっても安く供給できなければ使いにくいのです。

先の朝日新聞には政府の試算も載っていました。「現状の水素の供給コストは液化天然がス(LNG)の4倍とか。むこう15年刊は価格差を埋める補助金がでるそうですが、何とかコストを下げるために、製造効率の向上とともに、需給調整(室力制御)で捨てられる再エネの電力を使えるようにすることが提案されています。

この夏の猛暑は、命にかかわる危険な暑さ形容されて、高齢の我が身にはこたえました。
人はくらしを快適に豊かにするため技術開発をすすめてきましたが、そのために温室効果ガスを異常に発生させ、今や地球上のあらゆる生物に命の危機が訪れています。 

再生可能エネルギーを利用した水素の活用はまだ実験や試用の段階でコスト、安全性などの課題がありますが、人がエネルギーを必要としている限り、より安全で地球やそこにくらす生物の負荷を高めないエネルギーを選んでいくことが現在生きている私たちの務めと言えるでしょう。 


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