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台湾・高雄の緑陰で №30 [雑木林の四季]

 パンデミック及び「専制中国」と闘う台湾

     コラムニスト・在台湾  何 聡明

現在に至るも武漢肺炎は多様な変化を遂げながら全世界で席捲を続けている。当初防疫の優等生といわれた台湾は突如今年の5月中旬より2週間続けて防疫に大きな穴が開き、優等生を返上することになった。その後、自国購買のワクチンの他、日本国と米国から多量のワクチン贈呈を頂き、私夫妻も感謝しながら日本国贈呈のAZワクチン接種を受けたのである。その後台湾の防疫効果は日に日に向上し、感染者死亡者ともに激減している。日本の皆様にも一層の防疫努力を願いたい。 武漢肺炎パンデミックの責めを負うべきは勿論発生地の中国である。
                                                                                
8月20日の統計によれば台湾の武漢肺炎感染者は15,906人、死亡者は827人で、同じく統計では日本国の感染者は1,232,585人、死亡者は15,553人である。日本の人口は台湾の人口の約5倍近くあるとはいえ、感染者と死亡者が増えつつあったのにも関わらず、パンデミック最中に挙行された2020東京オリンピックは無観客だったとは言え、大成功であった。私夫妻を含む多くの台湾人は防疫のため外出を控えていたので、毎日TVにかじりついてオリンピック競技を観賞した。台湾隊は今回のオリンピックで金2、銀4、銅6合計12個のメダルを獲得して自己記録を大きく破り、台湾人に元気を与えてくれた。200を越す参加国の中でこのメダル数は第34位だったが、2千3百50万人口の中小型国台湾としてはわるくない成績であった。ただ、台湾隊が「中華台北」の名前で参加したのは情けない。台湾隊の選手の多くは台北市出身者ではないのに選手皆が台北代表である。2016年以後台湾を正々堂々「台湾」と名乗る努力をしていない民進党政府の怠けである。

台湾人を主体に創党した民進党は脱中華民国、台湾独立を謳った政党であったが、一旦政権を握ると初志を忘れて安座する傾向がある。民進党政府は今でもわが国名は「中華民国、台湾」であるという。其れは「台湾は中国の一部である」と勝手に主張する共産党専制の中国を忖度してか、それともアメリカの圧力に屈してかと考えられていたが、そのアメリカは1980年に中華民国と断交直後「台湾関係法(TRA)」を立法して台湾人民との関係を維持してきたのである。その恩恵を中国国民党も享受したのだ。トランプ前政権を引き継いだバイデン政権は、今後中国を経済と軍事の競争相手であると位置ずけし、台湾に一旦緩急あれば見捨てないと明言した現在、民進党政府は積極的に国名と憲法を更新する努力をすべきであろう。

世界に中国は一つしかない。中国国民党が統治した中華民国は1949年10月に中国共産党が統治する中華人民共和国によって滅亡したのは歴史事実である。中国大陸で滅亡した中華民国国民党政府は朝鮮戦争のお陰でアメリカの援助得て台湾にその亡命政権を創設したため、2つの中国が存在するような錯覚を國際に与えたのだが、中国共産党政権が黙って其れを許すはずはない。台湾に対する「武嚇文攻」は今日迄続いている。遺憾なのは、1996年に民主化した台湾国内には半世紀も台湾を専制統治した中国国民党が尚存在していたし、今でも存在している。中国国民党は2000年の総統選挙で破れて民進党に政権を転移すると、手のひらを返すように中国共産党政府に擦り寄り、親中国、反日、反米をあらわににする。それを中国共産党政府は台湾人が「祖国との統一」を望んでいると解釈するのである。

今や中国国民党は中国共産党と切っても切れない兄弟関係にあり、台湾の獅子身中の虫である。それを知りつつ、何ら手を打とうとしない民進党政府に私は歯がゆいだけではなく怒りを感じる。「天は自ら助くる者を助く」と言う、天機を失すればその先は無いのだ。


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