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私の中の一期一会 №270 [雑木林の四季]

      日本の安全保障政策大転換を閣議決定で決めて良いのか?
  ~23年は「新しい戦前になるんじゃないでしょうか」とタモリ~

       アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 政府は昨年12月23日、来年度予算として114兆3812億円を閣議決定した。
 初めて110兆円を超える“過去最大の予算案”となった。
 歳出が大幅に膨らんだ要因は“防衛費の増額”である。
 ロシアのウクライナ侵攻や台湾海峡での中国の動き、北朝鮮のミサイル乱発射など、日本周辺の安全保障環境が変わって来ていることは確かだ。
 日本周辺の有事に備え、抑止力の高い装備を導入し反撃能力を持つ必要があるという。
しかし「反撃能力」を持てば、反撃が敵地攻撃にもなり「戦争」になる可能性が高い。
 戦後長らく守ってきた“専守防衛に基づく安全保障政策”からの大転換で、戦争を禁じた憲法9条に違反することになるのではないだろうか。
 昨年暮れ「徹子の部屋」に出演したタモリが「来年23年はどんな年になるでしょうか」と訊かれ、「新しい戦前になるんじゃないでしょうか」と答えたことがネットで話題になった。
 私はタモリの鋭い時代感覚に感心した。
 防衛費は安倍政権下でも毎年のように少しずつ増額を続けてきたらしいが、それでもGDPの1%強だったという。
 それがGDP(国内総生産)の2%になるのである。
 防衛費を抑制することで、この国が再び軍事大国にならないことを示すメッセージにもなっていた筈だ。
 岸田首相は反撃能力の保有、防衛費の大幅増額、財源確保のための増税を決めたのに、国民には説明してこなかった。
 安全保障の大転換という国の根幹にかかわる問題が、国会での議論もなしに閣議決定されたことは問題だと思う。
 国民の代表が集まっている筈の国会で野党とも合意形成に努めるのが政府の基本姿勢なのに・・である。
 社会調査研究センターが1月8日にインターネットによる全国世論調査を実施した。
 岸田内閣を「支持する」と回答した人は25%で、前回12月の調査に比べ1ポイント上がっていたが“低支持率で横ばい”の状況は変わらない。
 一方、「支持しない」は63%に上り、“不支持”が支持を大きく上回る状況は続いている。
 この調査で、閣僚ドミノ辞任の「任命責任を重く受け止めている」という岸田首相の発言について、4つの選択肢から選んで回答して貰う方式を試みた。
「内閣改造を行って体制を立て直すべき」・・・29%
「早期に衆議院を解散し総選挙を行うべき」・・25%
「現在の内閣でしっかり仕事をすればよい」・・21%
「首相を辞めるべきだ」         ・・20%
 国民は、任命責任などウヤムヤになることが分かっているから関心がないのが分かる。
 また、岸田首相に“いつまで首相を続けて欲しいか”の質問には「早く辞めて欲しい」と「5月のG7サミットまで」を合わせて、早期辞任を求める回答が46%あったという。
 今後、岸田内閣の支持率が上昇する見込みはなく、下がり続けるだろうと見る人が多い。
 23日から始まる通常国会で岸田首相が苦戦することは必至である。
 正月休み明け早々にフランス、イタリア、英国、カナダ、アメリカの5カ国を歴訪した成果について「G7が結束して国際秩序を守り抜くため、連携していくことで確認できた」と首相はワシントンでの記者会見で語った。
 防衛費増額に伴う増税についても、通常国会で説明する考えを示した。
 新聞によれば、「野党との活発な国会論戦を通じて防衛力強化の内容,予算、財源について国民への説明を徹底していきたい」と述べたという。
 岸田首相も「丁寧な説明」というワードをよく使う。
 丁寧な説明は、自民党用語でもあり、議員が不祥事を起こしたりすれば必ずと言ってよいほど使われる。
 岸田首相も国葬を批判されて、閉会中審査に出席したとき「丁寧な説明」をしたが、何のことはない同じことを 「丁寧に繰り返した」だけだった。
 国葬に反対する国民の声など「聞き流す」だけだったのだ。
旧統一教会問題と自民党議員の密接な関係が問題になったとき「丁寧な説明が大事だ」と述べたが、野党の相次ぐ質問にも「信教の自由という観点から、解散命令の請求には慎重に判断する必要がある」というような同じ答弁を何回も繰り返した。
 外見がソフトにみえるだけに、国民は“はぐらかされてしまう”のかも知れないが“悪質だな”という気もしてくる。
 通常国会でも「丁寧な説明」はなく「丁寧な繰り返し」が続くのではないだろうか・・・
 黒柳徹子「23年はどんな年になるでしょう」
 タモリ「新しい戦前になるんじゃないでしょうか」
      ―徹子の部屋より―


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