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多摩のむかし道と伝説の旅 №66 [ふるさと立川・多摩・武蔵]

            多摩のむかし道と伝説の旅
       -渋沢一族が主導した飯能戦争の戦跡を巡る-2
 
                原田環爾

飯能戦績2-1 のコピー.jpg


飯能戦績2-2.jpg 東飯能駅を出発し真っ直ぐ西へ延びる中央通りに入る。駐車場のある三つ目の辻を右折する。途中車道を横切りながら北へ200~300m進んだ所で左へ入る街路をとるとすぐ沿道右に玉宝寺がある。曹洞宗の寺で山号を玲瓏山と号す。能仁寺の末寺で本尊は嘘空蔵菩薩。創建年代は不詳であるが、開山は在珠(正保元年1644年寂)と伝える。古びた黒い屋根瓦が印象的な寺だ。ここに振武軍の一部25名程度が分駐したという。幸い兵火は免れた。玉宝寺を後にして更に街路を西へ進む。299号線を横切りそのまま進むとすぐ八幡神社の境内を横から入る形となる。境内地は広く、一部は児童遊園になり、社殿は西北の隅に鎮座している。文禄元年(1592)の創建という。社殿の傍らには末摂社として三峯神社と稲荷がある。幕末の飯能戦争で八幡神社は戦災に遭ったと言うが詳しいことはわからない。八幡神社の西側に沿う道を北に進めばすぐ左手に廣渡寺の入り口の前に来る。曹洞宗の寺で山号を平寿山と号す。山門もなく普通の民家の入口の様なのでうっかりすると見落としてしま飯能戦績2-3.jpgう。境内は以外に広く樹木がよく手入れされて 園芸場のようになっている。長い参道を西へ進むと堂宇の前に来る。堂宇は子安地蔵尊を祀っている。傍らには供養塔など三基の石塔が立ち並んでいる。堂宇を右へ直角に折れると、長い参道の先に本堂が見える。本堂には延命閣と記した扁額が掲げられている。本尊の延命地蔵が祀られているからであろう。本堂の左手には寺の由緒を刻んだ記念碑が立っている。それによれば創建年代は不詳であるが、永禄4年(1561)僧花渓正春が中興開山し、元和元年(1615)能仁伊豚が再中興したという。慶応4年(1868)の飯能戦争では振武軍40人が境内に立て籠もったため、兵災にあい堂宇は焼失、古記録はほとんど残されていないという。その後大正5年再建された。東隣の八幡神社は明治の神仏分離令の折に分離されたという。

 廣渡寺を出て心応寺に向かう。西武池袋線にぶつかると線路沿いを左に進んで小さな踏切を渡る。引き続き街路飯能戦績2-4.jpgを北に進むと赤い鳥居の弁財天の前に来る。飯能弁財天とも心応寺の弁天様とも言われる。その心応寺は鳥居の左隣に立つ大きな石門柱がそれだ。曹洞宗の寺で山号を萬寿山と号す。本尊は釈迦如来。創建年代は不詳であるが鎌倉時代の草創と言われる。開基は加治豊後守貞継(応永3年1396年寂)といい、天正の頃能仁寺3世材室天良が改修し開山としたという。石門柱を進み楼門を抜け中雀門をくぐるとそこに本堂、鐘楼がある。振武軍はここに60名ほど駐屯したというが兵火は免れた。境内の南東部に先の飯能弁財天がある。文暦年間(1233~1235)、僧 萬寿達道が草創したと伝える。即生の池の中にある満願の島に弁財天宮がある。

飯能戦績2-5.jpg 心応寺を出て飯能弁財天の即生の池の南側に沿って小道を進む。弁財天を過ぎると畑の広がる何とものどかな里道に変貌する。里道を道なりにうねうねと抜けると車道に出る。車道を左に入って北へ進むと程なく東西に走る太い車道との交差点に出る。車道を渡り100mも更に進めば集落の辻に来る。辻の一角に道標が立っている。「左 智観寺、右 加治神社」と。これより智観寺へ向けて左手の街路に入る。街路を100mも進めば沿道右手に智観寺の参道入口が現れる。真言宗豊山派の寺で山号を常寂山と号す。後北条氏や徳川に仕えた中山氏の菩提寺である。北に延びる参道を進むと常寂山の扁額を掲げた山門の前に来る。山門をくぐると正面に本堂、右手に収蔵庫がある。智観寺は平安時代の元慶年間(877~885)中山氏の祖である丹党の丹治武信により創建された。鎌倉時代は丹党加治氏の菩提寺となり、その加治氏は戦国時代に中山氏に改称し、江戸期は中山家の菩提寺となっ飯能戦績2-6.jpgた。天正18年(1590)北条氏照を城主とする八王子城は豊臣秀吉の小田原攻めに伴い、前田利家や上杉景勝の北陸支軍の猛攻で落城したが、その折八王子城を死守し自決した猛将に中山家範がいる。徳川家康は家範の武勇を称え、家範の次男の信吉を家臣に取り立てた。その後信吉は水戸藩の付家老として活躍した。中山信吉を初め代々の当主が葬られている。その智観寺は幕末には振武軍の駐屯地として120人が立て籠もったという。そのため新政府軍により大砲を撃ち込まれ寺は焼け落ちた。被弾した山門は収蔵庫に保存されている。現在ある山門は再建されたものであるが、住職の計らいで天井の梁の被弾箇所がそっくり復元されている。(この項つづく)/


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