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台湾・高雄の緑陰で №32 [雑木林の四季]

                    ウクライナ戦争と台湾

     コラムニスト・在台湾  何 聡明
 
 ロシアのプーチン大統領はウクライナ政府が旧ソ連邦から独立する時、西側と同盟を結ばない約束を破ったのが今回の懲罰戦の理由の一つであるとと言うが、ロシアは昔から約束破りの名人である。第二次世界大戦中の1941年に締結した日ソ中立条約は太平洋戦域で日本軍の敗退が現実になると1945年4月5日一方的に日ソ中立条約を破棄し、同年8月8日対日宣戦を布告するや満州と南樺太、千島列島に進攻を始めた。またソ連崩壊後、日本の固有領土である北方4島の返還を拒絶し、その後4島中の2小島の返還を考慮すると言いながら20数年が経った今でも全く無作為である。
 今年2月下旬に始まったロシアのウクライナ侵略戦争は今でも激戦が続いているが、世界第二位の軍事力を誇るロシアが目標とする戦果は上がっていない。それはウクライナ人が健闘していることと欧米が現代兵器の補給を続けているからであろう。だがロシア軍の無差別攻撃を受けて死傷したウクライナ平民は少なからず有り、多くの都市も戦禍で荒れ果てている。ロシアがウクライナを侵略するのはプーチン政権が今は無き旧ソ連邦時代の宏大な領土の恢復を武力で実現を図っているからであろう。それはまた脱ソ連後のロシアが今では中華人民共和国と名乗る中国と同様の共産極権国家であること意味する。
 プーチン氏は柔道の愛好者で、ロシアの大統領ゆえに柔道9段が贈られ、世界柔道連盟の名誉会長に任じられたが、今回のウクライナ侵略は「自衛のため小良く大を制する柔道の精神」にもとるとして、國際柔道連盟から追放されたのは尤もである。ロシアのウクライナ侵略戦争はプーチンが直接ストップを掛けなければ長引くであろう。
 中共政府が50年不変を決めた中英条約を勝手に破棄した時、その次は台湾侵略だと言われた。今回もウクライナ戦争の次ぎは台湾だと言われているが、米国の高官は米台関係は【台湾関係法】を基礎に磐石であると公言した。台湾人は「自助者、人助之(己から助くる者は、他人もそれを助く)」の金言を肝に銘じ、常に自衛力の強化を計らねばならない。
  最近日台で台湾有事は日本有事だとよく言われているが、台湾有事の時台湾軍が自力で数日持ちこたえれば、米海空軍より支援が来ることは考えられるが、日本は憲法第9条が修正されない限り台湾への支援は米軍へ軍事物資の補給だけになろう。また、仮に中国解放軍(解放とは笑止千万)が尖閣列島や沖縄列島へ進攻を始める有事の時、日本に条件付きのない国防力を持つ修正された憲法第9条が無ければ、中国軍の進攻を未然に防ぐことはできない。
  戦後、日本には過去シナ事変で日本が中国大陸で罪悪を重ねたことを反省する親中の日本人が少なからずいるが、今の共産中国は長らく日本、台湾、欧米の農水産、商工業、科学技術の援助を受けて、今では米国に次ぐ世界第二位の経済大国であり、核兵器を有する軍事大国でもあるので、日本を侵略する力があることを日本人は無視してはならないと思う。
  台湾人は脱中華民国の努力を続けているが、野党中国国民党は今でも中華民国の国名を尊重する2つの中国の信者であり、台湾憲法制定によって中華民国に取って代わる台湾共和国が誕生すると生存できなくなるのを恐れ、極力反対している。ウクライナに親ロシア派の存在同様、台湾にも親中国派が存在するが、現在執政党である与党民進党は米国が中華民国と断交した後、台湾との関係を維持する目的で「台湾関係法」を立法、施行して今日に至っていることを銘記し、万難を排して台湾憲法の制定を急がねばならぬ重責があることを忘れてはならないのだ。

2022年4月11日

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