過激な隠遁~高島野十郎評伝 №66 [文芸美術の森]
ノート 5
早稲田大学名誉教授 川崎 浹
動物学や化学や数学をやったり哲学したり、
そんな事がいかに我が身に害毒した事か、そのモルヒネ中毒を洗ひ落すのに一生かヽる.
花も早や散りうせし今日ぞ降りふりて、薬師の誉めら暮雨
花も散りし今日ぞ春雨ふり降りで
薬師の塔にしづくたらせよ.
全宇宙を一握する、是れ寫実
全宇宙を一口に飲む、是寫実
道ばた、ごみだめにころがつて居てもはっきりと見える、
どんなにうたがって見てもそうとしか見えないものが藝術品、
ころがつてゐれば誰れの目にもとまらないもの、うたがへば無くなるもの、
額ぶちに入れてかざれば何か意味がつくといふようなものは迷心品.
批評専門家は多くは迷心に落ち入ってゐる.
『過激な隠遁~高島野十郎評伝』 求龍社
『過激な隠遁~高島野十郎評伝』 求龍社
2021-12-30 10:56
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