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論語 №115 [心の小径]

三五八 子のたまわく、その位に在らざれば、その政を謀(はから)らずと。曾子(そうし)いわく、君子は思うことその位を出でず。

           法学者  穂積重遠
 
 孔子様が「その位に在らざればその政を謀らず。」と言われたについて、曾子が説明して言うよう、「君子はその時々の地位に応じてその本分以外のことを考えず、ただ当面の責任を全くせんことを思え、とのご趣意である。」

三五九 子のたまわく、君子はその言(げん)のその行いに過ぐるを恥ず。

 「其言之」が「其言而」になっている本がある。それだと「君子はその言を恥じてその行いを過ごす。」とよむ。

 孔子様がおっしゃるよう、「君子たる者は、言葉が行いよりも大げさなのを恥じる。」
(参照……八八)

三六〇 子のたまわく、君子の道なるもの三つ、われ能くすることなし。仁者は憂(うれ)えず。知者は惑わず。勇者は懼(おそ)れず。子貢いわく、夫子自ら道(い)うなり。

 本文「仁知勇」の三句は前にも出ているが、そこでは「知仁勇」の順序になっている(二
三三)。ここのは徳そのものの順序であり、前のは進学の順序である、などと学者が亭つがそれ程の意味もあるまい。

 孔子様が、「君子の道とすべきところのものが三つある。『仁者は憂えず。知者は惑.わず。勇者は懼れず。』であるが、わしにはどれ一つ満足にはできない。」と謙遜されたので、子貢が申すよう、「その三つこそ正に先生ご自身のことをいったようなものであります。」

三六一 子貢、人を方(たくら)ぶ。子のたまわく、賜(し)や賢なるかな、われはすなわち暇(いとま)あらず。

 子貢は好んで他人を比較論評した。孔子様がおっしゃるよう、「賜はかしこいことかな。わしにはとてもそんなひまはない。」

 子貢が子張と子夏とを「たくらべ」たことが前に出ている(二六八)。孔子様もなかなか皮肉を言われることかな。

『新訳論語』 講談社学術文庫


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