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地球千鳥足Ⅱ №17 [雑木林の四季]

 頭上から流れ落ちる太魯閥の水は格別の味だった

     小川地球村塾村長  小川律昭

 35年前、初のバックパックの旅は、台北-台中-梨山-大属嶺間のバスとそこから天祥—太魯閥(タロフ)までの徒歩の旅だった。道路沿いを中心に大理石の渓谷を川まで下り、渓谷を鑑賞し、また登りながら岩ツバメの巣を観察したりと、5時間かけて大自然を満喫。その折、頭上から岩壁を流れ落ちる水を口で受けて飲んだ味が忘れられない。ボトル水などなかった時代だ。夏なのに観光客は少なく、道路では観光バスを避けるたびに飛ばされないよう帽子を気にしたものだ。「なぜ歩いたか」って? 大理石渓谷の景観を近くで堪能し、身体鍛錬も目的だった。天祥と花蓮に宿泊したが当時汽車はなくバスで宜蘭まで。狭い断崖上の未舗装道路で崖下は紺碧の太平洋、冷汗が出た。現今は太魯闇も観光客が多く2方面から登れる道がついており、バスは大型化したが2、3か所停車して写真を撮らせるのみ。まさに「流れ観光」だ。
 ハイテク科学技術センターの街、新竹地区は別世界の新天地。国や世界の有名企業の研究機関やクリーンルーム設備付き工場があり、集団基地となっていて、これぞ先進国のイメージだ。街はビル街に緑が生かされ、公園を連想させる。
 台湾の名だたる観光地は見聞済みなので今回は温泉でくつろいだ。台湾には100以上の温泉がある。暑い国なので冷泉も人気のようだ。日本統治時代を連想させる、日本と同スタイルで入浴できる温泉あり。湯の花もあって43・5度と熱い温泉もある。地元の人たちも観光地に行くだけではなく享楽と健康保全に家族連れでやって来る。国が豊かになった証左であろう。
 山の中の泰安温泉は戦前からの日本の温泉、保養寮があり、現在も台湾警察の管理する保養施設、熱くてなかなかよかった。続いて礁渓温泉は台湾第2の温泉地でOnsen Villaという2階部屋のあるホテルを選び、2階に友人黄さん夫婦、下に私たちと2家族が泊まれた。個々の風呂以外に大浴場もあり、街が見下ろせた.。
 最後は烏来温泉。台北から1時間で行けるが、ここは最高! 宿泊した天池御皇温泉は広い露天岩風呂、火照った身体に緑風が限下の深い渓谷から吹いてくる。サウナを含む各種の風呂があり、最高温度は45.5度と熱い。パンフレットに「Sprlng Paradise:Pure hot spa& resort in Wulai. Harmony with natural scenery」とあった。
 名所旧跡の観光もよいが、風呂場で渓谷や筋状に流れる滝を眺めての入浴は目の保養にもなり再訪したくなる。朝食付き280台湾元(8400円/2人)だった。
 最近は3万円ほどでバスによる台湾一周、車窓から眺めるだけの旅が主流だが、年輩者や温泉好きの方には優雅な旅の一スタイルとして、日本的慣習を取り入れた裸入浴と、異国情緒溢れる台湾の素朴な温泉をお勧めしたい。バタバタ車窓の旅より、余裕のある温泉巡りの旅もよいものだ。 (旅の期間‥2014年律昭)

『地球知恵織足』 幻冬舎



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