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バルタンの呟き №103 [雑木林の四季]

「76年間の平和」

          映画監督  飯島敏宏

この項を書いているのは、近年、めっきり影が薄れた8・15終戦記念日前日、です。
明日、令和三年の8・15は、遂に、というよりもコロナ感染助長の懼れを認めようとせずに、あくまでパラレルワールドと唱えて強行された2020東京オリンピックへの讃歌と、やがて始まるパラリンピック宣伝記事の影に隠れて、明日の朝刊のトップを占めることも難しいかも知れないなと思いながら、PCに向かったのですが、脇にあるTV画面に各地から送られてくるリアルタイムの生々しい映像では、なんとわが国の半分以上の面積に及ぶほどの都府県が、あきらかに、産業革命以来人類が齎した気候変動に起因する豪雨の災禍に見舞われている惨憺たる映像ではありませんか。
僕は、この項で、1945以来76年という永い間、おそらくわが国の歴史上かつて経験したことのない平和が、いかに貴重なものであったか、そして、いま明らかに戦争の危機が迫っているこの時こそ、8・15の平和宣言を守りぬいて来たこの国が、その成果を世界に発信して、平和の灯を掲げる時ではないか、と。呟くつもりだったのです。
しかし、明日の新聞、テレビ、ラジオ、通信、すべてのジャーナリズムのトップの席は、この豪雨による災禍の報道に譲ることになるに違いありません。
準備段階からの数々の不祥事、自覚や認識不足を露呈して不評に終わった開会式、さらに不評どころか一部海外からは嘲笑さえ受けた閉会式の検証や反省のかけらもなく、メダル授賞に輝く美談や、感激映像を流し続けて、2020東京オリンピック・パラリンピック翼賛に務め続けているNHKでさえも、一時に、20の都府県に発せられた緊急避難指示、殆どわが国の半分に及んで、さらに増え続けるこの災禍をリアルタイムで放映せざるを得ない事態が生じてしまいました。しかも、一方では、オリンピックを強行した為に生じた「国民の皆さんの気の緩み」から人流は菅総理がいかに言葉をとりつくそうとも否定しえない勢いで増加し続けて、政府、自治体が次々に緊急事態宣言を発しても、この夏の、帰省、郷土訪問、観光の流れは、アンコントロラブルな爆発的感染状態を招くに違いありません。
「国民の皆さんが力を合わせて新型コロナウイルスを克服して安心安全な2020東京オリンピック・パラリンピックを成功させた証として、世界に発信したい」
「先手、先手とワクチン接種を行って、9月末には・・・」
菅内閣の「こうしたことを・・・スピード感をもって」行ってきた立法の分権無視の行政は、殆どすべて空回りに終わってしまい、革新側の勢力結集も不成立という状況のままに、旧盆休暇明けには、さしたる抵抗もなく国民の命を賭けて、ずるずるとパラリンピックに突入する羽目に陥っています。
今からでも、決して遅くはありません。それこそ、世界に、わが国の陥っている豪雨災禍と、新たなコロナ変異株の発生伝播、ワクチン接種の遅滞を発信して、「国民の命を救う」ために、パラリンピックの中止を宣言して、これ以上の感染爆発を防ぐための人材、設備を確保すべきだと思うのです。それでなくとも、クーベルタン以後の近代オリンピック精神が失われた現在の商業主義IOCオリパラ招致に応じなくなっている世界の流れから推しても、その宣言は、将来のオリンピック精神回帰への英断として受け入れられるのではないでしょうか。

1932年生まれ、終戦の年に、13歳だった僕たち世代は、男子で、身長160センチメートル、女子はおそらく150センチメートルでした。前回、1964年東京オリンピック競技大会でさえも、外国選手と並んだ日本選手は、体格的に見劣りがしました。それが、今回の2020TOKYOオリンピック大会では、外国選手に対して決して見劣りしない体躯になっていることに気が付かれたと思います。
それを齎したのは、他ならぬ、わが国が、1945年以来、非戦、非武力使用を誓って実行してきた平和の賜物なのではないでしょうか。
明日の、テレビ、新聞の見出しがどうであろうとも、僕、米寿を越したバルタンは、8・15こそ、終戦、平和の記念日であり、間もなく、商業IOCに流されるままに開かれるに違いないパラリンピックの向こうから、高らかな足取りで迫ってきている人類世界を消滅させてしまう悲惨際まる戦争には、わが国は絶対に引き込まれてはならない、という思いで、キイを叩いているのです・・・たとえ小さな呟きでも・・・

      

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