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検証 公団居住60年 №74 [雑木林の四季]

ⅩⅢ 独立行政法人化して都市再生機構に改組

    国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

2.国土交通省の都市公団「民営化」案と独立行政法人化決定

 国土交通省が提出した都市公団民営化案は、民営化を2段階にわける。ステップ1で(2、3年を目途に)、根幹的業務をのぞく住宅の管理業務を全面的にになう株式会社を設立・移管して「先行民営化(速やかに)」をすすめる一方、関連のニュービジネスと協働して高齢者や子育て支援サービス等の業務を拡大する。ステップ2では(10年後に)、公団本社の経営改善努力を結集し、条件整備がととのい次第すみやかに政府全額出資の特殊会社に移行するとしながら、この組織は「都市再生の実施部隊」として「不可欠な存在」と強調する。行政の継続性を打ちこわす小泉構造改革に批判し抵抗する国交省の姿勢には、国交省官僚の利権構造の温存、さらには権益業務と組織の拡大、、「焼け太り」さえ図るしたたかな底意が読みとれた。この改革案はすぐに撤回されるが、公団住宅廃止・民営化にむけてその後もくりかえし国交省が振起する実施プランの原型をここに見ることができる。
 10月30日に自民党住宅土地調査会は、(力大都市地域における賃貸住宅の現状にたいする認識の欠如、②200万居住者の生活を無視した公団賃貸住宅の売却、③都市再生の推進を阻害する都市公団の廃止・解体、④根拠の不明確な公団含み損等の計算、を理由に正面から事務局案に反論した。
 行革推進事務局案にたいする懸念と抵抗がひろがるなかで、内閣は突如11月27日、まず道路4公団、住宅公庫、都市公団、石油公団の「先行7法人の改革の方向性」をしめし、12月18日には「特殊法人等整理合理化計画」をまとめ、19日の臨時閣議で決定した。
「特殊法人等整理合理化計画」は、都市公団の賃貸住宅事業についてつぎの2つの改革方針をさだめ、既存賃貸住宅は新法人に引きつぎ、新組織は独立行政法人とすることをきめた。

○自ら土地を取得して行う賃貸住宅の新規建設は行わない。
○賃貸住宅の管理については、可能な限り民間委託の範囲を拡大し、効率化を図る。また、居住の安定に配慮しつつ、入居者の同意を得た上で、可能なものは棟単位で賃貸住宅の売却に努める。

●集中改革期間中(2005年度まで)に廃止することとし、都市再生に民間を誘導するため、事業施行権限を有する新たな独立行政法人を設置する。上記のとおり措置をした上で独立行政法人に引き継ぐ。

 閣議決定にもとづき国交省当局は法案作成を急ぎ、都市公団廃止を1年早め2004年7月独法化の意向を固めた。

『検証 公団居住60年』 東信堂


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