台湾・高雄の緑陰で №39 [雑木林の四季]
新総統頼清徳を迎えた台湾
在台湾・コラムニスト 何 聡明
今年の1月13日に行われた台湾総統の選挙は台湾派の民進党候補頼清徳氏が当選したので、民進党政権は台湾では記録的に第9年目の政権に入り、5月20日頼新総統は台北市の総統府で盛大な就任式を行なった。
今年1月の総統選挙と同時に行われた立法院委員(国会議員)選挙で民進党委員は過半数に至らず、これから4年間頼清徳総統は困難な国政の運営を迫られることになるのは必定である。頼氏がその困難を如何に克服するかに与野党の関心が集まっている。因みに台湾の国会は単一国会で、議員定数は113人で目下与党51人、野党60人、無党派2人であるが、この2人は第一野党中国国民党に従属している。
現在台湾最大の国内問題は1949年に中国共産党との内戦に敗れた蒋介石は中国大陸より中国国民党の軍官民を引き連れて台湾へ亡命して以来1999年まで中国国民党は台湾で独裁統治をしたが、2016年以降中国国民党は民進党政府の最大野党に留まっていた。機会主義者を党首に戴き4年前に「台湾民衆党」と名乗る新第二野党は反台湾派の最大野党と組み、執拗に憲法違反、且親中反台的な法律の制定に熱中しているので国会で与野党の激烈な闘争が始まっている。
中国共産党政府はこの「親中反台」の中国国民党を利用、または指示をして「台湾は中国の一部」であると言う空言を更に強調している。一方、中国人民解放軍は海と空から毎日台湾に威嚇を続けている。言わば中国国民党は中国共産党の子分に成り下がりつつあるのか、それとも台湾を中国に売却する準備を進めているのかと疑われている。
頼総統は就任演説で台湾は民主制度の主権国家で有り、中国とは隷属関係にないと述べ、台湾は民主主義国家と結束し、戦争を厭わない独裁国家に隙(すき)を与えない事が重要だと強調した。中国共産党政府は頼総統の就任演説を強く批判した。
話は変わるが、日本人は平和でさえあれば独裁国の属国であっても構わないと考える人を「平和ボケ」と呼んでいるのだろうか?平和ボケの人達は「台湾有事は日本有事」だと述べた故安倍元首相は「好戦者」だったと考えているのだろうか?台湾では「日本有事は台湾有事」だと考える有識者が日々増えているが、その台湾人も「好戦者」なのだろうかと私は頭を抱えている。
2024-05-30 10:40
nice!(1)
コメント(0)
コメント 0