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梟翁夜話 №104 [雑木林の四季]

「ある臭い話」

       翻訳家  島村泰治

世界を思ふさま撹乱して、ここにきてやうやく収束に向かふ気(け)が見られるコロナウイルスだが、侍でもあるまいに生意気に改名を繰り返してここまで来た。発端は発生の根っこ武漢からの武漢ウイルス、これを支那が嫌ってCovid-19、WHOは一昨年の5月から変異株名にギリシャ文字を冠せることに。アルファ(α)から順に直近は12番目のミュー(μ)だったが、南ア発の変異種には15番目のオミクロン(ο)が宛てられたのは周知の通り。何と、13番目のニュー(ν)と14番目のクサイ(ξ)が飛ばされてゐる!

それでなくとも忌まわしいコロナ禍は鬱陶しい噂を産みもする。其の中に、これはさなるべしと云ふ真実味を帯びた噂もある。ギリシャ文字で飛ばされた2つ、ニュー(ν)とクサイ(ξ)だが、それぞれ飛ばされるには理由があった。WHOの説明(釈明?)によれば、ニュー(ν)は英語のnewの語感が酷似しているから、クサイ(ξ)は一般的な姓であるため避けたと云ふのだ。

百歩譲ってニュー(ν)は然(さ)もありなんとして、この一般的な姓であるとされたクサイ(ξ)に当たる要人がいる。それが何と他ならぬ習近平、彼の姓が英語綴りでXi、クサイ(ξ)と語感が似てゐると云ふ。落とし噺が好みの筆者には、これは近年出色の噺だ。

とかく支那寄りが噂されるWHOのことだ、ニュー(ν)はともかくクサイ(ξ)は某人の名にそっくりだから遠慮したとしても何の違和感もない。ただ、公平のために付言しておくが、WHOは2015年5月に公表した文書に確かにかう銘記してゐる。
「病気に名前をつけるための最善の方法は、あらゆる文化、社会、国家、地域や専門的または民族的なグループへの攻撃の原因となることを避けることだと示唆してゐる」。
1つの姓が民族的なグループと同等に扱われていいものか?人の口には戸は立てられぬ道理、コロナ禍で常軌を逸してゐる人々ならクサイ話ぐらいは朝飯前だ。片や日本では、口さがないネットユーザーの間で「尾身クロン」と云ふ表記が流行ってをるそうだ。日本のコロナ専門家など、WHOはまったく怖くないのだ、当然ながら。

オミクロン(ο)は感染力が格段に強い代わりに重症化や死亡のリスクが格段に低いため、コロナ禍はオミクロンをもって終息する可能性が高い。もしWHOの忖度なかりせば、武漢で始まりXi:クサイ(ξ)で終わると云ふ秀逸なオチになったはずなのだが残念至極。


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