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検証 公団居住60年 №110 [雑木林の四季]

XⅥ 規制改革路線をひきつぐ民主党政権、迷走の3年余

   国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治 
 
4.国土交通省「都市機構あり方検討会」報告と閣議決定

 国交省の都市機構あり方検討会は2010年10月1日に報告書を公表し、検討結果として機構組織の見直し案、ABCの3案をしめし、共通認識としてつぎの4点をあげた。

① 公団住宅本来の役割は終わった。高齢者向け住宅も民間が供給促進すべきである。
② 最大の急務は債務の圧縮、繰越し欠損金の早期解消である。そのため機構は家賃収益の増大とともに、コストの削減、業務の効率化に努めよ。
③ 都市再生部門はひきつづき民間事業、都市整備を支援する(事業収支の欠損には賃貸住宅部門の収益を充てる)
① 高齢者・低所得者の居住の安定に配慮する。ただし家賃減額措置など既存入居者への過大な既得権的優遇はおこなうべきではない。

機構組織見直しのABC案は、この基本認識に立ってつくられている。

 A案:都市機構を完全民営化する案
 B案:政府100%出資の持ち株会社にする案
 C案:新しい公的法人(公的機関)にする案

 これらは、いうまでもなく個別の3案ではなく、本来の目標はA案とさだめ、Aにいたる段階としてC案、つぎにB案がセットで提起された。ただし、国交省がいう「完全民営化」とは具体的に何を意味するかは明らかにしていない。
 報告書のねらいを馬渕澄夫国交大臣は、10月5日に端的にのべた。

 機構改革の最重要課題は14兆円にものぼる債務の縮減である。そのためにコストを削減し収益を拡大せよ。事業廃止か民営化か、いずれにせよ障碍になる累積赤字をなくし、債務をへらせ。機構総資産の8割をしめる賃貸住宅団地を極力売って現金に換えよ。なぜ独立行政法人を新しい公的法人にかえる必要があるかといえば、いまのままでは収益を最大化する動機に欠けている。

 そのために、まず機構を改革して新法人にかえ、つぎに特殊会社化する、つまりC案、B案の順を想定し、機構見直しの工程表を2010年度内に策定するとコメントした。
 行政刷新会議による事業仕分け結果をうけて機構のあり方を検討した会の報告ではあるが、仕分け結果と検討会報告とには明らかに「対立」がみられ、国交省の「抵抗」をうかがわせる。それは、仕分け現場における仕分け人と国交省官僚とのやりとりからも察せられた。仕分け第1弾のあとすぐ国交省は検討会をたちあげ、国交省の「基本的立場」を確認し、その結果が、仕分け評決の方向には沿わない検討会の報告内容となった。
 事業仕分けの評決には法的拘束力はなく、与党内にも仕分けへの異論が出はじめ、批判の動きがあった。行政刷新会議は巻き返しをおそれてか、11月になって「独立行政法人の業務・事業見直しの基本方針」をまとめ、12月7日に機構賃貸住宅については、検討会報告ではなく、事業仕分け評決どおりに民間および自治体または国への移行の「2011年度から実施」を閣議決定した。
 実施すべき主な事項として、①都心部の高額家賃物件から民間への入札を実施し、その結果をみて民間への移行を積極的に進める、②団地の用途転換・集約化を急ぎ、余剰地の売却を図る、③自治体への移行について譲渡等にむけた協議に努めることを改めて確認した。しかし、これは「政治」判断による内閣のアピールでしかなく、都市機構も面従腹背、本気にしたとは思えない。
 政府、機構にできることは力づくの弱者いじめだけ。居住者の苦しい家計に追い討ちをかける家賃値上げを、10年12月24日に馬渕国交大臣は容認し、機構は11年4月1日に実施した。

『検証 公団居住60年』 東信堂



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