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地球千鳥足Ⅱ №15 [雑木林の四季]

触れあいの旅で医者とも触れ合い!   

      小川地球村塾塾長  小川彩子

 南米最高峰アコンカグアの4300メートル地点、プラサ・デ・ミューラス基地で、高山病のため意識不明に。劇的なアコンカグアとなった。登山目的で出発直前に夫が足をくじき、諦めきれずに登山口の街メンドーサまで来た。業者が「ラバでどうぞ」と、あたかも慣れたビジネスとして呼びかけ、飛びついたのだ。が、実はラバ使いは登山者の荷物運びのみ、客を乗せた経験も指導もなしの初仕事だった。
 アコンカグアは岩石だらけの急斜面、ラバの蹄が石で滑るたび、夫は重心を失って2度も落馬。断崖とラバの間に落ちたので幸いだったが、反対側は千尋の谷、遥か下方まで止まることのない岩石の崖だった。
 一方、私は落馬は免れたが、基地に着いたとたん「眠い⊥と思ったことしか記憶にない。夫によると小さなテントに倒れ込み、3時間後には意識不明でまるで死人、あせって医者の助けを求めた、と。高山病だった。もうろうながら意識が戻ると、酸素マスクをされ、いろんな人が呼びかけてくれていた。医者の応急処置の後、ヘリコプターに乗せられた。
 ご承知のとおり、高所順応は時間をかける必要があり往路でもそうすべきだったのだが、ラバ使いは早く義務を終えたくて急ぎ、それが夫の落馬や私の高山病の原因となったのだ。
「変化こそ人生なり」を合言葉とする私たち夫婦だが、変化も極限の臨死体験だった。
 同じアルゼンチンのコルドバでは、腹痛と下痢が止まらずホテルに医者を呼んだ。親切な女医さんに頂いた下痢止め薬は捨てきれず、7年後の今もリュックのポケットに。薬の期限が切れても感謝の思いの期限は切れない。
 昨年末、夫は南米行きの途中で立ち寄ったアメリカで頭に「ガーン」とショック一発、救急病院へ(トリニダード・トバゴの項参照)。脳のCTスキャン、手足の神経状態確認検査、および心電図(EKG)、肺レントゲンなど、3時間後に診断。ラルダロ医師は付き添いの私にも親切に説明し、自信満々「脳梗塞ではなく高齢者頭痛だ」と。気軽に旅の相談にのり、「脳梗塞より犯罪に注音℃なさい、ガイアナは危険な国だから」と病院リストをくれ、その後の再発対応措置まで指導してくれた。アメリカに戻り日本帰国直前、偶然派遣元の大学病院事務所でその医師に再会した時、駆け寄り飛びつくようにバグし合った。彼の人間性に魅せられ、日本で彼の話を広めた。「コンピュータの数値管理だけが医師の仕事ではない」と。
 夫は最近、イランでも同様の症状で倒れ救急病院へ。診断も同じだったが違いは請求額。
処置の差こそあれ、アメリカ4000ドル、イラン14ドルだった。
 あやうく「日本人夫婦遭難!」という新聞記事になるところだったアコンカグア。片側が奈落の底の細道を、ラバの背に揺られて上がり下がりしたことは思い出すたび鳥肌が立つ。遭遇した医師たちとは友好を続けてきた。アコンカグアのテントで私に救急処置をしてくれた医師からはデジカメの要望があったので、後にアルゼンチンまで送ってあげた。12年前、医師でもデジカメが入手できない国/時代だった。
 命を頂き、思い出すたび胸が温まるお医者様たち、有難う! お蔭様で地球千鳥足続行中。

『地球千鳥足』 幻冬舎

                           

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