過激な隠遁~高島野十郎評伝 №65 [文芸美術の森]
ノート4
早稲田大学名誉教授 川崎 浹
粉河寺春花盛りみつれども
めぐり詣づる巡礼もなし
花に降る春雨なれど奈良によし
唐傘なくも堂や問はなむ
二月堂その地茶屋にかけ居れば
屋根の大空しみじみとあり.
色々な思想を考へ出す、種々な新様式を作り出す、 - それを才能ある優秀の事に思、
その作る方も、思ふ方も凡て無意義、優秀とはたヾ一路のみ.
奈良の雨、今春なればぬるゝこそ
我が身のさちと思ひ知るなれ.
春雨と我も世間も恩へども
秋篠寺は瓦にぞ降る
こゝは山、山山山の谷なれど
かじか鳴く音にさゝるものなし
『過激な隠遁~高島野十郎評伝』 求龍社
『過激な隠遁~高島野十郎評伝』 求龍社
2021-12-14 15:17
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