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雑記帳2022-5-15 [代表・玲子の雑記帳]

2022-5-15
◆立川に「けやき座」という名の大衆演劇場がオープンしてまもなく7年になります。

大衆演劇は、日本の演劇におけるジャンルの一つ。一般大衆を主な観客とする娯楽性を重視した演劇のことで、剣劇、軽演劇、レビュー、ミュージカル、ストリップなどが当てはまります。今では伝統芸能とされる歌舞伎や人形浄瑠璃も、実は、その成立まで遡れば大衆演劇と言えるでしょう。昭和20年代に当時「寄席芝居」や「旅芝居」と呼ばれていた劇団が、自らの劇を「大衆演劇」と読んだことから言葉が定着しました。

大衆演劇の黄金時代は、昭和10年(1935)から昭和16年(1941)、そして第二次世界大戦後の昭和20年(1945)から昭和28年(1953)頃まで続いたと言われています。最盛期には日本全国に600を越える劇場がありました。

 昭和28年(1953)はテレビ放送の始まった年です。テレビの普及にともなって、大衆演劇の人気は低迷します。例えば関西では1960年には55館あった常打ちの劇場が、1965年には20館、1973年には5館にまで減ったそうです。これに危機感を覚えた団体の努力で、九州、関西、東京に新しい大衆演劇の常設小屋が復活しました。

東京に常設の小屋は数えるほどしかありません。そのうちの一つが、なんと立川にあるのです。浅草の木馬館、北区十条の篠原演芸場とならんで、立川にあるのがけやき座です。東京都の大衆演劇場では38年ぶりとなる2015年8月にオープンしました。月替わりに人気劇団を招致して、ほぼ毎日、公演を行っています。

5月は長谷川劇団。総座長は愛京花という名の女性です。座員は子役も入れて15名。昼と夜、3時間の公演をほぼ毎日打っています。出し物も日替わりで、日によっては劇団同志のゲストの出演もあるようです。芝居の演目は昼と夜でも変わります。連休の一日、昼の部をのぞいてみました。

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江戸時代を思わせるような外観
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のぼりや花が飾られた華やかなエントランスは雰囲気も抜群です。

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場内
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客席と舞台の距離感も近く、しっかりした花道も設けられていて、役者の舞台を目前で楽しむことができます。

開園前、椅子席でお弁当を広げる人もいます。お目当ての俳優さんがいるのか、被り付きの桟敷に陣取る人も。定員170名という会場は、結構、自由な雰囲気です。

休憩をはさみながらの3時間の構成は、芝居と歌謡・舞踊ショーです。芝居の、この日の演目は古典落語の「紺屋高尾」でした。
神田紺屋町の染物屋の奉公人、久蔵の一途な愛に、吉原一の太夫、高尾が応えるハッピイエンドのお話です。主役2人を演じるのは一座の花形、長谷川一馬と京未来です。一馬君は高橋一生風のハンサム男子。可愛い未来ちゃんは、他の旦那に目もくれず職人の久蔵といっしょになる花魁の心意気を上手に演じていました。

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「紺屋高尾」の舞台から

開園直前に、若い女の子が二人かけこんできました。
となりの席にすわったのを幸い、幕間にちょっとおしゃべりをしました。

「若いけど(あっ、こんな言い方はハラスメントかも。ごめんなさい)、よく来るの? 誰か贔屓の役者さんでもいるの?」
「はい、よく来てます。押しは一馬君。俳優さんみたいにきれい。」
「やっぱりね。(私みたいな)おばさんだって美男子見るのは気分いいものね。」
「初めてなんですか?」
「そうなの。大衆演劇ってどんなのか、一度見てみたいと思って。昔、競輪場の近くの路地に、大衆劇場の看板を出してる小屋があったのよ。だけど、いつのまにかなくなってしまって。そしたらここにけやき座というのがあるよと教えてくれた人がいてね。」
「立川の人なんですね。おうちは近いんですか。」
「自転車で15分もかからないくらいよ。」
「それじゃあ、これからも是非来てあげてください。夜は特にお客も少ないみたいだし。私、(隣に座る友人らしき女性を差して)今日はこの人を連れてきたんです!」
(その友人)「連れてきてもらいました!」
「どう?」
「ちょっとドキドキしてます。一馬くん、ハンサムですねえ。」
若いのに(また言ってしまった)好きな役者のために宣伝もするなんて、しっかりしてる。仮にYさんと呼びましょうか。

芝居のあとの花形役者のショーにつづいて、最後は一座の座員全員の繰り広げる賑やかな舞台です。歌に踊りにコントに、役者は花道や舞台から下りて観客のそばを歩いてもくれる、サービス溢れる時間です。

ここで、Yさんはすばやく、一馬君の着物のの襟に1万円札をクリップでとめました。そのしぐさがいかにも自然で、あっという間だっだのです。このために彼女は花道のすぐそばの席を予約していたのでした。気がつくと客席の後ろからも、レイをもったおじさん、おばさんたちが次々に花道へ寄って来る。おひねりはYさんのように裸のばあいもあれば、のし袋にいれて役者の懐に差し入れる人もいる。ちなみに裸の1万円は新札でした!

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華やかな舞台の役者たち 一番下の写真が一馬君

役者はみんな芸達者。おひねり貰った役者さんは、舞台がはねて帰る客の所にやってきてお礼を言ってくれます。ハンサムな一馬君に流し目されたらYさんもきっとドキドキするでしょう。そんな客と役者の交流を見ているのがこれまたおもしろい。
1800円の入場料を払っただけの私は、流儀を知らない新参者だと、肩身の狭い思いをしたものでした。今度行くときはおひねり用意しなきゃ、ね。

友人に宝塚の大ファンがいます。
コロナで中止になった公演も多かったようですが、ようやく復活したようです。
贔屓の組の舞台は出待ち、入り待ちは勿論、ファンクラブの集いに参加するのが生きがいなのだそうです。そこでは、スターがファンを徹底的に大事にしてくれる。一人一人をおぼえてくれて、ファーストネームで呼びかけてくれる、おばさんでさえ、自分が大切にされていると感じられる場所は大事なのだと思います。

◆まもなく梅雨の季節です。今年は例年より早いそうです。久々に一茶の句をひろいました。

  塀合に卯の花降し流けり            寛政句帖   寛5
  里の女や麦にやつれしうしろ帯      享和句帖   享3
    入梅晴や二軒並んで煤はらひ        八番日記   政2    
    五月雨や二階住居の草の花          享和句帖   享3
    草刈のざくり ~ や五月雨          七番日記   化11

◆梅雨入り前の国営昭和記念公園の花たちです。

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イチハツ(日本庭園)

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トチノキ(花木園)

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ベニトチノキ(花木園)

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スイレン(花木園)

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シャクナゲ(日本庭園)

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エゴノキ(花木園)

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