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夕焼け小焼け №14 [ふるさと立川・多摩・武蔵]

ラーメンを訪ねる

           鈴木茂夫
 
 私は立川市に住みついて55年になる。東京の渋谷から引っ越してきた当座は、赤坂の会社まで通うのは気骨が折れた。しかし住めば都である。町に親しんだ。知人友人もそれなりに増えた。定年退職してからは、すっかりわが町になっている。
 「ラーメンメンを食べ歩くのも面白いですよ」
 定期的に通っているリハビリテーション・スタジオの池島社長が言う。そしてスマホにラーメン・マップというソフトを入れてくれた。これを開くと地図が出てきて全国のラーメン店を探せる。ラーメンにもすっかりご無沙汰している。やってみようと思った。
 この際、ラーメン評論をするのではなく、素人としてラーメンに親しむのがいい。
 JR立川駅の周辺にはラーメン屋が密集したように暖簾を出している。だが店の前に並んでいる人がいれば、ここは評判なのだと理解できる。
 目にした店を手はじめに「探索」をはじめた。ラーメン屋に大きく広い店はまずない。狭い空間に中央設備と客席を設けている。入り口には券売機がある。食券を買うのも慣れがいる。座席に座ると、水は自分で確保する。
 10軒ばかり訪れたら、スープの味わいによる分類ができた。豚骨ラーメン、味噌ラーメン、醤油ラーメン、塩ラーメン、牛骨ラーメン、海鮮ラーメン。店によって味は異なる。スープで店の特色を出しているのだ。さしあたって立川の何軒かを取り上げてみた。
 ラーメンの複雑な味を言葉にするのは難しい。言葉は限られている。

「日高」
チェーン展開している店。値段を抑えてチャーハン、おつまみなど幅広く展開している。それが人気を呼んで客は多い。
中華そば(390円)を試みる。具はメンマ、海苔、チャーシューだ。鶏肉ベースの醤油味。これは昔懐かしい。あっさりした味わいだ。

 「鏡花」
立川駅南口。室内の照明を落とし、らーめんだけを浮き上がらせるような演出をしている。醤油ラーメン、芳醇なスープ。吊し焼きチャーシューが美味だ。

 「井の庄」
  立川駅南口のたま舘にある4軒の店の1軒。つけ麺が得意だ。海鮮スープ。麺の歯触りがいい。スープの濃さが麺を引き立てる。しつこくない。素直にいくらでも食べられる印象だ。ごく自然な感触で食べきってしまう。

「天下一 油そば」
油そばは初めてだった。豚骨のスープが丼の下にある。かき混ぜて食べたが抵抗はなかった。ラーメンの世界の第三の存在だ。 チャーシューも悪く無い。ラーメンとつけ麺の間に位置する感じ。飽きがこない味わいかな。

「青樹」
豚骨や鶏ガラを丁寧に下処理し、じっくりコトコト煮込み、旨味だけを抽出、スープの核となる煮干しは、さまざまな産地のものを常に吟味し、良い状態のもの数種を独自配合して土台となる動物系スープとブレンドして仕上げるとか。  
豚骨煮干しラーメンというところだ。麺は食べやすい。複雑な味わいが広がる。

「麺屋かなで」
立川駅からすこし距離がある。狭く細長い店。壁に口上が書いてある。
鶏淡麗系中華そばの店です。スープは鶏ガラ、丸鶏を使用し炊き上げ、より美味しく仕上げるため、不純物を取り除いた水を使用しております。麺は数種類の上質な厳選した小麦を配合、全粒粉。スープは鶏の味。麺に絡み合ってしつこくない。

「楽観」
立川のラーメン店をリードしている。客が堪えない。抜群の醤油味。ラーメンを、琥珀、真珠、珊瑚と銘打って提供している。丼から透き通ったスープの香りが上がってくる。醤油、塩ラーメン、どちらもバランスのとれた端麗系。甘味、塩味、苦味、酸味、旨味の五味を創ると国産の鰹節、煮干しでスープを作っている。細かい麺は固めだ。歯ごたえがあって飽きがこない。チャーシューはよく煮込んである。メンマも味が染みていてよい。
多くの客が再び訪れるのには理由があるようだ。


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