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多摩のむかし道と伝説の旅 №77 [ふるさと立川・多摩・武蔵]

           多摩のむかし道と伝説の旅
                        -幻の旧五日市鉄道廃線跡を行く-3
               原田環爾

 公園入口前を過ぎると五鉄通りはすぐに民家に遮られて途切れる。由緒書に従えば恐らくこの辺りに武蔵福島駅があったのだろう。右に折れて昭和公園内のテニスコ-ト南側に接する小道を進む。公園を抜けるとそこは南北に走る福島通りだ。福島通りに出てもかつての廃線跡は集落となって消滅してしまっている。恐らく線路は京王自動2-7.jpg車(株)昭島営業所辺りを走っていたのであろうが ・・・。ここは一旦通りを南に下って交差点「福島交番前」で奥多摩街道に入ることにする。ほんの10~20mばかり進み、北西方向に入る狭い路地をとる。小さなミラーのある辻で左へ、後は狭い路地を鍵状に折れながら西へ辿ると忽然と広い通りに出る。先の五鉄通りの続きだ。車の通行はほとんどない。通りは緩やかに下りつつゆっくり左へカーブを描く。下り終わった所で多摩大橋からくる車両の行き交う都道59号線と交差する。交差点を渡ると角地に桜の樹が立ち、その下にベンチが1基ぽつんとある。道は少し上りながらゆったり右へカーブする。蒸気機関車が走っていた当時のことを彷彿とさせるそんな風景がそこにはある。
 ほどなく南北に走る中神停車場通りと丁字路でぶつかる。角地には西川コンクリート(株)と称する細長い社屋がある。どうやらここが旧南中神駅跡と思われる。筋向い正面は波多野酒店で道筋は遮られてしまっている。酒店の南側の細い路地に入って裏手へ回ると再び道幅の広い五鉄通りが現れる。通りはゆったり左へカーブする緩やか2-8.jpgな下り道で、いかにも廃線跡であることを感じさせる。やがて車両の行き交う諏訪松中通りと交差する。旧宮澤駅はこの交差点付近にあった。通りを横切ると道は一転右へカーブする長い緩やかな上り坂になる。上りきった所でJR八高線に交差する。以前は八高線のガード下をくぐる古びた廃線跡が残されていたが、最近整備されて人と自転車専用の地下道に生まれ変わっている。地下道を抜けると再び五鉄通りが続く。ふと沿道左を見ると、在りし日の大神駅の一部が小公園の中に整備されて残されている。プラットホ ームに機関車の車輪が置かれた軌道、信号機など、かつての大神駅を想起させてくれる。
 旧大神駅を後にして広々とした五鉄通りを進むと、やがて激しく車両の通行する新奥多摩街道に合流する。ここ2-9.jpgに旧武蔵田中駅があった。合流点の歩道にはポイント切り替え機がひっそりと残されている。五鉄跡はこの後新奥多摩街道に沿って西進するのであるが、街道の筋向いを見ると今までの五鉄の続きの様な街路が南西方向に伸びている。実はこれは拝島多摩川線という旧五日市鉄道の支線なのだ。多摩川の砂利鉄道としてこの 武蔵田中駅で分岐していた。その遺構がこのポイント切り替え機だ。武蔵田中駅から分かれた拝島多摩川線は拝島橋の北詰あたりで多摩川左岸に入り、河畔に沿って北上し、拝島第四小学校校庭の南辺りにあった拝島多摩川駅まで軌道が敷設されていた。多摩川砂2-10.jpg利は極めて良質で、明治の近代化に大いに貢献した。特に関東大震災の東京の復興には大量に用いられた。当時は資源や河川保護のため機械堀りは許されず、すべて手掘りであった。調布から青梅にかけて多摩川沿いには40 ~50の砂利業者で賑わったという。第二次大戦後の多摩川砂利は、復興需要と横田基地の飛行場建設などによる大量採取に加え、昭和32年には上流に小河内ダムが竣工し、砂利の補給は途絶えてしまったことから、砂利資源は急速に底をつき、ついに昭和39年、100年に亘った多摩川の砂利採取の歴史に幕が降ろされた。
 さて旧武蔵田中駅を後にすると、この後は新奥多摩街道に沿って南側の歩道を進む。やがて「覚方上」(オボエカタウエ)の道標のかかる国道16号(東京環状)と交差する。国道を横切り更に街道を進むと前方に肌色の陸橋が見え3-1.jpgてくる。陸橋の袂に来るとそこに農協拝島店がある。この辺りに南拝島駅はあった。農協の西隣に街道に沿ってなにやら植木が密集する長方形の緑地帯がある。ここは貨車の留置線のあった所という。記録によればこの後軌道は一転北を指して拝島駅へ向かっていたという。街道筋向かいに目をやると、果たしてゆったり右へカーブしながら住宅街へ入って行く街路が確認できる。街道を渡り目指す街路に入る。瀟洒な住宅街を道なりに進むと次第にゆるやかな上り坂となる。交差点「三小東」で緑街道を横切ると左手は拝島三小だ。道は三小を左に捲くように進む。ほどなく道路はそのまま駐輪場へと変貌する。かつての廃線跡を利用した駐輪場なのだ。駐輪場を抜けるとそこは江戸街道、左に進むとすぐ「松原町四丁目」の道標の掛かる三叉路で、そこを右に入れば拝島駅となる。(この項つづく)



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