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バルタンの呟き №102 [雑木林の四季]

「しゃんとせい!」

             映画監督  飯島敏宏

やれ線状豪雨だ土砂崩れだと、各地に記録的な雨を齎した梅雨が明けた途端に、今度は、屋内でも熱中症を心配しなければならない高温と熱帯夜、さらに早々と台風の襲来です。これも、もとを糺せば人類が地球を虐め抜いた人災なのでしょうが、ここで僕、バルタンが断然呟きたいのは、いま、厳密にいえば、今朝までは、テレビ、新聞など、ニッポンの全てのメディアが、金メダルラッシュの感動報道に沸きたっていた2020TOKYOオリンピック・パラリンピック大会です。
その間の僕は、副反応に怯えながらも、恐る恐るファイザー製ワクチン接種の第一回を指定接種センターで受け、供給不安定を心配しつつ迎えた接種第二回を終わり、現在は、数日を経てなお軽快しない倦怠感に、もしやこれが、いましきりに一部週刊誌やネットで喧伝されている隠された副反応か、それとも、すでに米寿越えをしたわが肉体に、自然に訪れたフレイルか、と案じながら、十年以上続けている我が街の中央公園早朝ラジオ体操通いさえ控えて、ひたすら、お上(政府のことです)のお達し通り、家に引きこもって、テレビとPCと読書で日々を過ごしていたのです。
折角、高齢化した僕たちの為も考え、それぞれ近くに居を構えてくれた子供たちも、コロナ感染を危惧してそれぞれの核ごとに暮らして、近寄りませんし、もちろん、親しい友人や、知己との会食は慎んで、言葉を交わすのは、うちのママ(カミさんのことです)だけです。それも、再々の都知事の懇請に応えて、外食を避けての家食ですから、大型スーパーでの買出しさえ控えて、三度三度の食事のたびに、通販に頼る献立の工夫を余儀なくされるママ(カミさんのことです)の機嫌が良いわけはありません。お上(カミ)とカミさん、両お上の狭間で、僕の体内のマグマがもうそろそろ限界、というところまで煮えたぎってきています。
ところへ、昨日、遂に、TOKYOのコロナ新感染者が3800人を超え、専門家の予想では、未だ嘗て経験したことのない、危機的状況である!となり、様相が一変しました。
さすがに、ワクチン漬けを頼りに。コロナ禍をおして2020東京オリンピック・パラリンピックを強行し続けてきた政権が、いまや危機的状況に置かれた道府県知事からの要請に押されて、漸く、抜き放ったのが、既に錆の回った鈍刀、緊急事態宣言の追加と延長です。
僕は、この感染爆発の元凶は正しく、「人類が新型コロナウイルスを制圧した証として、安心、安全な、2020東京オリンピック・パラリンピックを行ったことを発信したい!」と、大多数の国民の反対を押し切って、ワクチン頼りで強行開催した2020東京オリンピック競技大会である!と思っていました。
ですから、昨夜、テレビに登場した菅総理の緊急会見は、当然、「国民の皆さんの生命と、生活、経済の破綻を犠牲にして、これ以上、オリンピック競技大会を強行するわけにはいきません!」と、頭を挙げて、胸を張り、いさぎよく中止宣言をする、ことまでは、ないだろうけれど、どんな効果的な対策を講じるのだろう、という期待は無きにしも非ず、だったのです。
が、テレビ画面に登場した菅総理は、マイクの前に、あたかも商家の手代風に、腰前で両の掌を合わせて立ち、頭を下げるでもなく、国民にまともに視線を合わせずに、「オリンピック競技大会と、日本国内各地での感染拡大は、パラレル・ワールドである」という、いまや、かのクーベルタン男爵が創設した近代オリンピックの憲章と打って変わって商業主義的興行団体に堕したIOCと同じような見解を述べた上で「・・・そうした中で、政府としては、感染拡大防止に、緊張感をもって全力を尽くします」と、いつも通り、何ら具体的な説明もなく終わってしまったのです。
「さあ、いよいよ、夏休みだ!藪入りのお盆休みだ!海水浴だ!温泉だ!山登りだ!久しぶりの故郷(さと)帰りで、お爺ちゃんお婆ちゃんに孫を!」
「オリンピックをやってるくらいだから、大丈夫だよ!」
観光地へ、故郷へ、大移動が始まるのは、当然です。パラレルワールドでいるのは、オリンピック村の中だけなのです。
「しゃんとせい!」
僕は、思わず、テレビの中の菅総理の立ち姿に浴びせてしまいました。
実に怖かったけれど、僕の人間形成に大きな影響を残している小学校時代の先生、久保次郎座衛門という、当時でも珍しかった侍みたいな名前の、九州男児の先生が、叱る時に使った言葉です。
「しゃんとせい!」
そのあとに、横ビンタ(掌での頬打ち)が飛んでくるのです。
今ここで、この国の為政者たちに、国民の皆さんに、僕、バルタンはあえて、呟くのではなく、
「しゃんとせい!」
と呼びかけたいのです。
皆さんには、オリンピックの向こうから、コロナ禍の向こうから、もっと恐ろしいもの、地球上の全世界はおろか、宇宙にまで及ぼうとしている、戦争の足音が聞こえませんか?
いま、しゃん!としなければ、いまここで、しゃん!とした態度を示さずに、その足音を立てている二つの勢力の一端に曖昧に追従していると、この国は、日本は、真っ先に二大勢力の交戦場になってしまうのが明々白々だと思うのです。これは、劇画アニメの世界ではなく、蟄居する僕の幻夢でもなく・・・


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