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私の中の一期一会 №266 [雑木林の四季]

     大相撲九州場所、平幕の阿炎(あび)が巴戦を制し初賜杯を抱く
    ~貴景勝,高安、阿炎による“三つ巴の優勝決定戦”は28年振り!~

        アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 カタールで行われているサッカーW杯、日本はスペイン選を控えて正念場を迎えている。
 初戦で、W杯優勝4回を誇る強豪ドイツに逆転勝ちして日本中を沸かせた。
 しかし、2戦目のコスタリカ戦は相手の堅い守備に阻まれゴールを奪えない。
 初戦からメンバー5人を入れ替えたが、後半には消耗からのミスが失点につながり0-1で敗れた。
 サッカーはコンディションの差が勝敗を分けると聞く。
 第3戦のスペイン戦に勝てば1次リーグ突破がきまる。
 スペインもドイツに劣らぬ難敵だが、主力選手のコンディションを整え“勝つしかない”。
 日本時間12月2日、午前4時キックオフ。
 早起きできる自信はないが、日本の勝利に期待しよう。
 大相撲九州場所は27日の千秋楽、最後の取り組みを終えても優勝者が決まらなかった。
 勝てば優勝だった高安が阿炎の突き倒しに敗れ、大関貴景勝が関脇若隆景をはたき込みで破ったため、3人が12勝3敗で並ぶ結果となった。
 全取り組みが終わって、3人が勝敗で並んだ場合の優勝決定は、巴戦で行われる。
 くじ引きで最初の取り組みを決め、勝者がもう1人と対戦する。
 2連勝するまで対戦を続けるのが決まりになっている。
 3人による巴戦が行われるのは、1994年の春場所以来というから28年振りの事であった。
 くじ引きの結果、まず高安と阿炎が対戦したが、阿炎が立ち会い左に変化してのはたき込みで高安を激しく土俵に叩きつけた。
 解説の北の富士さんが「脳震盪みたいだ・・」と呟いたほどで、高安はしばらく起き上がれなかった。
 阿炎は貴景勝との対戦では、得意のもろ手突きで大関を押し出しに破り初優勝を果たした。
 土俵下の優勝インタビユウでは「嬉しいです。最後まで一番ずつ取りましたが、噓みたい。気持ちが高ぶっている」と喜びを語った阿炎。
 記者団に囲まれて「優勝は全く意識していなかった。考えなかったからこういう成績が残せた」と至って冷静だったという。
 先場所は怪我で全休だったので、今場所は無心で臨んだのが良かった。
奔放な言動で問題児でもあった阿炎である。
 20年の7月場所中にキャバクラ通いが発覚して、協会のコロナ対策ガイドライン違反で問題になった。
 尾車親方によると、「コンプライアンス委員会の部屋に入ってきた阿炎は、解雇を覚悟して沈んでいた。
 3場所出場停止処分が出た瞬間、阿炎がホットした表情を見せたのを覚えている。
 この時から阿炎は変わった。
 稽古を積み重ね、身体も大きくした。
 相撲に対して真剣に取り組むようになった。
 前はバタバタした突っ張りだったが、体重が乗る突っ張りになってドスン、ドスンと重みのある突っ張りに変化している。
 錣山親方(元寺尾)も嬉しいだろう。
 二所一門の連合稽古がある度に一人一人の親方に「ウチの阿炎がご迷惑を掛けてすみません」と頭を下げて回っている。
 こんな師匠の背中を見たら阿炎も頑張るしかないだろう。
 それにしても見事な優勝だった」
 引退を覚悟するほど落ち込んでいた阿炎を救ってくれた錣山親方は、いま不整脈で入院している。
 場所中は毎日のように「一番集中」とメールが届いた。
 終盤に優勝争いに加わるようになっても、口にしていたのは「集中」という言葉だった。
 師匠のプレッシャーをかけないような配慮に感謝しながら、気負うことなく相撲をとり続けることが出来た。
 迷惑をかけ続けた師匠への思いを聞かれると、「少しでも喜んでくれたらいいなと思う」と涙をこらえていた阿 炎は「師匠に会って、握手して貰えたら嬉しい」と笑顔になった。
 今年の大相撲界を振り返ってみると、異例の1年だったことに気付く。 
 6場所の優勝者がすべて違うのである。
 初場所、関脇 御嶽海  13勝2敗
 春場所、関脇 若隆景  12勝3敗
 夏場所、横綱 照ノ富士 12勝3敗 
 名古屋、平幕 逸ノ城     12勝3敗
 秋場所、平幕 玉鷲   13勝2敗
 九 州、平幕 阿炎   12勝3敗
 年6場所制となった1958年(昭和33年)以降では、優勝者が場所ごとに違った年は72年、91年に続いて3回目だそうだ。
 3場所連続で平幕から優勝者が出たのは、大相撲の史上でも初めてで珍事だと言ってもいいだろう。
 満身創痍の横綱照ノ富士は9月の秋場所で両膝の状態が悪化して10日目から休場、場所後に手術に踏み切ったため九州場所は横綱不在となった。
 来年も初場所の休場は決まっている。春場所も間に合わないかも知れない。
 貴景勝は優勝出来なかったが、巴戦に持ち込むガンバリはみせ、辛うじて大関の責任は果たした。
 しかし、関脇に陥落していた御嶽海は5勝9敗と負け越し、カド番大関正代も6勝しか出来ず陥落が決まった。
 大相撲界は、日本サッカーチームとは違った意味の正念場を迎えていることは間違いない。
 若隆景、豊昇龍に加え阿炎の大関争いで盛り上げて貰いたいものだ。


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