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過激な隠遁~高島野十郎評伝 №65 [文芸美術の森]

ノート4

  早稲田大学名誉教授  川崎 浹 

粉河寺春花盛りみつれども
めぐり詣づる巡礼もなし

花に降る春雨なれど奈良によし
唐傘なくも堂や問はなむ

二月堂その地茶屋にかけ居れば
屋根の大空しみじみとあり.

色々な思想を考へ出す、種々な新様式を作り出す、 - それを才能ある優秀の事に思、
その作る方も、思ふ方も凡て無意義、優秀とはたヾ一路のみ.

奈良の雨、今春なればぬるゝこそ
我が身のさちと思ひ知るなれ.

春雨と我も世間も恩へども
秋篠寺は瓦にぞ降る

こゝは山、山山山の谷なれど
かじか鳴く音にさゝるものなし

『過激な隠遁~高島野十郎評伝』 求龍社


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