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検証 公団居住60年 №101 [雑木林の四季]

XV「規制改革」の名の公団住宅削減・売却、民営化方針

   国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

5.正体見えたり「規制改革」、広がる批判

 2007年にはいって年金記録のごみ捨てが国会をにぎわせ、大企業による人間の使い捨て(非正規雇用拡大)、医療の切り捨て(07年高齢者負担増)、高齢者のうば捨て(08年後期高齢者医療制度開始)等々が立てつづけに明るみに出て、07年9月から翌08年9月の1年間に安倍晋三、福田康夫の両首相も次つぎ政権を投げ出すという始末だった。自民党総裁選に圧勝して引きついだ麻生太郎内閣も1年足らずの短命におわり、09年8月30日の総選挙で政椎を民主党にわたした。
 国民生活に「貧困と社会的格差」を拡大させた根源は小泉構造改革にあり、小泉後も構造改革を強引に進めてきたのが、経団連の主導する経済財政諮問余一議と税制改革会議である。ここでは公団住宅の命運に焦点をあてて規制改革会議の答申とそれにつながる悪政の流れをみてきたが、使い捨て雇用や医舶崩壊等々の現実もすべて、同じ答申から発している。経団連が毎年だす「税制改革要望」をみれば、「経団連の主導」は明らかである。08年には貧困と格差の拡大が大きな社会問題となり、その元凶として経済財政諮問会議と税制改革会議の廃止が国会でも論じられるにいたった。
 麻生首相の施政方針演説にたいする09年1月30日の参院代表質問で自民党・尾辻議員会長は、「会議のあり方に強い疑念をもっている。経営者の視点で税制改革が進められ、その結果、派遣の大量打ち切りとなり、多くの人を失業に追い込んだ」と指摘して、両会議の廃止を迫った。また民主党・輿石議員会長も、「日本社会に崩壊の危機をもたらしたのは、小泉構造改革以来の市場原理主義、弱肉強食政治の結果である」とのべ、「規制改革」にたいし与野党相通じる見解をしめした。政党幹部の発意というより、背景には押さえきれない世論の高まりがあった。なお尾辻質問に答え鳩山邦夫総務大臣は、「かんぽの宿」一括売却問題に関連して、規制改革会議の議長の座を10年余にわたり占めてきた宮内義彦オリックス会長を名指しで批判した。政権の主軸をなす「税制改革」への内部からの公然たる批判は、政権そのものの存立の揺らぎ、危うさの証であった。


『検証 公団居住60年』 東信堂


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