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検証 公団居住60年 №99 [雑木林の四季]

XV「規制改革」の名の公団住宅削減・売却、民営化方針
 
   国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

 2・規制改革と民営化は一体のもの

 ポスト小泉の構造改革は、安倍、福田、麻生内閣のもとでも経済財政諮問会議と規制改革会議がクルマの両輪となって進められた。
「規制改革推進3か年計画」が発表される直前の2007年6月19日に、経済財政諮問会議(議長は安倍首相、御手洗富士夫経団連会長ほか)の「経済財政改革の基本方針2007-〈美しい国〉へのシナリオ」、いわゆる「骨太の方針」が閣議決定された。ここでは、都市機構をはじめとするすべての独立行政法人(101法人)の廃止・民営化や民間委託の是非を検討し、07年内に「独立行政法人整理合理化計軌を策定することを決胱。こうして公団住宅削減・売却の方針とともに都市機構民営化の動きが一挙にもちあがった。
 これら両決定をうけ、首相を本部長とする行政改革推進本部を設置し、その後、行政減量・効率化有識者会議がとりまとめた「独立行政法人整理合理化計画の策定に係わる基本方針」を8月10日には閣議決定して07年内の策定を急がせた。すべての法人を対象にしたとはいえ標的は都市機構にしぼられた。経済同友会もこれに加勢し、計画策定にむけた10月30日の提案のなかで、都市機構は業務を「多数の権利者調整が必要な場合の基盤整備」に限定せよ、機構のセーフティネット機能、ストック保有は必要性に乏しく、賃貸住宅事業は5~10年以内に廃止せよととなえた。
 こうした経過をへて07年12月24日、「独立行政法人整理合理化計画」が閣議決定された。都市機構については、「組織形態を検討し、3年後に結論を得る」「賃貸住宅の削減、売却等の方向性を明確にした再編計画を策定し実施に努める」を決定した。
 機構の民営化をめぐっては、マスコミを巻き込んでの民営化をさけぶ渡辺喜美行革担当大臣のパフォーマンス対、公団住宅の民営化を否定する冬柴鉄二国交大臣の「対立」が報道され、閣議決定の直前に福田康夫首相の裁定で「3年後に結論」との決着をみた。渡辺対冬柴の対立、民営化の結論3年先送りの背景に、民営化に反対する自治協運動と、本当に公団住宅をなくしてよいのかという世論の高まり、かつてなく数多くの地方議会・首長からの意見書、要望書提出があった。自民、民主両党に結成された議員連盟の働きかけ、各党あげての自治協支援が大きな力となった。
 規制改革会議はさらに追い討ちをかける。翌25日には第2次答申をだして「資産の早期圧縮と民業圧迫の回避の観点から具体的な削減戸数を明確にせよ」とせまる。12月24日の閣議決定、25日の税制改革会議の第2次答申、翌26日には機構が「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」を発表という連係プレーをみせた。

『検証 公団居住60年』  東信堂


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