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検証 公団居住60年 №103 [雑木林の四季]

XV「規制改革」の名の公団住宅削減・売却、民営化方針

   国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

7・大手不動産・ゼネコン奉仕にすすむ都市再生事業
 
 2009年4月にはじまる機構の第2期中期目標・計画は、賃貸住宅事業の圧縮にたいし都市再生事業の拡大の方針が際立つ。「公の政策目的に資する」機構の都市再生事業と称し、「国家的プロジェクトへの取り組み」をその第1項にあげる。その実体は、事業の「基本目標」の結びの文言からも察せられる。「(アメリカの)サブプライムローン問題に端を発した世界的な経済危機の下で、株価の低迷や企業の資金繰り悪化、雇用調整が行われるなど我が国経済は深刻な状況にあり、都市再生に対する民間事業者の投資意欲の低下が見られる状況下においては、民間の需要を喚起する取組みを強化するとともに、民間都市開発を補完しながら、より内需主導型の経済構造への転換を図るよう努めるものとする」
 中期計画では、市街地の整備改善等を実施することにより、第1期には「将来3兆8,000億円規模の民間建設投資を誘発する。また、経済効果は7兆6、000億円規模が見込まれる」と記し、第2期はそれぞれ2兆5,000億円、4兆8,000億円を見込み、機構の主要な目的と役割をうたっている。
 その具体化は早くも第2期計画の開始をまえに、09年3月に新聞報道がつたえた。「不動産市場へ7,000億円の公的支援」、再開発用地「UR通じ買収」の見出しで、「政府・与党は28日、不況と金融危機の影響で冷え込む不動産市場の活性化対策を固めた。ビル・マンション建設計面が中断された都市部の再開発用地を、UR都市機構をつうじ買い上げるのが柱。URによる土地の集約や周辺道路整備で開発しやすくしたうえで、矧用業抑こ転売する」(「毎日」09年3月29日)。機構は政府からうける1、500億円と財政投融資からの借り入れを合わせ計3,000億円で土地取得にのりだす。
 機構設立時約7,300億円の繰越し欠損金は、バブル畑傾後の地価下落を下支えする国策のもとで旧公団が1990年代に住宅用地と称して山林原野まで買いまくり、その取得土地の含み損と資金コストが増人してできたことは、すでにのべた。09年4月に麻生内閣は未曾有の「経済危機対策」と称して15兆円にのぼる史上最大規模の補正予算をくんでバラマキをし、人手不動産・ゼネコン業界にも巨額の国民の税金が流された0そのトンネル伽号、機構が資するという「公の政策目的」「国家的プロジェクト」なのだろう。
 大企業は税金で救われたうえで、儲け口にあずかれる。肩代わりをしてしょいこむ機構に起こりうる新たな損失、その重なるツケは、公団住宅の高家賃、住宅管理コストの削減、ついには団地売却となって現われる、と言っても的外れではない。

『検証 公団居住50年』 東信堂


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