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往きは良い良い、帰りは……物語 №94 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語
こふみ会通信 №94 (コロナ禍による在宅句会 その9)
「朧/朧月」「囀)」「目刺)」「竹の秋」
                俳句・こふみ会同人・コピーライター  多比羅 孝

当番幹事(すかんぽ氏&茘子さん)から連名で≪令和3年4月の句会≫の案内が届きました。
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●日程:出題  4月1日
    投句〆切は、4月14日(水)です。
    投句一覧は、4月17日(土)を目処に送信いたします。
    選句〆切は、21日(水)を予定しています。
    天句には、鑑賞コメントを簡潔に書いてください。
●兼題 ① 朧/朧月(おぼろ/おぼろづき)全般
    ② 囀(さえずり)
    ③ 目刺(めざし)
    ④ 竹の秋(たけのあき)
●投句先:すかんぽ iguana@love.email.ne.jp
     玲子 yokko@me.point.ne.jp
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【上記の通知によって作成・投句された今回の全作品】 17名  68句

【朧/朧月】
訪ねたる友不在なり月朧 (虚視)
迷い道どっちに出てる朧月 (舞蹴)
惚けたる母に添い寝の朧月 (鬼禿)
満開の枝を渡るやおぼろ月 (尚哉)
孫寝かし我も寝落ちす朧かな (小文)
芳香の 元をさがせば 朧月 (紅螺)
読み終えて朧障子に金の道 (下戸)
肩寄せる人あり月もおぼろにて (孝多)
山の端(は)もかすみてあわしおぼろ月 (玲滴)
角曲がるまで子ら見送れば月朧 (弥生)         
月島の朧曲ればまた朧 (すかんぽ)
朧月卒寿の母が手を合わす (華松)
見つめても見つめても見つからぬ朧かな (矢太)
君の手を探る探れど朧の夜 (茘子)        
朧夜の酒は手酌の温(ぬる)き燗 (可不可)
朧月ゆるりと流るシテの舞 (一遅)
商店街 シャッターかすかに 朧月 (兎子)

【囀】
囀を抱(だ)きかかえたる大樹かな (孝多)
囀りに舞踏への勧誘聴こえたり (尚哉)
囀りを 目を細め聴く 病み上がり (紅螺)
青春の甘き囀モーツアルト (舞蹴)
覚めてなほ囀り聞こゆ夢うつつ (弥生)
友を呼ぶ囀り哀れ窓を閉め (華松)
カタカナの声ひらがなの声囀れり (すかんぽ)
囀や木漏れ日踊る白き皿 (茘子)
こどもらが 走って笑って 囀って (兎子)
囀りを聞く人生の端々で (可不可)
囀や瞼閉じれば君がいる (矢太)      
女人来て今朝は囀りかまびすし (一遅)
鶯の初さえずりや藪の中 (玲滴)
銃声の途切れし空に囀れり (下戸)    
囀りやポニーテールの先揺らし (小文)
さえずりは一羽こそ良し群れるなよ (虚視)
囀りに誘はれ昇る 天の窓 (鬼禿)

【目刺】
ほほ刺しもありてあはれや目刺焼く (弥生)
骨のある奴めと呟き目刺食む (可不可)
残念です良いヤツでした目刺焼く (孝多)
日本酒と 目刺がくれる 幸福が (兎子)
見えるもの見えざるものや目刺の目 (矢太)
死に行くは所詮他人か目刺焼く (舞蹴)
目刺焼く朝の食卓侘び住まい (玲滴)
海荒れてやることもなし目刺食う (下戸)
眼玉無き頭からまず目刺喰う (虚視)
串を抜く痛み伝わる目刺しかな (華松)
行儀よし前へ倣えの目刺しかな (小文)
大海で育ち目刺し いま網の上 (鬼禿)
今は目刺 速い潮に乗った日々 (紅螺)
これ目刺逆向くやつはおらぬのか (尚哉)
海の香を残して青き目刺焼く (茘子)     
庭に七厘マイステイホーム目刺し焼く (一遅)
生きてきた証しぞ目刺反り返る (すかんぽ)      

【竹の秋】
夜をこめて風さわぐなり竹の秋 (玲滴)
命懸けのデモ続きけり竹の秋 (可不可)
柔道着一列駆け行く竹の秋 (孝多)
人に言えぬ恋捨てにきし竹の秋 (茘子)
雨が来て何かが変わる竹の秋 (舞蹴)
迷い込む 里山の先の 竹の秋 (兎子)
青空を底から見上げ竹の秋 (一遅)
又一人くるくるくるちる 竹の秋 (鬼禿)
生き方は消え方らしき竹の秋 (下戸)      
さわさわと花に被さる竹の秋 (華松)
竹の秋土竜の塚の柔き土 (小文)
笹砕き当て無く歩き竹の秋 (虚視)
白髪は白髪のまま竹の秋 (すかんぽ)        
手をつなぎ ぬかるみ歩く 竹の秋 (紅螺)
縦棒のつよく並びて竹の秋 (尚哉)
天に向かって逃げて行きたし竹の秋 (矢太)
風早峠越へて一村竹の秋 (弥生)
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【天句鑑賞】
●山の端(は)もかすみてあわしおぼろ月(玲滴)
鑑賞短文=まるで一幅の日本画を見るような古典的な美しい句。(弥生)

●見つめても見つめても見つからぬ朧かな(矢太)
鑑賞短文=朧なるもの正体や如何に(可不可)

●朧夜の酒は手酌の温(ぬる)き燗(可不可)
鑑賞短文=こんな夜は熱燗でも冷酒でもないんです。一人ゆるゆると温燗で酩酊するのです。でもお供したいです。(小文)

●朧月ゆるりと流るシテの舞(一遅)
鑑賞短文=夢かうつつか、それとも、生と死の重なり合うところの情景か。(尚哉)

●囀を抱(だ)きかかえたる大樹かな(孝多)
鑑賞短文=耳を刺す大群の囀も、大樹に抱かれれば天上の調となる(虚視)
鑑賞短文=大樹を塒にしている小鳥たちの姿が想像でき、さえずる小鳥と大樹の対比がいいと思いました。(玲滴)

●カタカナの声ひらがなの声囀れり(すかんぽ)
鑑賞短文=敬服します。手垢のついた表現を避けようとする追究心。芭蕉さんも言って居られます。『新しみは俳諧の花』と。秀句を示して頂き、有難うございました。(孝多)

●囀りを聞く人生の端々で(可不可)
鑑賞短文=この季節、当り前のように鳥は毎朝さえずっているはずだ。でも、それを耳にして囀と感慨深く感じる事は、そうはあるものではない。「人生の端々」でが、絶妙と感服しました。(すかんぽ)

●これ目刺逆向くやつはおらぬのか(尚哉)
鑑賞短文=この句があれば、ただの目刺の顔がとぼけた政治家の顔に見えてくる。ユーモラスでいて、奥深い滋味がある。とても印象深い句です。(下戸)

●海の香を残して青き目刺焼く(茘子)
鑑賞短文=かつて目刺しは海にいた、という類句はいくつかありましたが、これがいちばんきれい。目刺しを焼く人物の、暮らしの美を感じます。(一遅)
鑑賞短文=晴れやかな余韻です。コロナの鬱々も生臭さも消してくださいました。(華松)

●生きてきた証しぞ目刺反り返る(すかんぽ)
鑑賞短文=目刺って考えてみると、すごい名前。小さいのに精一杯生きてきたこの魚の意地が見事に出てる。目刺という題から逃げずに読んだその心意気にも拍手。(舞蹴)

●雨が来て何かが変わる竹の秋(舞蹴)
鑑賞短文=季語「竹の秋」の持つ繊細さ違和感を「雨が来て~変わる」という日常的な事項で不安感に繋いでいる 怖い句です。今日的・うまい。
又【地句】の月島~朧の句の「月尽くし」の巧妙さに敬服。(鬼禿)

●青空を底から見上げ竹の秋(一遅)
鑑賞短文=閉塞感からの希望を感じました。空は青く、みずみずしく、目に痛いようです。(兎子)

●又一人くるくるくるちる 竹の秋(鬼禿)
鑑賞短文=ここ数年の逝った友がくるくると、蘇る。悲しいぞ。(矢太)

●生き方は消え方らしき竹の秋(下戸)
暗誦短文=どきっとしました。この句はとても印象深く、新緑の中、秋を迎えるその心、深い句だと思いました。(茘子)

●竹の秋土竜の塚の柔き土(小文)
鑑賞短文=早春の原、土竜が塚から顔を出す  心安らぐ情景を詠んで秀逸です。(紅螺)
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【幹事より、ひとこと】
17名の皆さんが、それぞれの思いによって「天」の句を選びました。それぞれです。ですから『天』に輝いた句が15句にも及びました。選が割れた、という、表現がよろしいかどうか、ですが、そんな伯仲した中で、やはり4句とも何らかの選に入った句を作った、孝多さんが抜け出したという結果です。割れるって貴重なことだと思います。(すかんぽ&茘子)
【今月の成績一覧】
トータルの天=孝多・41点
 代表句=囀りを抱(だ)きかかえたる大樹かな
トータルの地=すかんぽ・38点
  代表句=カタカナの声ひらがなの声囀れり
トータルの人=茘子・35点
  代表句=海の香を残して青き目刺焼く
トータルの次点=下戸・33点
  代表句=生き方は消え方らしき竹の秋
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◆俳句は座の文芸である。と言われて居ります。オンラインも良いのですけど……みんなと顔を合わせて、やいのやいのが、楽しいんですよね。座の復活を祈るや切!! お元気に。(孝多)

◆追伸・お願い◆
次回、幹事を勤めてくださる方にはお願いがあります。
今月のこのページに載っているような『幹事より、ひとこと』について、です。
「トータルの結果」とか、「兼題を決めたときのウラ話」とか、「3密にならない吟行の試案」とか、「句集の出版計画」とか、「短冊の復活案」とか、「幹事として味わった様々なこと」とかを200字ほどの文章にまとめて書いていただけませんか。もちろん、これまでにも「トータルの結果」の感想などは選句結果と一緒に送ってくださっていましたね。ネットのこあみ句会も形が整ってきましたので、次回からは『幹事より、ひと言』を『往きは良い良い帰りは……物語』の定番のコーナーにしたいと思うのです。
こふみ会の更に一層の面白さUP のために、どうぞよろしく。お頼み申します。
                                    多比羅孝多敬白  (令和3年5月1日)
                                                       


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